イギリスに住むようになって20年以上経つ。最初は驚くことが沢山あったけれど、だんだん

「え?」

と思う事も普通になってきた。

平気で交通信号を無視したり、雨が降っても傘ささなかったり、食器についた洗剤をゆすがなかったり。

イギリスの感覚にも慣れてきた、と思っていたけれど、子供の頃に得た感覚って、一生なくならないかもと最近思う。

イースターホリデーが終わると、イギリスの学校ではサマータームが始まる。それと同時に夏の制服に替える人が多いらしい。それを聞いて、たーりーさんにも夏の制服を買った。

日本ならまだしも、イギリスはまだ暖房を入れたいくらい寒い。暑い日本だって衣替えはまだまだ先だっていうのに。というわけで、今朝は冬の制服を来て出かけていった。(さすがのイギリス人もまだ早いと思ったのか、ほとんどの子供は冬服のままだった)

衣替えの日にちは決まってなくて、イギリス人の旦那さんに言わせると

「夏服を着る気分になったら着る」

のだそう。

しばらくは冬服で良さそう、と落ち着いたところ、

「はぁ?」

という事があった。

たーりーさんの学年の親御さんたちの、日本で言ういわゆるLineのグループがあり、私もメンバーのひとり。

去年の9月に新学期が始まる前に、説明会があり、勿論制服の決まりも聞かされた。

夏は女の子はピンクと白のギンガムチェックのワンピース。写真付きの説明のプリントも渡され、これ以上明確にできないくらい。

たーりーさんとワンピースを買いに行った時、

「たーりーさん、赤のがいい」

と言うので、たーりーさんの学校はピンクじゃなきゃいけないんだよ、と言うと

「だって、〜ちゃんは赤着てるよ」

「あぁ、お母さんが間違えちゃったのかもね。多分先生に、ピンクのを着てきてくださいって言われるよ」

と言った。

ところが、赤のワンピースを買った親が結構いるらしい!グループチャットで

「え〜、赤じゃなかったのぉ?」

と言う人が数名。

「ちゃんと説明会で言われたし、ピンクのワンピースは何処でも売ってるよ」

と私が思った事を言ってきたお母さん達も数人いた。

ところが学校の知事の一人が、

「うちはピンクと赤と両方買ったよ。学校はピンクって指定してるけど、どっちでもいいみたい」

ポーン

え?

それって、制服を指定する意味ないんじゃない?学校の規則は守るものだ、と言われて育ってきた私には、その感覚、びっくりっていうより、ついて行けない。(守ってなかったけど)

最近「これが普通」って言う事が普通でなかった、と言う事が良くある。

でもイギリスは、特にこの辺は、いろんな人種が住んでいる。イギリス外で生まれ育った親御さんも沢山いる。イギリスで生まれ育っていても、親が国外出身だと、基準が受け継がれるから、またイギリスで普通とされるのとは、違う人もいる。

イギリスに来て、最初はこっちの普通に慣れようとしていたけれど、色んな「普通」がある事に気づき、最近ではまわりの意見を聞いて、その上で「自分はどう思う」と考える事が多い。

それにしてもイギリスの学校はかなり舐められている。危ないからピアスはしてこないでください、と言っても親は無視。飾りのついた髪のゴムや飾りは学校にはつけてこないで下さい。おもちゃを持って来ないでください。何度も言われるのに、親は無視。

おまけに校門の目の前の駐車禁止のところに止める親もいる。

一応学校が良いと評判の地域なのだけれど。