ちょうど1年前くらいに、たーりーさんがバレエをやりたいと言い始めた。


でも、実際に行ってみたら、怖くて車から降りることさえできなかった。


今ではすっかり慣れて、冬休み前に見学に行ったら、進んで発言したり、前の列で踊ってたりしていた。


レッスンの最後に、3月に行われる試験についての手紙をもらった。


一人で試験官の質問に答えたり(名前とかだけだと思うけど)踊ったりしなきゃいけない。やらせたいけど、どうかな?と思っていたら、先生が


「たーりーさん、どう?試験受ける?ニコニコ


と聞いていた。たーりーさんは即答で


「ノーニコ


先生も分かっていたのか


「あー、そう。オッケイ知らんぷり


🩰   🩰   🩰   🩰   🩰


受けなくても次のグレードのクラスには進めるし、次のグレードの試験も受けられるから心配しないで、と言われたけど、頑張ってできたらいいなと思っていた。


去年の春に入ってきた、現地校のクラスメートのCちゃんは受ける気満々。


朝学校に行く途中、旦那さんがたーりーさんに


「たーりーさんとCちゃんが一番上手に踊れてたね。ほかの子達は比べ物にならないくらい。Cちゃんも上手だけど、やっぱたーりーさんが一番かな」


とおだてたらしい。


Cちゃんに対して、密かにライバル意識があるたーりーさん。


「たーりーさん、試験受けるニコ


となったらしい。


申し込みは1月頭、受験料と10回のエキストラのレッスン費を払うことになる。


様子を見て直前に申し込むこともできないし、申し込んだらやっぱイヤ、も言えないので(言えるけどお金は返ってこないと思う)しつこくならない程度に数回確認した。


試験は一人で受けること。木曜日の通常のレッスンに加えて、火曜日に違うところでレッスンを受けなくてはいけないこと。Cちゃんは木曜日と土曜日にレッスンを受けるので、火曜日のレッスンは一人になること。


それでもかわらず


「うんニコ


最近はスイミングにも通い始めたり、やりたい気持ちが、怖い気持ちに勝ってきているようす。


木曜日に来てるうちの二人は火曜日のレッスンに行くって聞いてたし、いつもと違う先生だけど毎週会っている人だし。


やらせることにした。


🩰   🩰   🩰   🩰   🩰


そして今日、火曜日のレッスンが始まった。


実はここ、一年前、たーりーさんが車から降りることさえできなかったところ。駐車場に停めながら、デジャヴみたいだと思った。


今日はたーりーさん、躊躇することもなく、さっと車から降りて、一緒に中に入った。


木曜日の先生(ミスL)が自分の娘をレッスンに連れてきていて


「ミスたーりーさん!ひらめき


と元気に話しかけてきてくれた。


前のクラスが終わって、ミスMがドアを開けた。


「ママ、ここで待ってるからねウインク


と言ったら


「うんニコニコ


と言って、ミスMのところへ行った。


レッスンは30分。次のレッスンを待ってるグレード2の子達と話してたら、あっという間に終わって、たーりーさんが出てきた。


「たーりーさん、頑張ったよ!上手にできてたニコニコ


とミスMが言ってくれた。


「レッスン中、トイレに行きたくなっちゃったチュー


と言うので


「トイレ行く?ニコニコ


と聞いたら、うん、と言うので、トイレに寄ってから駐車場に向かった。でも


「次のレッスン見たいお願い


と言うので、外から少し覗いた。先生と子供たちが輪になって座って話していた。


「まだレッスン始まらないみたい。帰ろ照れ


と言って車に戻った。


そのとたん


「イヤだムキー


と言う。遅かったので、とりあえずなだめてシートベルトを締めて、家に向かった。


後ろでは、たーりーさん、ひたすら


「もう、イヤムキー


と叫ぶ。でも


「じゃぁどうする?やめる?ショボーン


と聞くと


「やめるって言ってないの!ムキー


心の葛藤が伝わってきた。


一年前も、ひたすら


「イヤ!バレエ大嫌い!やらないムキー


って泣きながら怒鳴るたーりーさんを聞きながら、同じ道を運転したっけ。


家に着いて、旦那さんに


「バレエどうだった?」


と聞かれて


「○△✕□!!!!!ムキー


と音を発して二階に消えていった。


夕飯ができたことを伝えて、旦那さんと食べ始めたら、そろっと降りてきて、食べ始めた。


最初はブスッとしてたけど、そのうちに会話に入ってきた。


明日、学校の帰りにでも、そおっと聞いてみようと思う。