タイトル ほんとうのリーダーのみつけかた

著者 梨木香歩

出版社 岩波書店

出版年 2020年7月

 

内容・所感 著者が「僕は、そして僕たちはどう生きるか」という本を理論社から出版し それが岩波書店から文庫化されたのを記念して開かれた講演会の時のメモがもとになっている。

著者は「教育基本法」の改正が行われることになり その中で「国を愛する」という極めて個人の感情に関わること法律として明文化することに違和感を覚え 書き進めた本。吉野源三郎氏の「君たちはどう生きるか」を意識している。

 

人間は「群れ」「集団」を形成することで生き延びてきているもの。しかし この「群れ」がコントロール出来るという以上の力を持つときがある。それが「同調圧力」として強い影響を及ぼす。鉛筆の長さを使った実験を例にあげ説明している。それは 明らかに短い鉛筆を長いと選ぶようにあらかじめ言われた人の中に一人だけ 何も知らされていない人がいるというもの。この人は結果的に首をかしげたりするなどの態度を示しながらも 選んだのは大勢いと一緒のものだった。もちろん「和」が大事にされる必要もあるのだが。

 

誰よりもあなたの事情を知っている 両親よりも 友達よりも 先生よりも。あなたがそうしなければならなかった 人生の歴史も。あなたの味方 いつだってそばに立ってかんがえてくれる その人を著者はリーダーだとしています。

そして それは自分の中にいる 自分のなかの目としてその人についていけばいいと。

 

しかし その自分を高めることには情報を得ることが大事と。でも それを受けとる時に注意深さも必要である。ここではテニスの試合 錦織選手対ジョコビッチ選手の試合をメディアがどのように伝えたかで紹介されている。

この情報が必ずしも そのままを伝えていない つたえてすらいない ということは現在のマスコミにおいて多々ある。そういう意味では一つのメディアだけでなくいろいろなものを見る 読む必要がある。

 

簡易な言葉で書かれたものでティーン向けの本なんだろうなと思う。自分の中の「目」をリーダーとする考え方はなるほどと思った。誰かのせいに出来ない 誰かがやってくれる そうではなく 「自分」なのだ。