管官房長官は、11月27日の記者会見で「反社会勢力の定義は一義的に定まっているわけではない」と述べました。しかし、政府は2007年6月に安倍晋三総理が主催する犯罪対策閣僚会議幹事会(全閣僚が構成員)において「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」を申し合わせています。管官房長官は、当時は総務大臣でしたので、この申し合わせに了解しているはずです。自ら指針を定めておいて、それを覆すとはどういうことなのでしょうか。

 この点について、立憲民主党の初鹿明博 衆議院議員は、質問主意書で改めて反社会的勢力の定義について質問しました。政府は、12月10日に答弁を閣議決定しました。その答弁では、「政府としては、「反社会的勢力」については、その形態が多様であり、また、その時々の社会情勢に応じて変化し得るものであることから、あらかじめ限定的、かつ、統一的に定義することは困難であると考えている。」と述べています。つまり、反社会的勢力の定義はない、と。

 2007年指針に基づいて、政府も地方自治体も民間企業も反社会的勢力を排除するために懸命の努力をしてきました。管官房長官の記者会見での発言と質問主意書に対する答弁は、これらの努力を根底から覆しかねません。

 安倍総理と管官房長官の保身のために、反社会的勢力排除の取り組みを後退させてよいのでしょうか。