43.アフリカ象 前足を出し 鼻使い 別れを告げて 仲間旅立つ

 

 アフリカ象🐘は群れを成して生活している。生まれた象が一人前になるのは14歳前後だと考えられている。その間、小象同士は遊びながらも生活の知恵を大人の象から教えられて育つ1。大きな牙を持っているし、体躯が大きいので、群れを成して行動する限り敵はいないようである。しかし巨象でさえ死期を迎える。

 死期が近づいた象は水辺に倒れる。仲間♂♀はその象を無視しない。次々と象の側に来る。各々が前足や鼻を使い、その象に優しく触れる。そんな別れの儀式が終わると、仲間はその場を去る。そして倒れている象は最期の息をする。巨象は虚像ではない。自然の営みの中で生を全うする。

 北の国の虚像を見守っているのは誰なのか。元外交官で作家の佐藤優氏によると、政治学者で国家院(下院)議員のニコノフ氏、同じく政治学者のミグラニャン氏、元「独立新聞📰」編集長のトレチャコフ氏らがプーチン大統領のロシア侵攻を支持している。彼らは西側の情報に通じている1級の知識人である。だから虚像の権力基盤は崩れないらしい2。これを要らぬ入れ知恵と言ってはいけないらしい。

 クレムリンの側をモスクワ川が流れている。そこにはボリショイ・ウスチインスキー橋、ボリショイ・モスクヴォレツキー橋、ボリショイ・カメンニ橋がある。しかしその周辺は護岸工事をしているので水辺がない。従って水辺がアフリカ象のように群れの繋がりを意識させることはない。流れる水が薄汚れているかどうか、生の尊さをまったく感じさせないかどうか、筆者には分からない。

もし虚像が、彼岸でないにしても、河岸に近づき過ぎて落ちることがあれば、「誰も側にいないように」と筆者は願う。それこそサイコに相応(ふさわ)しい。しかし今彼が考え方を改めれば、浮き輪くらい投げ入れてもいい。ただ筆者なら5分ほど躊躇するかもしれない。

 

[出典1 NHK Eテレ『地球ドラマチック「アフリカゾウ大接近~共存の未来へ~」2022年5月7日』]

[出典2 2022年5月8日付け産経新聞『世界裏舞台』佐藤優 露ドラマ「スパイのボス」]