私はもうこの先
身近な人に
恋はしないと思う
そんなことを
ふと思った時
寂寥感が
漂ってくる
今まで
私を好きになってくれた
男性は
ありのままの自分を
好きになってくれた
時には
感情の起伏の
激しさも
分刻みで変わるような
気まぐれも
かわいげのない
わがままも
好きという感情が
あったからこそ
許されてきた
でもそれは
若さがあったからだ
53歳の今
当然ながら
過去の若さを
取り戻すことは
できない
日々
女としての自信を
失うことで
“恋”という字が
私のなかから
消え去ろうとしている
できることなら
もう一度だけでも
誰かを
好きになりたいという
気持ちはある
というより
好きになるような
素敵な人が
どこかにいてほしい
と言った方が
正しいだろうか
たとえ
素敵な人が
ある日突然
現れたとしても
ときめきは
一瞬だけで
すぐに
冷めていくような
気がする
ありのままの自分を
好きになってくれた
過去の栄光を
いまだに引きずる
自分がいる
好きになって
もらうために
あれこれ
努力することが
億劫だ
こんなことを
思った時点で
恋は
現在も未来にも
存在しなくなる
悲しいことだが
これが
今の私だ
私が初心にかえるためのドア