Yes No 21 | 櫻と葉っぱの物語❤

櫻と葉っぱの物語❤

櫻葉❤
ときどき大宮☆

こちら側の方のみいらしてください☆

【2017年11月開設】

ファン歴非常に浅いため、
諸所おかしなところがあるかもしれません。

ご愛嬌と優しく許してくださったら幸いです。

【お話の内容転写利用、画像利用などお断りします】

櫻葉❤

 

 

 

 

ご理解ある方のみおすすみください☆

 

はじめましての方へ→ こちらへ

 

 

 

 

 

 

 

 

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Side S

 

 

 

 

 

 

 

 

8月の正午、なにもしなくても額に汗が噴き出る。

 

もともと汗っかきだ。

 

けれどいま、ソイツと並んで歩いてると思うと、

 

いつもよりもどこか汗の量が多い気もした。

 

 

「落とし物入れに入れようか迷ったんだけど、

 

また来週に会えるかなって思って」

 

 

つまり、コイツは今日の英語の授業をこの夏休み中は取っているってことだなと

 

独り確認する。

 

 

「落とし物入れなんてあんの?」

 

「あるよ。オレよくモノを無くすから知ってる」

 

 

聞けば、受付の脇にあるらしい。

 

そんなの知らなかったなと思う。

 

 

 

予備校に入るとそれだけで涼しくてホッとする。

 

 

「このあとなに取ってんの?」

 

「英語」

 

「また英語?」

 

「そう。今度はグラマー」

 

 

少し落ち着きを取り戻して隣で聞く、

 

ほっぺの柔らかそうなソイツの声は、ほっぺみたいに柔らかかった。

 

 

「君は?」

 

「俺は現代文。しかも2時45分からとか微妙な時間」

 

 

すると、ソイツはあははっと笑った。

 

その笑い方がなんというか、、、胸がキュッとして俺も笑う。

 

 

「オレ、前に君を見たことあるんだ」

 

「え?」

 

「ちょっと前にお試しで受けた授業で、同じ教室だったことがあるの」

 

 

ドキリとした。

 

ゴクリと唾を飲んで、

 

 

ああ、よく覚えてるよ

 

、、、と。

 

 

なぜか俺は言わなかった。

 

 

 

 

前にも思ったけど、予備校ってなんか不思議な世界だ。

 

 

毎週会う仲なのに、そいつらと話すことはない。

 

 

毎週会うけどその時間はたった90分だけ、

 

みんな同じ方向を向いてペンを走らせているだけだから、

 

それ以上仲良くなりようがないのだ。

 

 

それでも、この夏期講習にでて少しだけそれが変わる。

 

 

「俺、櫻井翔」

 

「オレは相葉雅紀」

 

 

妙な自己紹介を、

 

予備校の自販機の前のテーブルに二人一緒に座りながらする。

 

 

独りで食べる予定だった、

 

コンビニで買ったそのおにぎりを二人して食べながら、

 

どこかいつもよりテンションが高くなってることに

 

俺は気づいてはいなかった。