櫻葉❤
ご理解ある方のみおすすみください☆
はじめましての方へ→ こちらへ
**************************************************:
Side M
「相葉くん」
「はい」
戻ればもうそこには櫻井部長が仕事をしてる。
ちゃんとお昼を食べたのだろうか、、、なんて心配になるくらい、
このヒトは本当にいつだって仕事をしているのだ。
「午後イチでちょっと打ち合わせいい?」
「はい。大丈夫です」
と言いながら、身体がドクンと音を立てる。
なぜなら櫻井部長から打ち合わせと言われるときはほとんど、
隅っこにあるさほど大きくはないミーティングルームで二人きりになるからだ。
それはあくまで仕事中なのに、
そんなことを忘れてしまうくらいにドギマギしてしまう。
「あ~腹減った」
「え?食べてないんですか?」
ミーティングルームに入るなり、どこか少年のような幼い顔をする。
「そ。だから内緒にして」
言いながら、櫻井さんはミーティングルームのカーテンを閉める。
すぐそこに社員がいるとわかっていても、
目に入るヒトは櫻井部長だけになって、やっぱりドクンと自分のどこかが鳴る。
櫻井部長は座りながら、紙袋から資料を取り出す代わりに
コンビニのおにぎりを出した。
「これは口止め料」
そして、オレの前にはシュークリームが一つ、置かれた。
櫻井部長と視線が絡んで、思わず笑った。
「コーヒー淹れますね」
「ありがと」
櫻井部長はお茶よりコーヒーが好きだ。
勝手にその影響を受けて、オレもいまはコーヒーを飲むことが増えた。
といっても、
櫻井部長は甘いコーヒーが好きで、オレはもっぱらブラックだ。
ここにはインスタントしか置いてないけど、
どこか丁寧にコーヒーを淹れる。
「相葉くんはお昼なに食べたの?」
「唐揚げ定食です」
偶然、大野先輩と一緒になって、奢ってもらったことを伝えた。
「あ、ずりぃの。今度は俺も誘ってよ」
味気ない紙コップに淹れたコーヒーを机に置きながら、
おにぎりを頬張る櫻井部長の斜め左に座る。
こういうとき、オレは少しだけ困惑する。
どこまでが社交辞令なのかがわからないからだ。
でもいつだって櫻井部長は真剣だ。
だから、、、
「はい。もちろんです。
近いうちにまたって大野先輩とも約束したので
セッティングします」
一旦、言葉にしたことはすべて、実際にやることにしている。