アメリカのトランプ大統領がいうところの「相互関税(以下、「トランプ関税」)」の大統領令が発出されました。が、その内容で問題が噴出しています。

 

 日本側の交渉担当の赤沢大臣は国会で「15%以下の物品については一律15%に、15%を上回る物品については関税率を据え置き」と説明しました。しかし、大統領では15%上乗せとなっています。

 例えば、日本からアメリカに牛肉(和牛)を輸出する場合、トランプ関税前は26.4%でした。15%以上は据え置きであれば26.4%となりますが、15%上乗せならば41.4%になってしまいます。話が全く変わってきます。

 また、例えば、日本酒の輸出の場合、もともと1ℓあたり3セントの関税でしたが、15%以下については一律15%ならば当然に15%になります。が、15%上乗せならば、3セント+15%とヤヤコシイ計算になってきます。

 赤沢大臣が合意してきたと説明する内容と大きく異なる大統領令となっていて、その結果が日本にとって不利なものであることから、立憲民主党として政府に説明を求める会議を本日、開催しました。桜井シュウは、本日(8月8日)は地元ですので、オンラインで出席しました。

 

 実は、トランプ関税について、EUからの輸入品への関税では、15%以下の物品については一律15%に、15%を上回る物品については関税率を据え置き、と大統領令でキチンと記載されています。しかし、日本からの輸入品への関税では、15%上乗せとなっています。つまり、EUの交渉担当者はアメリカ側の担当者とキチンと詰めていましたが、日本側の担当者は詰めが甘かったといわざるをえません。

 赤沢大臣は、アメリカの商務長官と財務長官と協議した結果、アメリカ政府側の事務的ミスであり適時に修正されることを確認した、との見解を示しました。

 ここで問題の1つめは、「適時」がいつか分からないことです。トランプ大統領が素直に大統領令の間違いを認めて修正するかどうかも分からないことにあります。

 2つめは、アメリカ政府の事務は円滑に行われていないということです。アメリカでは政権が交代するたびに、政府高官は政治任用で任命されます。半年たっても、まだ空席のポストがたくさんあるということです。閣僚は決まっていても、閣僚を支える高官が不在であれば、事務が円滑に行えるはずがありません。

 多分、EUはそうした実態を見極めて、交渉の各段階で合意点を確認してきたんだと思います。日本の国会では合意文書がないことが問題になっています。最終段階の合意文書がないのも問題ですが、会議毎の議事録(minutes of meeting)も作っていなかったのではないかと思います。そうしたメモがあれば、アメリカ政府の事務ミスを減らせるでしょう。一義的にはアメリカ政権の問題ではあるのですが、それによって日本側は多大な迷惑を被るのですから、自己防衛の意味でも様々な工夫と配慮が必要です。桜井シュウからは、ということを交渉担当の経済産業省等に提案しました。