進化する学習法、英語教育の最前線 | 最適性理論(音のストリーム)で英語を覚える

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  音声英語、つまり英会話、リスニング、発音に関して音のストリーム・ベースで学習するサイトです。

池田 和弘がニッケイオンラインで次のように言っています。

 

段階的に完全に近づける学習法
 さて、もう一点、英語教育が進歩してきていると感じるのが、いわゆるラウンド制と呼ばれる手法に代表される指導方法です。これらの方法が、これまでとどう違うかというと、「不完全な学習を段階的に完全に近づけていく」という発想で行われるという点です。これまでは、たとえば「一章ずつ完璧に」という発想でしたが、この方法においては、6割程度の理解・習得で、学習をどんどんと先に進めます。そして、たとえば教科書を最後まで終えたあと、また、第1章に戻り、つぎは7~8割の理解・習得を目指して学習を進めるのです。その進め方も、ワンパターンではなく、各ステップで異なった角度から英語にアプローチします。

 

 なぜこれが優れた手法であるかというと、「不完全から完全へ」+「異なった角度からのインプット」というのは、人間の脳の学習のプロセスとまったく同じだからです。では、どうして人間の脳がそのようなプロセスを踏むかというと、不完全な学習を様々な角度から積み重ねると、異なった状況に柔軟に対応できるからです。つまり、人間の脳は100点満点は取れなくても、80点ぐらいの精度で様々な問題に素早く答えを出すことができるように作られています。このような学習は、変化する環境に対応するのに有利ですし、また創造性も生まれます。

 

 ちなみに、この高校バージョンでは日本語を積極的に活用しており、安易に英語オンリーとしていない点に好感が持てます。以前の記事にも書いたように、高度な英語力を身に付けようとするなら日本語の活用は必須です。フィリピンのように、幼稚園から国語以外すべて英語というような施策を取るのなら別ですが、これは日本語を放棄することを意味します。

 さて、今この記事を読んでいる方の中にも、今年こそ英語をなんとかしたいと考えている人がいると思いますが、6割程度の学習を繰り返す中で8割あるいは9割を目指すという発想で取り組むと、息切れせずに確実に英語を習得していくことができます。

 

 TOEICが気になっている人もいるでしょうが、たとえば、分からない語彙については調べるとか、音声は1度だけでなく2回あるいは3回繰り返し聞くとか、さらにはスロー再生するとかいったように自分なりに難度を調整するようにすると、学習が苦痛でなくなり継続できやすくなります。

 私たちは、テストに完全に支配されていて、真正面から問題を解こうとしますが、たとえばTOEICは990点満点までの力を測るように設計されたテストです。ですから、もしあなたがすでに800点程度取れているのであれば、正面突破も悪くはなく、むしろ楽しいかもしれませんが、300点や400点であるとそれはとても危険です。決して焦らず、「適度な圧力」を感じながら「できる」を積み重ねることが確実にスコアを上げる基本戦略です。

 

 TOEICについて付け加えるなら、このテストの英文は社会日常英語で、アカデミックなものではありませんので、内容自体が分からないということは決してありません。これは、以前お話しした「TOJIC」を解けばすぐに分かることです。ですから、和訳と英文を比較しながら自分が何を分かっていないか、どこにつまずいているのかを診断し、そこをピンポイントでしつこく音読するなどすると、ジワジワと実力が伸びていきます。

 

 もう一点付け加えるなら、Part5をまともに解いてはダメで、ピンと来ない問題がある場合には、即座に正解と和訳をチェックし、文意を理解した上で音読することをお勧めします。さらに言うなら、Part5には一定の傾向がありますので、それさえ理解できれば、他のパートを学習する中で得点率は上がっていきます。最悪なのは、「これは他動詞だから」などと文法的に理解しようとすることで、言葉はつまるところ「意味と形(音)」ですので、「こう言いたいときにはこの形を使うんだ」という理解の仕方で、英語に対する「慣れ」を養おうとすることがスコアアップにつながります。また、それがTOEICの狙いでもあります。

 

 もちろん、自動詞・他動詞やO(目的語)・C(補語)とかいった言葉に抵抗のない人は文法的にアプローチをするのは大いに結構です。しかし、動詞ひとつとっても、あるときは自動詞・他動詞、あるときは完全動詞・不完全動詞、あるときは瞬間動詞・動作動詞、あるときは使役動詞・知覚動詞ということになり、非常に複雑で覚えるのが大変なだけでなく矛盾や例外を伴うケースも多々あります。

 これに対して、英語教育の最前線における文法のとらえ方は、文法は根幹的な部分しか教えず、あとはなるべく「意味と形(音)」、もしくは「形(音)と意味」に焦点を当て、英語をダイレクトにつかむという発想です。実際、数はまだ非常に少ないですが、この発想にもとづく問題集が現れ始めています。今後、文法の教え方は大きく変わっていくでしょう。

 

 私は、長年にわたって「learner-friendly(学習者に優しい)」を標榜し、様々な指導方法や教材類を開発してきましたので、最近のこのような傾向にとても期待しています。また、自らも、より学びやすく効果的な手法を見出していきたいと考えています。

言語の基本は文法や音素ではありません。すると「不完全から完全へ」ではなく、ネイティブを真似て、よりネイティブらしくするが正解だと思います。ルールの無い言語では、少なくとも正しさを追及するものではありません。

 

正さが存在するなら、テストで完全をチェックでき、真正面から問題を解こうとするのは正しい事です。人間の脳は100点満点は取れなくても、80点ぐらいの精度で様々な問題に素早く答えを出すことができるように作られているのはなく、言語の場合は真似てフィードバックでより近付ける事が可能です。そして脳の言語処理は正しい間違いで判断するものではなく、統計的な処理です。

 

脳は真似た人工知能の翻訳も音声認識も文法や音素基盤ではなく、統計的なマッチングの処理です。その真似る学習がディープラーニングと呼ばれる学習方法です。

脳は言語を統計的に処理をしますから、矛盾や例外と言う判断の必要はなく、良く使われるとか、あまりないとか、聞いた事がないと言う判断をするだけです。

そのような文法を根幹的な部分しか教えず、英語をダイレクトにつかめという発想は生徒は混乱するだけだと思います。