櫻葉❤
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Side M
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「お~い相葉~」
「っはい」
会議が終わるとそのまま櫻井部長に呼ばれた。
「さっき提示してくれた企画さ、
全体的な流れは良いと思うけどもっと細かく数字出せる?」
「具体的にどのあたりの数字ですか?」
はじめて櫻井部長と話したのはいまからもう1年程前になる。
そのころ上司だった大野先輩と並ぶ、この会社で知らない人はいない、
なんというかとても目立つヒトで、それはいまももちろん変わらない。
入社当時から仕事ができるだけでなく、
後輩の面倒見がいいといううわさも聞いていたし、
それになにより、
大野先輩も櫻井部長も、とても、、、整った容姿をしてる。
「ここの予算と根拠の数字。このままだときっと突っ込まれるぞ」
「はい。すぐやります」
「あとココなんだけど、、、」
櫻井部長の長くてキレイな指先がコピー用紙の上をすべって、
その流れるように動く指先を見つめるだけで、オレの身体はまたドクンと脈を打つ。
同じ会社に勤めてはいても、なんの接点もなかった櫻井部長と
はじめて話した場所は会社ではなくて居酒屋だった。
このヒトは名前も知らなかったであろうオレにはじめから、
ずいぶんと気を使ってくれていた。
それもさりげなく、、、だ。
居酒屋で突然現れた櫻井部長に、
あの頃は緊張の方が勝ってしまっていて
とてもその気配りに気づけなかったけれど、
あれから何度か社内外のどちらでも話す機会が増えていくにつれ、
このヒトの面倒見の良さと気配りがわかるようになった。
そうして、櫻井部長のおかげでオレはいまこうして、
配属を希望してた企画部で働くことが出来ている。
もちろん、
当時、営業部でお世話になった大野先輩のおかげでもある。
だってあの日、
櫻井部長と引き合わせてくれたのは、大野先輩なのだから。
「相葉くん、聞いてる?」
「っすみません、もう一度お願いします」
コピー用紙の上をキビキビ動くその指先ばかりに気を取られて、
おまけにその心地よい声の響きにドキドキしてしまって、
大事な指摘内容を聞きそびれてしまった。