最近は、中国の不動産に関する報道が増えてきました。以前から猛烈な勢いの建設ラッシュで、需要に見合うのか、つまり供給過剰ではないか、といわれてきました。実際に、中国版ゴーストタウン「鬼城」が各地にあるといわれています。しかも、中国はスケールが大きくて、ゴーストタウンも半端ないスケールのようです。

 かつては、2008年の北京オリンピックが終われば不動産バブルがはじけるのではないか、2010年の上海万博が終われば・・・といわれたこともありましたが、リーマンショックのときには逆にバブルを煽って乗り切ったようなところがありました。

 

 しかし、ここにきていよいよどうにもならなくなったようです。人口14億人に対して34億人分の住宅建設など様々な指摘がありますが、不動産会社だけでなく、地方政府が借金してドンドン建設するということを景気対策としてやってきたようです。

 中国共産党は日本の不動産バブル崩壊をよく研究しているから、クラッシュはない、などともいわれてきました。バブルが膨らむときにはある種の神話ができるものです。中国共産党に対する奇妙な信頼が神話になってバブルが膨らんだのかもしれません。

 しかし、需要以上の供給があれば、市況は陰ります。日本のバブル崩壊のときには不良債権は100兆円といわれました。中国の不良債権はいくらなのか検討がつきませんが、1,000兆円をはるかに上回るのではないか、との見方があります。ここにきて中国元の通貨安が進んでいます。

 

 中国リスクといえば、台湾進攻など安全保障に目が行きがちです。ですが、中国リスクは、中国版不動産バブル崩壊による世界経済への悪影響かもしれません。中国の統計は必ずしも信頼できないところがあるので、どの程度悪いのか図りかねるところがありますが、十分に分析して対応できるように備えるようにします。