経済産業省が海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)の来年度(2027年度)予算を要求しない方針との報道がありました。クールジャパン機構は、日本文化の振興につながるサービスや商品の海外展開を目的に2013年に設立された官民ファンドです。官民ファンドと言っても、約1,500億円の出資金のうち9割以上を政府が出資しており、実質は官製ファンドでした。

 運営は当初の目論見通りにはいかず、2025年度までの累積赤字が540億円となっていました。

 

 クールジャパン機構については、大きく報道されていますが、実は、海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)という国土交通省系の官民ファンドも大赤字です。官民ファンドといっても、約2,846億円の出資金のうち約98%が政府出資ので、実質は官製ファンドです。累積損益が955億円(2023年度末)になり、改善計画を実施中です。

 

 クールジャパンは、マンガやアニメなどの日本の得意分野を取り扱っていたはずです。それでもこれだけの巨額の赤字でした。

 海外交通・都市開発事業支援機構は、交通事業や都市開発など日本の得意分野を取り扱っているはずです。例えば、日立製作所は海外での鉄道事業を大きく伸ばしています。しかし、官製ファンドでは結局、上手くいかないということでしょう。武士の商法という言葉は、明治維新後に職を失った旧武士(士族)が慣れない商売を始めて失敗したこと、また商売のやり方が下手であることのたとえです。役所の商法も同様のことが言えるのではないでしょうか。

 

 さて、高市内閣が掲げる「日本成長戦略」では、17分野に官民合わせて370兆円の投資を計画しています。

 クールジャパン機構が失敗した分野は、「(17)コンテンツ」として盛り込まれています。また同じ失敗をするのでしょうか?しかも金額はクールジャパンの1,500億円よりもはるかに大きい33兆円の見積もりのようです。

 また、「(6)航空・宇宙 ①民間航空機」は2000年代に経済産業省の肝いりで進めたMRJ(三菱リージョナル・ジェット)はアメリカでの型式証明が取れず失敗に終わりました。一方で、日本政府が全く関与しなかったホンダジェットは2017年以降、小型ジェット機カテゴリーで販売数世界一となるなど成功しています。

 

 結局、政府が関与した民間事業は、上手くいかないことが多いです。同じ失敗を繰り返すのではないか、心配です。そして、失敗したときのツケは国民が税金で払うことになります。