今年の7月に乳がんが見つかり、検査を受けたり、がんについて読み始めたりして、頑張るぞ!という気持ちになれた。日本の家族に報告するのは辛かったけれど、叔父も父もがんを経験している。家族の友人や知人も経験者がいて、心強い言葉をかけてもらった様子。

9月の頭には腫瘍を取り除く手術を受け、順調に回復して、抗がん剤の治療が始まるのを待っているところだった。

10月2日の月曜日の朝、オンコロジストに会いに病院へ向かう途中、日本に住む兄からメールが届いた。

「父はかなり衰弱して長くないかも… 会いに来れるといいのだけれど」

父は2週間ほど前に腸閉塞で入院した。母からそのことはメールで聞いていたけれど、様子を聞いても、治るのにそれくらいはかかるから、と言った感じだった。でも実際は断食のせいでかなり衰弱してしまい、周りはとても心配していたらしい。母は悪いニュースは聞きたくない、と主治医を避けていた様子。兄から連絡が来るまで、そこまで様態が悪化しているとは全く知らなかった。

オンコロジストから

「治療が始まったら難しいから、今のうちに会いに行きなさい」

と言われ、旦那にたーりーさんを任せ、突然の里帰りとなった。

着いた時点では主治医から緩和ケアの手続きを始めた方が良い、と言われたくらいだったけれど、幸い手術が出来て、私が日本を立つ頃にはリハビリの話が出ていた。でも残念ながら入院中にがんがかなり進んでしまい、末期に入ってしまった。

イギリスに戻ってきて一週間が経つ。最初の数日は時差ボケもあり、あっという間に過ぎた。時差ボケが抜けてきたら、涙が出てきた。頭がボーッとして集中できない。

日本を離れて今年で丸20年。今回初めて後悔した。親も歳をとるってこと。こんなに早くに感じるとは。