来年の大阪万博の目玉として「空飛ぶクルマ」を大阪府知事で万博協会副会長の吉村知事はアピールしてきました。結果、商業運航はできない、できてもデモ飛行ということになっているようです。また、「空飛ぶクルマ」といわれるものをみると、有人(人が乗れる)ドローン、羽がたくさんあるヘリコプターという感じで、クルマという感じではありません。ヘリコプターと考えれば、何が新しいのかよく分かりません。

 

 そもそも空飛ぶクルマという発想自体に無理があると考えます。空を飛ぶにはエネルギーを使います。動物でいえば、鳥は空を飛ぶためにとことん軽量化していて、例えば骨の中はスカスカにしています。それが、空飛ぶクルマでは、空を飛ぶのに不要な陸上走行用の車輪を積むわけですからムダです。

 陸上を走行するにも燃費を良くするために、ムダを削ぎ落しています。それなのに、陸上走行に不要な翼を積んで走ることになるので、ムダです。

 結局のところ、空を飛ぶならそれに特化すべきだし、陸上走行ならそれに特化すべきです。虻蜂取らず、二兎負うものは一等も得ずの諺通り、空飛ぶクルマは飛ぶにも走るにも中途半端です。技術思想として、空飛ぶクルマは中途半端なものにしからなないわけですし、中途半端なものは必要ないと思います。そこに技術開発のエネルギーを注ぎ込むのはムダでしょう。