一昨日のブログ「昨年度、三セクの破綻が最多 」と昨日のブログ「三セクが破綻するのは、市議会が監視を怠ったからか? 」で第三セクターの経営破綻の問題を取り上げたところ、核心を突くコメントをいただいたので、更に続きを書きます(このネタで引っ張ります・・・笑)。

 昨日のブログに対して「三セクの破綻ですが、ここにもあの原発問題と同じく、関係者間で気兼ねしてなのか、事態が深刻になるまで事情通も含めてだれも何も言い出さないという、日本の組織の、そしてその構成員たる日本人の悪しきDNAの存在が見え隠れしてますね。」というコメントをいただきました。

 事態が深刻になるまで放置してきたというのは、そういう面も多分にあると思います。多くは、バブル崩壊のときに含み損を抱え、中には時価評価をすれば債務超過になるかもしれないとも思いつつ、簿価(=購入価格)で評価して含み損を表面化させず、そのままやり過ごすという方針が取られたケースが少なからずあったのだろうと想像します。つまり、当時は資産の時価評価という会計処理がなされていなかったので責任者のお尻に火がつかなかったこと、列島改造論以降の土地神話がまだ生きていていずれ地価が上昇するだろうからそこまで待とうという気持ち(願望)があったこと、などから先送りされたのだろうと思います。
 しかし、そうした願望は敗れ、失われた10年、更には20年になりました。
 さっさと破綻処理しておけばよかったのに・・・というのはその通りだと思います。しかし、これに対して「バブル崩壊がこれほど深刻化するとはだれも想像できなかった」という言い訳が地方自治体からは聞こえてきそうです。でも、実際は、まともなファンド・マネージャーは、日本銀行が金融緩和から引き締めに転じた時点でバブル崩壊を予測し、早々に売り抜けていました。こんなこと、経済学の入門書にあるようなことで、経済学部の学生でも分かるはずのことです。しかし、それが分からない民間も含め実務担当者がいかに多かったことか。このアタリのところは、日本の社会と会社が、大学教育を蔑にしてきたシッペ返しのように感じます。

 一方で、バブル崩壊後に債務超過の事業・法人を引き継いだ担当者はどのような対処ができたのか・・・というと、何もできなかった、と思います。
 債務超過の第三セクターの破綻処理をしようとすれば、その清算処理のために一時的に多額の資金が必要です。例えば、民間ではバブル崩壊による不良債権の処理を行うため、1999年に大手銀行15行に対して公的資金が注入されました。これで、清算処理の原資が確保できたので、不良債権処理が進みました。
 一方で、地方自治体は、地方財政法5条(健全財政主義)の規定により、原則として赤字地方債を発行することができず、清算処理の原資を確保できなかったことにあります。したがって、一般会計予算のやりくりの中で清算処理できる範囲でしか処理しなかった、多くは先送りされることとなりました。

 片山善博前総務相(前鳥取県知事)が、「地方自治体がもっと自由に地方債を発行できるようにすべき」という趣旨の発言をしていらっしゃったように記憶しています。当時、桜井は、「地方自治体の財政規律が緩めてどうするつもりなのか?」と思いました。が、実はそうではなく、片山前総務相には、三セクの破綻処理などを進める狙いもあったのかもしれません。

 今般、破綻処理が進んでいるのは、地方財政法33条の5の7により、実質的に三セクの破綻処理目的であれば赤字地方債を発行することができるようになったことが大きいのです。民間では、十年以上前に取り組んでいることを地方自治体はバブル崩壊から20年経ってようやく動き始めたということです。
 このことは、3月議会の予算委員会でも指摘しましたし、月刊!桜井シュウ(17号) にも記載した通りです。


 また、「地方自治体職員のOB等の天下り先の確保と抱き合わせで三セクを創るという関係者のホンネが見え隠れするのも嫌ですね・・・。」というコメントもいただきました。伊丹市では、今回の三セク改革で天下り先がほとんどなくなってしまったので、厳しいところです。桜井から見て、美味しそうに見える天下り先は、水道局と交通局(いずれも市役所内部のポスト)ぐらいでしょうか。伊丹市は、それだけ余裕がなくなったということだと思います。
 一方で、国や県は詳しくは承知していませんが・・・伊丹市の厳しさに比べれば、まだまだ余裕がありそうな印象です。よく、民間の厳しいコストカットのセンスを役所に導入するべき、という話がありますが、同様に、市町村の厳しい財政状況と予算削減のセンスを国や県に導入すべき、とも感じています。



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