本日(3月17日)の衆議院本会議において、経済安全保障法案の趣旨説明と質疑が行われました。今通常国会での目玉法案と言われています。来週からは、内閣委員会で審議がスタートすることになります。

 

 経済安全保障法案の第5章には、特許出願の非公開が規定されています。桜井シュウは内閣委員会の所属ではありませんが、知的財産権は桜井シュウの専門分野ですので、桜井シュウも質疑を行う機会をいただけると思います。

 大事なことが政令や閣議決定に委任されており、法案では何がどうなるのかがよく分かりません。このままでは、実務的にもどのように扱われるのか分かりませんので、条文に書いていないけれども実務上、重要な事項について法案審議で確認していきたいと思います。

 

 しかし、この法案で、ビックリしたのは、特許制度の根幹を変更するのに、特許法を改正しないというやり方です。特許制度とは、技術を公開する代償として独占排他権を一定期間、認めるというものです。すなわち、技術を公開することで技術研究の重複投資を避けることができ、もって社会全体として効率的に研究開発を進めることができます。一方で、モノマネを禁止することで新たな発明をしたものに報いるということです。

 特許制度の根幹にかかわることなのに、特許法を改正しない、特許法の外側に特許制度が規定されるというおかしな状態になります。なぜ、特許法改正を避けたのか?ここも質します。でも、質問しても本当のことは言わないのではないか、という気もしますが。もしかすると、特許法を改正するには産業構造審議会を開催して専門家の意見を聞かなければなりませんが、そうすると時間がかかる、面倒くさい、ということで、そこをバイパスしたのではないか、と疑っています。つまり、関所破りです。

 桜井シュウは、特許出願の非公開制度は必要だと考えていますし、そのことは国会でもこれまで提案してきました。ですが、雑な法案だと、実務上の混乱を招きかねず、社会にとって悪影響を与えかねません。そういうリスクを少しでも軽減するために、条文解釈を明らかにしてまいります。