一週間前の3月2日に所得税法等改正案は衆議院本会議で可決して参議院に送付されました。桜井シュウは反対したことをご報告しましたが、その理由の続きです。

 

 2024年の所得税法改正の問題点については先日、申し上げました。

 続いては法人税。

 

(1)賃上げ税制

 賃上げを実現することに大賛成です。しかし、賃上げ税制は、財務省が検証した結果でも効果は確認できなかったとしています。つまり、賃上げの効果がほとんどありません。

 厚生労働省の毎月勤労統計調査の実質賃金は、2021年はプラス0.6%だったのが、2022年はマイナス1.0%、2023年はマイナス2.5%と岸田内閣発足以降、実質賃金は低下しています。

 減税は赤字企業に無縁です。結局は、人材確保などの理由で賃上げした企業が「棚から牡丹餅」的に減税の恩恵を受けているだけです。賃上げのインセンティブとしての効果は甚だ疑問です。来年度は1.3兆円の減税規模ですが、賃上げ税制をやめて、この財源を医療、介護、保育などの分野で働く方々の給料アップに振り替えた方がよっぽど賃金の底上げになります。

 

(2)戦略分野国内生産促進税制

 戦略分野減税についてもどの程度の効果が期待できるか不明です。そもそも戦略分野にはさまざまな補助金が用意されています。そうなると、補助金を受け取り、減税のメリットも受けるという二重取りになる可能性すらあります。

 自民党は政治資金パーティで裏金づくりに励んでいたようですが、政治献金やパーティ券購入の企業を優遇する税制になっているのではないのか、その疑念が払拭できません。

 

(3)イノベーションボックス税制

 7年の期限付きの制度ですが、研究開発と商品開発には7年ぐらいかかります。特許を取得してようやく収益性が出てきたころにこの税制は終了することになるかもしれません。であれば、最初から減税をアテにした研究開発などはしないでしょう。つまり、インセンティブにはならないのではないか、と考えられます。

 さらに、イノベーションボックス税制は研究開発減税との二重取りになる可能性もあります。

 

 そもそも税制はシンプルであるべきです。それを複雑にしていくと、結局は法人税制に詳しい税理士がついている大企業がメリットを受けることになります。収益面で厳しい中小企業は放っておかれることになりかねません。

 桜井シュウは、思い込みではなく、EBPM(evidence based policy management:根拠に基づく政策立案)で国民の暮らしに本当に役立つ政策を推進します。