智のおかげで随分と楽になる。
ようやく
腕くらいなら動かせそうだ。
ソレは、、、その力はとても強い。
死神のトップだけに宿る、、、
ソレは自分で宿る神を選び、その神を試す。
乗っ取られたら器である自分が滅びる。
どちらが勝つか。
ソレはただ、それを楽しんでいる。
共存できる神だけが
ソレと死神界を牛耳る。
共存できた死神は
歴史に名を遺すほど
強烈な美しさを身に纏う。
それはときおり
神界を脅かすほどに
残酷なまでのまぶしい光と影を身に纏う。
俺たちがこの世界に産まれて
俺たち二人ともがその直後にわかった。
死神は、、、
ある意味では神よりも
強くなければならない。
その闇を受け入れ
手名付けられる器が必要になるからだ。
ソレは
俺ではなく
雅紀を選んだ。
ーーー雅紀がすべてーーー
そんなことは
カタチになる前から
わかりすぎるほどわかっていた。
俺には雅紀だけだ。
だから産まれてすぐに
怖がる雅紀に
ずっとそばにいると言った。
俺が身代わりになるとも。
輝きが過ぎれば過ぎるほど
そこには闇も生まれる。
雅紀の輝きは
すべてを飲み込む。
それは、、、
きっといずれ、、、俺すらも、、、
「翔くんが苦しんでる姿を雅紀ちゃんが見たら、、、
一体どうなるんだろうね」
ニヤリと笑って智が言った。
「悪趣味だな」
「ww 俺は悪魔だもの」
「それは区別するためだけの名前だ」
「翔くんらしいな。
だから翔くんはいま、こんなに苦しいんだよ」
「うるせー」
「ww よかった。話せるようになってきたね」
、、、ほら。
「、、、お前こそ」
天使と何ら変わらない
その優しい笑顔で。
俺を労り、心配してるのは
悪魔である智だ。
本当はみな、すべてをわかってる。
神だの死神だの。
天使だの悪魔だの、、、なんて。
すべては区別のためだけの名前にすぎない。
善も悪もない。
本質はすべて、、、同じなんだ。
「しょうちゃん！！！」
突然
俺の名を呼ぶ雅紀の声が
聞こえるはずのないその声が
この暗い世界に響いた。