中国の不動産大手の恒大グループの33兆円にもおよぶ巨額の債務問題が注目されています。もちろん、債務は巨額であっても償還が順調に行われていれば問題にはならないのですが、ここに来て利払いが滞りがちとの報道が出てきています。その背景には、稼働効率が悪い資産を大量に保有しているのではないか、本業とは関係のない分野に進出したものの、利益を出せていないのではないか、という指摘があります。

 

 

 

 以前から、中国の不動産投資はバブルではないか、ということが言われてきました。東京・新宿西口の数十倍もあるような巨大ビル群が中国各地にあり、本当に入居しているのか、入居企業が賃料に見合う利益を上げているのか、疑問視するむきがありました。

 2008年の北京オリンピック・パラリンピックが終わったらバブルが崩壊するのでは?2010年の上海万博が終わったらバブルが崩壊するのでは?などと言われてきましたが、バブル崩壊は起こりませんでした。 

 バブルは、「崩壊するかも」と言われている間は、崩壊しにくいものです。人々がバブル崩壊を警戒していれば、無茶な投資が派手に行われることはないからです。しかし、オオカミ少年の如く、何度も「崩壊するかも」と言われながら崩壊しないと、人々の警戒が緩んできます。そうなると、無茶な投資が派手に行われるようになって、今度こそ本当にバブルが崩壊する、というものだと思います。

 バブルは、崩壊すればバブルと分かる、と言われます。が、不稼働資産が大量に抱えていれば、持続可能な経営は無理です。そのような状況にあるかどうかは現時点でも分析できるはずです。

 

 ということを勘案すると、恒大グループの巨額債務問題は注視すべきことですし、これが恒大グループだけの問題なのか、中国不動産業界全般に影響することなのか、併せて注視すべきです。

 日本のバブル崩壊では不良債権が100兆円規模と言われました。アメリカ発の世界金融危機(2007~2009年:いわゆるサブプライムローン問題、リーマンショック)では1,000兆円規模と言われました。今回の恒大グループは33兆円ですから、過去の金融危機に比べて小さいように思えます。

 ですが、恒大グループの負債は1社です。中国で不動産価格が暴落すれば、恒大グループ以外の中国不動産業社も大きな痛手を被るでしょう。中国経済が受けるダメージがどの程度になるのか、注視していきます。そして、中国経済がダメージを受ければ、それは間接的に世界に波及する可能性があります。

 

 サブプライムローン問題では、世界中に不良債権を掴んでしまった投資家がいたこと、しかもどれが不良債権なのかが分かりにくかったことなどから大混乱に陥りました。が、今回の恒大グループについては、世界への直接的な影響は広くないと思われます。

 

 ということで、様々なリスクについて分析検討していきます。