「世界で損ばかりしている日本人 」関本のりえ著を読みました。

 著者は、数々の国際機関に勤務してきた経験があり、というか現在もアジア開発銀行に勤務している現職の国際公務員です。銀行マンとして国際金融の世界でビジネスをやってきた桜井としては、断片的には知っている話もありましたが、まとまった話として聞くと、やはり「日本は損をしている!」と改めて思いました。

 国際連合における日本の負担金はアメリカに次いで2位(2011年現在)であるにも拘わらず、日本は安全保障理事会の理事国ではないし、負担金に対してスタッフの割合は極めて低いままです。ここまでは知っていました。
 で、この結果として、日本は国際交渉力が弱くなっているとのことでした。言われてみれば、その通りです。国際機関はさまざまな情報が流通するところです。そうした情報を的確にキャッチする(情報の洪水から重要情報を抜き出する)ことが重要ですが、そのときに自国出身のスタッフが国際機関の中にたくさんいたらどれほど頼りになることか。もちろん、国際機関は政治的中立が求められています。そして、そんなの建前論だということも知っています、日本人を除いて。日本人はバカ正直なようです。

 著者は、たいした軍事力を持たない日本が国益を守るためには、国際機関などにおいて情報を的確につかみ、分析し、そして発信していくことが重要だと主張します。全くその通りだと思います。しかし、そのような体制ができていない、と。

 日本人は、英語ができないから・・・でそのような偏見が他国にまんまと利用されて、国際機関で日本人が就職しにくい、働きにくい状況ができているようです。

 日本から国際機関へ派遣されている日本の国家公務員は人事ローテーションで2~3年で交代します。ようやく仕事に慣れたころに日本に帰ってしまう。その結果、国際機関の中で活躍できない日本人ばかりにしてしまう。

 国際機関で働く欧米人は、口は巧いが(英語はペラペラとよく喋るが)仕事ができるかと言えばそうでもない人が多いそうです。口下手でも日本人やアジア人の方がよっぽど仕事がしっかりできるそうです。でも、英語が下手だとか言って、正当に評価されないそうです。困ったものです。

 その中でもアジア開発銀行は、総裁が日本人(財務省出身者)で日本人職員も多いのでそうでもないようですが、それ以外の国際機関では、それはそれはたいへんだそうです。

 著者は書いていませんが、世界銀行グループ(国際復興開発銀行など)では、日本は出資以外にもJapan Special Fundなどという意味不明のお金を出しています。しかし、お金だけ出して、実際のところ舐められています。

 ということで、いろいろ思うところの多い本でした。



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