今週(11月2日~6日)は、衆議院と参議院で予算委員会が開会され、総理入りで基本的質疑が行われました。
目下の最大の政治課題は、もちろん新型コロナ感染症対策です。予算委員会で、日本学術会議の任命拒否問題など取り上げず、新型コロナ感染症対策に注力すべき、という声があることは承知しています。ですが、我が国が、東アジア世界の中で最悪の感染状況となっているのは、的確な政策が執れていないことにあります。そして、的確な政策が執れていないのは、科学と学術を軽視しているからです。
例えば、2月末に、突然、安倍総理は、小中高の学校の一斉休校を決定しました。そのような権限は総理大臣にないにも拘わらずです。感染者数が少ない時期に一斉休校としたしわ寄せで、第二派の真っ最中である7月~8月に夏休み返上で学校に通う羽目になりました。2月末の一斉休校については、感染症の専門家にアドバイスを求めず、文部科学省の反対を押し切っての判断でした。
人類の歴史の中で積み上げてきた科学を利用して、感染症対策を取るべき、当たり前のことです。ですが、今、菅内閣がやっていることは、科学と学術を軽視し、政権に都合の悪い意見と学者を排除するということです。政権の取り巻きは忖度したとしても、科学的真理が変わるわけではありません。菅内閣がいくら人事権を振りかざしても、新型コロナウイルスは忖度しません。感染症に対抗できるのは科学です。ですから、感染症対策のためには、科学と学術を日本の政治に取り戻すべきです。的確な感染症対策のためにも、学術と学者を尊重する政治であるべきです。
国会審議で、菅総理は、後付けの屁理屈で、いろいろと言っています。多様性の欠如、若手登用、所属大学のアンバランスなどと言っていました。ですが、多様性というなら、なぜ女性の加藤陽子教授を排除したのか?若手登用というのなら、なぜ若手の宇野重規教授を排除したのか?所属大学のアンバランスというのなら、なぜ慈恵医科大(現在は学術会議会員ゼロ)の小沢隆一教授を排除したのか?後付けの屁理屈なんだから、せめて辻褄ぐらい合わせるのが当然だと思いますが、それすらできない。
こんなことで、菅総理は合理的な政策を打てるのか?総理の資質として、たいへん心もとない状況です。その分、我々野党がまっとうな提案をして政治をリードしていかねばならない、と改めて気を引き締めました。