昨夜から今朝にかけて、伊丹空港から羽田空港とミュンヘン空港を経由して、ブリュッセル空港に到着しました。空港からNATO(North Atlantic Treaty Organization:北大西洋条約機構)本部に直行し、午前、ランチ、午後と3つのセッションを行いました。

 以下、主な協議内容です。

 

・NATOは1991年の冷戦終結後に大きく変化、同盟国ではないがパートナーとなる国を増やすことで安全を確保するというアプローチを採用、1994年にはソビエト連邦(ソ連崩壊後はロシア)ともPfP(Partnership for Peace:平和のためのパートパーシップ)の協定を締結、また2002年にはNRC(NATO Russia Council:NATOロシア理事会)を立ち上げて協議を開始。しかし、こうした取り組みは2014年のクリミア半島併合の後は暗礁に乗り上げたとのこと。ゴルバチョフ大統領、エリツィン大統領のときは良かった、プーチン大統領もはじめはよかったが、後に変わってしまった。この反省を踏まえて、パートナー国については、民主主義、透明性(議会での予算審議など)などの状況をモニターする必要があるとのこと。

・ロシアのウクライナ侵略の前後で、ヨーロッパでの中国への見方が大きく変わった。世論調査では、以前は2/3が好印象だったのが、今は2/3が悪い印象になった。ロシアの侵略を見て、改めて中国の香港や新疆ウイグル、南シナ海での振る舞いに注意が払われるようになったし、世界各国に設置された中国の海外警察署(国際法違反)の問題にも警戒感が高まっている。

・中国の太平洋諸国への接近にも警戒が必要。太平洋諸国やアフリカ諸国から中国に留学して学ぶ若者が増えている。ソロモン諸島には中国の海軍基地ができるかもしれない。そうなると、太平洋でのパワーバランスが大きく変化する。

・ウクライナ侵略の直前には、ヨーロッパはロシアにはエネルギーの4割を依存していた。権威主義・独裁主義の国に経済を依存させてはいけないことを教訓として学んだ。中国についても同様であるはずだが、ヨーロッパは一枚岩にはなれていない。ロシア依存からの脱却だけでもたいへんなのに、中国への依存脱却はとても難しいとの状況があり、なかなか悩ましい。

 

  なお、NATO本部の敷地内では、写真撮影用パネルの前以外では撮影が禁止でした。なので、敷地の外から外観を撮影しました!


NATO本部の外観


NATO本部の写真撮影用パネル