英語が「聞き取れない」理由とその最短克服法 | 最適性理論(音のストリーム)で英語を覚える

最適性理論(音のストリーム)で英語を覚える

  音声英語、つまり英会話、リスニング、発音に関して音のストリーム・ベースで学習するサイトです。

安河内哲也氏がNikkei Trendyで次のように説明しております。

 

子どもたちが、「話せる」をマスターしようとし始めている今、大人たちも負けてはいられません。けれど大人たちには“強み”があります。中学英語をすでに学んでいることです。あとはそれをどう生かすか。そこで今回は実践編。中学英語だけを使って耳を鍛え、口を動かして、英語アレルギーを払拭。「あ、聞けてる」「あ、話せてる」を少しでも早く実感する“コツ”を伝授します。

 

やり方次第で何歳からでも英語マスターは可能
本題に入る前に、一つ。読者の方のなかには、「この年齢から英語をやり直して、本当に英語が聞けて話せるようになるのかな」と疑問を持っている人がいらっしゃるかと思います。それに関しては、心配ご無用です。


もちろん、50歳からプロ野球選手やプロゴルファーを目指すのが難しいように、同時通訳者や翻訳家になるのは、ハードルが高いかもしれません。また、「字幕なしで映画の会話が全部分かる」というのも、50歳を過ぎて大リーガーになりたい、と思うくらいハードルが高いものです。

けれど、字幕なしであらすじが分かる、辞書なしで外国人と会話ができる、訪日外国人を英語でもてなせる、会議で自分の専門分野の発表ができるくらいのレベルなら、なんとかマスターできます。つまり、プロゴルファーは無理でも、会社のゴルフコンペに出られるくらいの力は何歳からでもつけられるということ。実際、私は40歳を過ぎてから韓国語を学び始めましたが、今では韓国語で会話ができるようになりました。だから、みなさんも大丈夫。

 

問題は、そのやり方です。
「英語の勉強をやり直そう」とするとき、「さあ、やるぞ!」と気合を入れて、図書館など静かな場所にこもっていませんか。そもそもそれがダメ。口を動かさずに解説を読んでいるだけでは英語は身につきません。ピアノを弾けるようになりたい人が、楽譜の理論を読んで、楽譜の問題集を解いても、ピアノが弾けるようにならないのと同じです。ピアノがうまくなりたいなら、上手な人が弾くピアノを聴いて、鍵盤で指を動かして、何度も何度も繰り返し練習するしかないのはご存じのはず。英語も同じです。

 

英語は耳と口で覚えるもの。ですから、図書館は英語を勉強するにはあまり向いていない場所。声を出して勉強できるところで勉強しましょう。では、どうするか。まずは聞きましょう。ネイティブの英語を耳で何度も聞きます。次に同じ文章が英文で書かれた本を開き、耳で聞きながら、本の文字を追う。それを何度も繰り返します。


次は本の文字を追いながら、ネイティブの声をまねします。ジェスチャーをつけたりするのもいいですね。感情も込めてみましょう。ピアノの練習と同じように、まず、英語の上手な人=ネイティブの声を浴びるほど聞き、それと同じように声に出して話してみる。これを繰り返します。

“英語耳”を鍛える方法を教えます
「そんなに簡単に聞き取れないし、簡単にまねはできない」と言った人、いましたね。はい、その通りです。なぜなら、そもそも日本語と英語は母音と子音の構造が異なるからです。日本語の母音は5つ、英語は母音だけでも24(諸説あり)もあり、子音も日本語が16に対して英語は24。圧倒的に英語のほうが多いのです。

 

ということは、日本語では聞いたことも発音したこともない言葉が、英語にはたくさんあるということ。聞いたこともない、話したこともない“音”が耳に入ってきても、すぐに聞き取れるわけがありません。また、すぐにまねできるわけはありません。だから、落胆したり、諦める必要はないんです。

 

聞き取れないワケには、母音や子音の数が違うということもありますが、ほかにも理由があります。大きく「音声的側面」と「内容的側面」の2つに分けて考えてみましょう。


音声的側面とは、たとえば、pearl(真珠)やring(輪)という単語。カタカナで言えば、パールとリングですが、英語は違います。人の耳は不思議で、自分がパールとカタカナ発音しているかぎり、相手の口から発せられる言葉も「パール」を期待してしまいます。ですから、英語でpearl「パァー(ル)」と発音されても何を意味しているか分からない。知っている単語が聞こえない。これが音声的側面の落とし穴です。

ringもカタカナ英語ではリングですが、英語では最後のグはほとんど聞こえません。それを知らないと、「リング」を期待してしまうので、「ring(リィン(グ))」と言われても認識できないのです。

 

『アナと雪の女王』の主題歌に出てくるLet it goも日本語だと、「レットイットゴー」とわかち読みしますが、英語だと子音と母音がつながる現象が起きます。あえてカタカナで書けば、「レリィゴー」のようになります。レットイットゴーを期待しているから、レリィゴーと耳に入っても、それがLet it goとは認識できないわけです。Look upも同じ。日本語読みだとルックアップ。英語読みだとルッカップ。

 

このように、聞き取れない原因の一つは、音声的側面、すなわち単語は知っているけれど、「音」として認識できていないために、耳に入ってくる言葉が理解できない、というもの。これを克服するには、できるだけ多くの回数、英語読みを耳で聞き、さらに自分で発音してみるしかありません。自分で正しく発音できないと聞き取れない、というのが英語のリスニングとスピーキングの鉄則。口に出して言えるようになると、同じ音が耳に入った時に“聞こえてくる”ようになるのです。

 

もう一つの理由が、内容的側面です。psychiatristは精神分析医のことですが、そもそもこの単語の意味を知らなければ、何百回言われても、どんなにゆっくり発音されても、音の意味は理解できません。

たとえばBeat it.の場合、beatは打ち負かす、itはそれ、と個々の意味は知っていても、beat itが「どけ」という意味だということを知らなければ、全体の内容がつかめません。


音声的側面は、自分で発音できるようになることで解決します。一方、内容的側面は、単語や熟語を覚えることで解決できます。この2つが複合的に起こってくることもありますが、いずれにしてもこの両面を克服することによって、「聞こえない」「聞き取れない」問題を解決し、「正しく発音できる」ようになるのです。

 

耳を鍛える最強の方法はディクテーション
音声的側面と内容的側面の課題を克服する、もう一つの強力な方法は、ディクテーションです。ディクテーションはこの両方を鍛えられるだけでなく、自分のリスニング力がどれくらいかを確認することもできるので、一石二鳥。

ディクテーションのためには、ネイティブの音声とその内容の英文が書かれた本がセットになったものを入手します。NHKの英会話ラジオ教材や、私が監修した「おもてなし純ジャパENGLISH」(講談社)など、多くのものが発売されているので、気に入ったものを購入してみましょう。

 

クイズ感覚でディクテーションに挑戦してみよう
最初、本は開いてはいけません。ワンセンテンスずつでもいいので、音声を流し、聞いては止めて、聞いては止めてを繰り返しながら、聞こえた内容を書きとめます。聞く回数は10回でも20回でもかまいません。書きとめられるまで繰り返し聞きます。そして、書きとめたら、その英文と本の英文を照らし合わせます。合っていれば、合格。ネイティブの言葉を聞き取れた、と考えてよいでしょう。

もし間違っていたら、“聞き取れない病”の原因が分かります。主な原因には次の通り。


(1)単語を知らなかった
(2)特定の音が聞き取れなかった
(3)イントネーションが自分の認識と異なっていて分からなかった
上記の中で、クセ者は(2)と(3)です。いずれも音声的側面の問題。なぜこのようなことが起こるのか。それは私たちが学んだ中学英語にも起因します。

 

学校英語では、toを「トゥ」と習います。Thatも「ザット」、と習いますね。Andは「エンド」と強く発音させられませんでしたか。けれど、会話ではtoはほぼ「タ」に聞こえますし、thatは「ダッ」にしか聞こえません。You and Iは、カタカナにするとユーエンドアイではなく、「ユーエナァイ」が最も近いかもしれません。

前にも述べたように、聞いたことのない“音”だったから、聞き取れなかっただけ。


みなさん、サザンオールスターズの歌を初めて聴いた時、桑田佳祐さんの歌詞を全部理解できましたか。「え、何って歌っているんだろう」と思った人はきっと多いはず。日本語なのに、です。けれど、何度も聴くうちに分かるようになりましたよね。英語も同じです。自分の発音と違う発音の言葉に出合ったために、聞き取れなかっただけなのです。

 

日本語でも聞き取れない言葉があるのですから、英語が聞きとりにくいのは当然。でも、ディクテーションを繰り返すことによって、自分がどの発音に弱いのか、どの言葉が聞きとりにくいのかが分かってくるため、ぐっと進化の速度が増すはず。ぜひ試してみてください。

 

大きな間違い
まず言語音が物理的にどのようなものか、そしてその音をどう認識するかが分かっていません。

安河内氏は“日本語の母音は5つ、英語は母音だけでも24(諸説あり)もあり、子音も日本語が16に対して英語は24。圧倒的に英語のほうが多いのです。”と言っています。

音声の時間軸に母音と子音が同格で並んでいる訳でありません。音声学の音素は概念の音であり、物理的な音でありません。

 

定周波数を持つ母音だけでも24“諸説あり”となっているのは母音でさえ物理音として取り出し、物理的な定義ができないのです。定周波数のない、雑音のような子音を取り出す事はもっと難しい事になります。

音声認識もその音素を照合して聞いているのではありません。言語音は連続的に変化する音のストリームであり、聞いた音と、記憶にある音のストリームの特徴の照合です。

聞き取りができないのは「音」として認識できていないために、耳に入ってくる言葉が理解できないのではありません。

 

もちろん、聞き取りができない原因には次の要因ではありません。
(1)単語を知らなかった
(2)特定の音が聞き取れなかった
(3)イントネーションが自分の認識と異なっていて分からなかった

 

ネイティブが話すような音が記憶に存在しないから、聞き取れないのです。その音を聞き取れるようにするためには忘れないように覚える以外にありません。

 

ディクテーションをしてチェックをするのは単なる時間の無駄です。言語音は文字で表現できない音がたくさんありますから、理解できれば十分です。例えば3人称単数の現在のSがあるとか、名詞の複数単数などどうでも良い事なのです。