次は繰り上がりのあるたし算です。
※ダウン症児は繰り上がりのあるたし算が、最初のハードルになる子が多い気がします。私もどう教えたら、けんちゃんにとってわかりやすいのか、試行錯誤し、紆余曲折があって、最終的に落ち着いたのは、けんちゃんにとって、わかりやすいやり方です。王道ではないと思うので、1つの例として読んで下さい。
<ステップ1> 数え足し①
けんちゃんはくもんで算数を習っていて、くもんでは最初は数え足しで、そのうちに暗算で出来るようになりますという教え方でした(教室や先生・生徒により違うかもしれません)。
写真は『すうじノート』の表紙でやっていますが、その後、120までの『すうじのひょう』をもらってやっていました。
数唱が出来れば答えが出せますが、道具が必要なので、数え足しは<ステップ3> 数え足し②へと進化しました。
<ステップ2> ブロックを使って計算
学校では最初、繰り上がりの足し算はブロックを使って計算する方法で教わりました。
算数ブロックで10のかたまりを意識させたかったのだと思います。
ただし、ブロッグがないと計算できないことになってしまうので、ある程度で卒業しました。
<ステップ3> 数え足し②
数字表やブロッグなしで計算する方法として、学校でも、くもんでも、点を打って数え足す方法を教わりました。
右の数字に点を打って、数え足していました。〇を書く方法もありますが、点の方が早いので点でやっていました。
上の2つの方法と比べると、道具がなくても出来る点が良いですが、足す数が増えてくると、点を打つのが面倒になってきたようです
↑
右側のプリントをよく見ると(1)の6の上にしか、点を打っていませんよね
くもんは+1、+2...とやって+9までクリアすると、Mixされたプリントになるのですが、この+6の頃には(1)の2+6=8だから、次は(3)が9、(2)が10、(4)は11という風に左の数の順に答えを書くという知恵がついてしまい...意味がありませんでした(苦笑)
右の数に点を打つのではなく、小さい方の数に点を打つことにすれば、少しだけ早く計算できるはずなのですが、そう教えると混乱しそうなのでやめました。
この方法はだいぶ長い間、繰り返しやりましたが、結果的には、いくつかの組み合わせは覚え、暗算でも出来るようになりましたが、全ては覚えきれず
しかも、しばらくやらないと、忘れてしまうので、暗算には限界を感じました。
<ステップ4> 指で計算
点を打つのは面倒だし、暗算には限界があるとなり、指を使って計算する方法に落ち着きました。
学校でやったプリントにも「ブロックをつかわなくても、ゆびでかぞえられた。すごい!」とコメントをもらっています。
繰り上がりには指が足りないのじゃないと思うかもしれませんが、こんな風にやっています。
例① 7+6の場合
- 右手は5本、左手は2本で7を作る
- 左手を1,2,3と数えながら、薬指、小指、親指の順に開く
- 両手ともパー(=10)になったら、次は4と言いながら、両手とも1本指にする(両方の人差し指で11の形を作る)
- 5,6と数えながら、右手を中指、薬指の順に開く
⇒ 左手の指の1が10の位、右手の指の3が1の位で答えは13
では15より大きい答えになるどうやるの
例② 8+9の場合
- 右手は5本、左手は3本で8を作る
- 左手を1,2と数えながら、小指、親指の順に開く
- 両手ともパー(=10)になったら、3と言いながら、両手とも1本指にする(両方の人差し指で11の形を作る)
- 4,5,6,7を数えながら、右手を中指、薬指、小指、親指の順に開く
- 左手の指は1本をキープ、右手の指が5本になったら、右手を折り返し、親指、人差し指の順に8,9と閉じていく
⇒ 左手の指1が10の位、右手の指の7が1の位で答えは17
わかりづらいと思うので、ビデオに録りました。
(実際はもっとすばやくやってしまうので、ゆっくりやってもらいました。)
このやり方、誰に教わったのかナゾなのですが、器用に計算し、あまり間違えません。
答えが20以上になる計算は、筆算で1ケタずつ計算して、上のやり方で出来ます。
<ステップ5> さくらんぼ算
学校でも家庭でもさくらんぼ算に取り組んだのですが、定着しませんでした。
理由は10の分解、5の分解、数の合成・分解が苦手だからだと思います。
数の合成・分解も指を使ってしまうので、それならば、最初から<ステップ4>の指で計算する方が早いし、けんちゃんにとってはわかりやすかったようです。
試行錯誤して辿り着いた結論は...
暗算には限界があるらしい
10までの数の合成・分解は自在には難しい。パッと思い出せるものもあるが、思い出せないものある
具体物を目で見て計算すると安心する
具体物の中では持ち運ぶ必要もない、自分の指を使うことにした
暗算でわかるものは暗算で、不安がある場合は指を使う
これが現在のスタイルです。
当時、学校の先生に指を使った計算をやめさせたいと相談したところ、
- 計算のやり方は1つと決めなくてもいいと思う
- 見ていると、本人も暗算でわかるものは指を使っていない、でも、不安な時は指を使いたい様子
- 安心して計算し、正解して自信をつけることも大切では?
と言われて、ハッとしました。
指で計算することを、なんとなく恥ずかしい...と思っていたのは私であり、けんちゃんは恥ずかしいとは思っていなくて「安心」なのだから、それを尊重してあげよう、と思いました。
前の記事の「5の補数・10の補数が大事」というご意見だった先生とは別の先生ですが、どちらの先生も本人の様子をよく見て、その都度、その時に一番良い方法を提案してくれたのだと思います。
結局、中学生になった現在も、けんちゃんは繰り上がりの足し算は暗算と指でやっています。ケタが増えても、かけ算・わり算と進んでも、そのスタイルで出来ています。
ただ、繰り下がりの引き算は、さくらんぼ算+指でやっています。それは、また次の記事で紹介します。
なるべくわかりやすく書いたつもりですが...そしてダウン症児にとって、これがベストかもわかりません。あくまでも、うちの子の場合のやり方なので、もっといいやり方・教え方があったら、コメントいただけたら嬉しいです。
長文お読みいただき、ありがとうございます。