タイトル ぼくのともだち

著者 エマニュエル・ボーヴ

訳者 渋谷 豊

出版社 白水社

出版年 2005年11月

 

内容・所感 著者は1898年にフランスで移民の子どもとして生まれる。作家コレットに見出され本作でデビューした。

芸人ハリセンボンのはるかさんがYOUTUBEの番組で紹介していて知った本。

モンルージュのアパートに暮らすヴィクトール・バトン。先の戦争で怪我をし傷痍軍人年金で生活している。決して裕福とは言えないが日々の食事は何とかなっている。

バトンは孤独をいやす「ともだち」が欲しいと常に願っている。それは ただ考えているだけでなく行動にも移す。

お店でちょっと視線を感じたとか 駅でポーターと間違えられたとかをきっかけに。。。

少し食事をしながら話をすると とたんにこの人は自分の友達だとなる。そしてそこからちょっといじましいくらいの行動をする。待ち合わせの場所をウロウロしたり 偶然や嫌らしくないタイミングを見計らうなど。

そんないじましい努力も水の泡。あと ひとつのところで結果的にともだちにはなれない。そんな話が5人紹介されている。

 

物語の最後の言葉を抜粋

孤独。なんて美しく、なんて悲しいものだろう。みずから選び取った孤独は、この上もなく美しい。意に反した長年の孤独は、限りなく悲しい。

強い人は、孤独でもさみしさを感じない。でも、ぼくは弱い。だから、ともだちが一人もいないと、ぼくはさみしい。