マスコミ報道によりますと、昨日(5月17日)、ようやく自民党案がまとまったそうです。他党が既に改革案を提案して長らくまっていました。違法行為を犯した議員を大量に発生させた政党としては、いかにも遅い対応です。しかも、内容が緩すぎて再発防止には到底ならないですし、問題を矮小化していて国民の要望にも全く応えていません。これでは、議論のたたき台にもなりません。

 

 本来は、問題を起こしたのが自民党であるのだから、自民党が率先して政治倫理審査会(政倫審)などに出席して弁明するなど事実解明を行うとともに、もっとも厳しい政治改革案を示して、他党の協力を仰ぐというのが、本来のあるべき道筋です。

 ところが、問題を起こした張本人が最後にもっとも緩い案を示すという、ヤル気のなさがひしひしと伝わってきます。

 

 何がダメか、上げるとキリがありませんが、いくつか例示します。

 

1)政治資金パーティの公開基準

 公開基準を20万円から10万円に引き下げるとのこと。そもそもこれだけ問題になった政治資金パーティをまだ続けるつもりなのか、ということからしてダメです。また、20万円や10万円というのは1回あたりですので、公開基準を半分に引き下げても、回数を倍にすれば同額の収益を得られます。パーティ三昧の政治が加速することになりかねません。百歩譲って、寄附と同水準、つまり1年間で5万円ならまだ理屈は立ちます。

 現金決済は禁止して、銀行振り込みにします、とのこと。でもちゃんと抜け道がありました。当日は現金払いOKとのこと。つまり、前日までの現金払いであったとしてもパーティ当日に受け取ったことにすればOKになるでしょう。

 政治資金パーティの何がダメかというと、政治家個人への企業献金は禁止されたのに、パーティ券購入が抜け道になっているのです。パーティ券は購入するけれどもパーティは欠席する。実質的には寄付なのですが、パーティを隠れ蓑にしているということです。

 

2)政策活動費の公開

 政策活動費は、大項目だけ公表とのこと。つまり、これまでは政策活動費という一つの大きなブラックボックスだったのが、今後は8項目ぐらいの小さなブラックボックスするそうです。これではウソをついても分からない。領収書を添付ナシでは無意味です。

 そもそも、この期に及んで、まだ政策活動費を続けようとするのが分かりません。立憲民主党は2年前に政策活動費をつかうのをやめました。議員に渡切りで、実際に何に使ったか分からなないのは、政治資金の明朗会計という政治資金規正法の趣旨に反するからです。それでも、特段問題なく党運営はできています。野党の中にも政策活動費を続けようとする提案があるようですが、どうして自民党に追随するのかよく分かりません。

 

3)企業団体献金の扱い

 35年前にリクルート事件の反省から企業団体献金は禁止しよう、企業団体献金を禁止する代わりに政党助成金制度を設けました。たしかに、政治家個人への企業団体献金は禁止されましたが、政党への企業団体献金はOKのままです。そして、多くの政党で国会議員は選挙区に合わせた政党支部を設立して、そこで企業団体献金を受け入れるということで、実質的に企業団体献金を継続しています。

 もう、企業団体献金はやめましょう!と立憲民主党は提案しているのですが、自民党は企業団体献金を続けたいそうです。企業は営利団体です。政治献金が儲けに繋がるなら企業としては支出はOKかもしれませんが、それは賄賂ですので刑法違反となるのでダメです。政治献金が儲けに繋がらないならば企業に損害を与えることになるのでダメです。どちらにしてもダメなのですから、企業団体献金は止めましょう!ということです。