最近の東大寺の話題から。七重塔について。 

消失した東大寺七重塔の相輪(そうりん)のレプリカが大仏殿の東にひっそりと建っています。1970年の大阪万博の古河パビリオンに高さ86メートルのレプリカがつくられました。困難を克服し夢の事業を成し遂げた古代人の英知をたたえました。そのときの相輪です。 

2024年4月25日、奈良文化財研究所は8世紀半ばの奈良時代に建てられ、焼失した東大寺の東塔(七重塔)について、高さ約70メートルだったとする復元案を公表しました。明治時代以降、100メートルだったとする説との間で論争がありましたが、文献などを精査した結果、江戸時代に根拠となる数値が書き改められていたことを突き止めたそうです。 

奈良時代の東大寺には大仏殿の南に東西2基の七重塔があり、東塔は764年ごろに創建。1180年の平氏軍による南都焼討でいったん焼失し、鎌倉中期に再建されましたが、南北朝時代の14世紀に落雷で再び焼け落ちました。その後の再建は未完に終わり、現在では礎石も失われています。 

同研究所は東大寺から委託を受け、2018年から実現可能な復元案を示すための調査を実施。遺構の発掘や文献史料の調査などを進めていました。 

同研究所によると、高さが記載された四つの史料について各種写本を分析した結果、100メートル説の根拠となった「33丈余」の記載は、江戸後期の国学者、伴信友が書き改めたもので、元は「23丈」だったと判明。現存する他の塔などと比較して約70メートルの復元案を作成し、構造解析の結果、実現も可能と結論付けました。 

復元されたら、ぜひ見に行きたいものですが、いつのことになるのやら。