放生院(ほうじょういん)は、宇治市宇治にある真言律宗の寺院で、山号は雨宝山(うほうざん)、寺号は常光寺(じょうこうじ)です。本尊は地蔵菩薩、通称の橋寺(はしでら)の由来は、近くの宇治川に架かる宇治橋をかつて放生院が管理していたことによります。

寺伝によると、604年、聖徳太子の命を受けた秦河勝が宇治橋を架けたときに開創されたといわれています。また、元興寺の僧・道登によって646年に宇治橋が架けられた(境内にある宇治橋断碑の碑文による)際に宇治橋の管理のために創建されたという説もあります。

鎌倉時代後期の1281年には西大寺の再興などで知られる僧・叡尊によって、再興されました。叡尊は1286年に宇治橋を復興させ、それの完成に合わせて宇治川の中洲(現・塔の島)に浮島十三重石塔を造立し、放生院で放生会を行っています。これにより院号が放生院となりました。また後宇多天皇より寺領300石を下賜され、宇治橋の管理を命じられたため、それ以降、『橋寺』と呼称されるようになりました。

1479年、三室戸寺と論争になり、放火されました。室町幕府の援助などにより復興されましたが、江戸時代の1631年にも火災に遭い、焼失しました。

飛び地があり、宇治川の人工島「塔の島」に建つ石塔『浮島十三重石塔(重要文化財)』は。1286年、宇治橋の完成に合わせて叡尊が造立しました。現存する近世以前の石塔としては日本最大であり、塔の高さは15.2メートルもあります。

2010年5月に行ったときの写真です。