本日(5月13日)は、衆議院決算行政監視委員会の分科会で質問しました。テーマは、ギャンブル依存症対策です。というのは、明日から一週間(5月14日~20日)、ギャンブル依存症問題啓発週間を内閣官房に設置されたギャンブル依存症対策推進室が中心となって実施しています。また、今春にはロサンジェルス・ドジャーズの大谷翔平選手の通訳を勤めていた水原一平氏がギャンブルで大金を大谷選手から盗んだということで逮捕起訴される事件が起きたことから、ギャンブル依存症に注目が集まっています。

 そこで、桜井シュウはギャンブル依存症対策の進捗状況を確認しつつ、更なる取組みについて提案申し上げました。

 

 

 ギャンブル依存症対策推進本部の本部長は内閣官房長官です。官房長官に依存症対策への取り組み、特に明日からは啓発週間であるので意気込みを含めて質問しました。官房長官からは、ギャンブル依存症問題は深刻な問題でありPDCAサイクルを回しながら着実に進める、という趣旨の答弁でした。

 では、現状をどのように把握しているのかということで、昨年、厚生労働省の久里浜医療センターが実態調査を行ったので、その結果について質しました。が、まだ集計中でお答えできないとのことでした。前回の調査は3年前でそれからコロナ禍での巣籠の中でギャンブル依存症が増えているとの指摘があります。この3年間で改善したのか、私が本部長なら気になって仕方ないので生データで増えたか減ったかぐらいは教えて欲しいと思うのですが、それもないとのことでした。

 そもそもギャンブル依存症対策の内容についても質しました。重篤な場合には入院治療は行うことがあるが、多くは自助グループによる取組みとのこと。そして治療薬はないとのこと。要するになかなか治らない、一生、ギャンブルの誘惑と戦い続けなければならない、ということです。

 それなのに、街中にはギャンブルの広告が溢れています。テレビをつければギャンブルのCMが流れています。依存症患者の心をくじくような誘惑が溢れかえっている、また新たな依存症患者を産み出す仕組みになっていることを指摘し、CM規制を提案しました。特に、最近は宝くじのCMで「マジメはつまらない、刺激を求める、10億円!」というような射幸心を煽るものまであります。官房長官からは、ガイドラインで射幸心をあおらない内容にしている、とは答弁しましたが、射幸心をとっても煽っています。そして、総量規制もないとのこと。宝くじや競馬、競艇、競輪などの公営ギャンブルは公益のための財源確保で行っているので、CMにお金をつぎ込めば公益目的に使う予算が減ります。現状は本来の目的を逸脱しているので、CMの総量規制を提案しました。

 ギャンブル依存症の特徴として、ギャンブルを続けるためには、借金は重ねるし、お金を盗んだりもするということです。ギャンブルが全てになってしまい、正常な判断ができなくなります。お金を止めるということがギャンブルをやめさせる第一歩ですが、消費者金融などから借金ができないようにする、というのも重要な論点です。具体的には、ギャンブル依存症の場合には速やかに破産手続きを進められるようにしてはどうか、と提案しました。つまり、自己破産が速やかに認められると金融機関は返済を受けられなくなるので大損です。そうならないように、ギャンブル依存症でないかどうか融資の段階で丁寧に審査をすることになります。ギャンブル依存症の場合には借り手責任を追及しても正常な判断ができないので効果ありません。ならば、貸し手責任を追及してはどうか、という提案です。金融担当副大臣からは「同時廃止」という制度があり、個人の債務超過の場合には速やかに破産手続きができるようになっているとの答弁でした。ただし、同時廃止を活用しての自己破産は年間4万件程度であり、ギャンブル依存症患者が200万人とも300万人ともいわれている中では全く少ないことを指摘し、同時廃止がもっと広く使えるようにギャンブル依存症患者に周知することを提案しました。

 ギャンブル依存症患者が多分、増え続けているはずです。ギャンブル依存症対策が不十分な中で、大阪でのカジノ開帳の中止を提案しました。パチンコや負けても一日で数万円ですが、カジノでは負けが一日で億円単位になることもあります。ギャンブル依存症が深刻化する前に立ち止まることを提案しました。が、官房長官からは所定の手続きで粛々と進めるとの答弁でした。残念です。

 

 一度、ギャンブル依存症になってしまえば、本人も家族も一生苦しむことになります。そんな残念な人生にならないようにするためには、ギャンブル自体を世の中からなくすべきです。我が国では、持統天皇の時代(飛鳥時代)から賭博は禁止されています。保守を標榜し、伝統を重んじるというのであれば、ギャンブルは禁止です!