「サラダ記念日」(俵万智)
愛を告げる幾十の言葉より気にかかる
ハンバーガーショップの席を
立ち上がるように男を捨ててしまおう
江ノ島に遊ぶ一日
それぞれの未来があれば写真は撮らず
梅雨晴れのちりがみ交換
思い出もポケットティッシュに換えてくれんか
親は子を育ててきたと言うけれど
勝手に赤い畑のトマト
なんでもない会話なんでもない笑顔
なんでもないからふるさとが好き
コンサート果ててライトがほの白く
笑う日常までのしばらく
「平凡な女でいろよ」
激辛のスナック菓子を食べながら聞く
タイトルは知っていたし、
有名な
サラダ記念日の短歌はしっていたけれど
はじめてこの歌集を読んだ。
思わずぐいっと心をある場所に飛ばされたり、
ぷぷっと笑えてしまったりと
これが20-24歳の俵万智さんの作品だということをあとがきで知ってさらに驚いた!
でも読み返せば
確かに、、エネルギッシュな20代前半の自分の過去とも重なるような、もしくは当時にそんな話を聞いたような、、、。
この本が出た頃はまだ私も幼く、
もしその後20代の頃この歌集に出会っていたら、、とも思うけれど
歳を重ねた今でも
違和感もなく、スーッと入ってきて共感できるのは
俵万智さんがあとがきでも書かれていたように
この歌集は
俵万智さんの一人芝居、というところだろう。
古来から受け継がれてきた短歌の定型の中で
その言葉ひとつひとつがまさに台詞のように響いてくること
少し時系列になっていて感情に引き込まれたり、テーマ別に整理されているのも、舞台でいう場面転換を感じられた。
子育ての中、ゆっくりと長編を読もうとするとしばしば中断が入るので、
短歌はそういう意味でもありがたい!!
そして当時この歌集が社会現象を起こしたように、私も台所で気に入った短歌を口ずさんでしまうのだ♪