2022年度のふるさと納税の利用額が過去最高であったことが7月29日に公表された総務省の現況調査で明らかになりました。

 

自治体同士を競争させる、都市部から地方に財源を移転するなどの目的があるとされています。であるならば、返礼品は不要のはずです。が、実態は返礼品競争であり、地方自治体による通販になっています。

 寄附文化を広げる一因になるという意見がありますが、それは違います。ふるさと納税は、住民税の納税先を居住自治体から別の自治体に付け替えるだけであって、寄附ではないからです。

 スジが悪いのは、高所得者ほど控除を受けられる金額が大きくなります。そして、その分、多くの返礼品を受け取ることができます。つまり、本来は行政サービスに充てられるはずの税金が、高所得者に返礼品をせっせと配るという制度です。返礼品の購入額・送料その他の手続き費にかかる経費が3,851億円で、ふるさと納税額の46.4%です。約4千億円が行政サービスに充てられずに、金持ちへの返礼品等に使わています。

 地方自治体全体では税収の総額が増える訳ではないのに、返礼品の分だけ歳出が増えます。つまり、ふるさと納税による自治体間競争は、ゼロサムではなく、マイナスサムです。競争すればするほど、地方自治体全体ではじり貧になります。競争する意味がありません。

 返礼品をやめれば問題は解決します。ですが、ここまでふるさと納税が大きくなってしまうと、返礼品依存のビジネスになってしまっている事業者が増えて、やめるにやめられなくなります。矛盾だらけの制度なのに、既にやめにくくなってしまっていますが、でもこのまま続ければますますやめられなくなるでしょう。

 

 桜井シュウは、地方財政を悪化させる愚かなふるさと納税制度は早期に手じまいすることを粘り強く提案しつづけます。