前回の続きです。
3日目の朝を迎えました。
朝、起きたらブレンダさんと会いました。
今日はお仕事がお休みなんだそうです。
ブレンダさん:「今日のあなたは、夜、ベンジャミンの聖歌隊の練習を見学するのよね。じゃあ、夕飯はそれぞれで食べましょう。ベンジャミンが仕事をしている教会はこの町から車で30分ぐらいかかるわよ。途中のハイウエイは混むかもしれないから、時間に余裕を持って出かけてね。
私は明日は仕事で朝早く家を出るの。だからあなたが帰ってきたときには、私はもう寝ていると思う。で、あなたが朝起きたときには、私はもう仕事に行ってると思う。じゃ、明日の夜、会いましょう。」
と、ブレンダさんにお別れをして、朝のレッスンに行きました。
今日は朝9時からのレッスンです。
途中、ファーストフードでコーヒーを買って&飲んで、先生の家に行きました。
アメリカのみなさんは、本当にドライブスルー(っていうよりも、車から降りない)が大好きです。こんなに並んでいても、さらに並ぼうとします。
と、言ってる私も並びました(^^ゞ
先生の家に行ってピンポンを押すと、先生がドアを開けてくれました。
先生:「おはよう。昨日のタレントショーはどうだった?」
私:「楽しかったです!子供たちのいろいろなパフォーマンス、とっても良かったです!」
先生:「フフッ。良かったってより、無邪気というかねぇ、タレント(才能)のショーではなかったねっ。」
と、先生は少し呆れていらっしゃいました(^o^;)
(その気持ちはよくわかりました💦 だって、ほとんどの子たちが練習していない&ぶっつけ本番で、衣装と最後のお辞儀だけが立派だったから(;^ω^)中には親に言われて、しぶしぶ出たのでしょう。ふてくされて&やけくそで演技した子もいました)
先生:「で、昨日の夜は練習できたの?タレントショーが終わって、教会に残って練習した?」
私:「あのぅ、、、。ごめんなさい。昨日は練習せずにブレンダさんと帰りました。そして寝てしまいました><」
先生:「そうですか。じゃあ、この時間は即興はしない。典礼と賛美歌を勉強しましょ。」
と、言われました。
即興の課題ができなかったので、先生は次のことを教えてくれません。
期間が決まった中で教えてくれようとするので、先生は厳しいです。
寝る間を惜しむとはこのことです。
先生は学生のときも、演奏家として活躍している今でも、少しの時間を見つけては練習しているんだろうな・・・。
だから家にパイプオルガンがあるんだ💦
先生:「それじゃあ、今から礼拝の仕組みについてお話します。」
と、言われたので、メモを取るためのノートをカバンから出しました。
先生:「礼拝には、『いつも変わらないもの』があります。
それは、
Kryie
Gloria
Creed(信条)
Sanctus
Agnus Dei
ただし、このGloria には、「This is the Feast」という歌も新しく加わることになりました。これは20世紀に入ってからです。
この5つの典礼歌は同じ歌をいつも歌います。
その反対に変わるものは、賛美歌だったり、聖書朗読の箇所だったり、説教だったり、祈りだったり。
この違いをしっかり頭に入れておくこと。
じゃ、今日は4番目の典礼を勉強しましょう。」
と、4番目の典礼の弾き方について教えてくださいました。
先生は、典礼の歌もReharmonizationをしてもよろしい、と言われました。
でも、即興演奏のようにいじりすぎないように。
ところどころに、スパイスを加える程度ぐらいにしなさい、と先生がお手本を弾いてくれました。
いつもと変わらない歌。
いつも歌う歌。
だからこそ、ところどころに新鮮さを感じさせるような音を入れてみなさい、と言われました。
確かに、聖書にも「新しい歌を主に向かって歌え」とありますね(^^)/
と、先生にそれぞれの典礼歌のふさわしい息継ぎのタイミング、ふさわしいテンポ、ふさわしい前奏の作り方などを教えてもらいました。
そして、賛美歌も勉強しましょう、と言われました。
先生は即興の達人だけど、ルター派の礼拝音楽の研究をしたり、本を書いたりもしています。だから、典礼と賛美歌の勉強も大事、と毎日言われます。
先生:「何の賛美歌を勉強する?」
と、聞いてくださったので、Good Friday(聖金曜日)とイースターの礼拝のプログラムを先生に見せました。どちらも大切な礼拝なので、先生という人に私の賛美歌の弾きっぷりを確認してもらい、注意を受けたかったので、事前にもらったプログラムを持ってきました。
私:「この2つの礼拝で奏楽をします。だから、これらの礼拝で歌う歌を先生と勉強したいです。」
先生:「あなたの教会のプログラムは、表紙にその日の礼拝の内容を表す絵があるし、牧師の言葉や信徒が唱える言葉などが全部が書いてあっていいね!」
そう言いながら、先生はGood Friday のプログラムをめくっていきました。
先生:「うん?これはBachのロ短調ミサの歌でしょ? 聖歌隊が歌うの?」
私:「いいえ、歌いません。プロが歌った録音を流すそうです。」
先生:「え~!?歌わないの?録音? 僕は録音は嫌いですーーー。」
と、言われました。
私たちの教会の牧師先生は、聖書に書かれている歌や絵画をとても大切にされます。聖金曜日の礼拝で読む聖書の箇所が、ロ短調ミサの歌の歌詞にピッタリあっている、ということで、Bach先生がつくった歌と一緒に聖書の言葉を聞きましょう、という意図のようです。歌詞だけではなく、楽器の動きも十字架に書けられた場面を素晴らしく表しています。血や涙がこぼれる様子や、イエスの悲痛を表す様子。ロ短調ミサ曲も、聖金曜日に聞くべき作品ですね。
本当なら、聖歌隊が美しく歌い上げてくれるのが理想ですが、小さな教会だとそれは難しいです。
先生に2つの礼拝の賛美歌を確認してもらって、1曲、1曲先生がお手本を弾きながら賛美歌を教えてくれました。
聖金曜日の歌とイースターの歌は真逆です。
聖金曜日の礼拝にふさわしいレジストレーション。
イースターの礼拝にふさわしいレジストレーション。
の、作り方も教えてくださいました。
先生:「あのね、ずっと気になってたんだけど、あなたはピアノのタッチでオルガンを弾いているね。それ、やめなさい。」
あー、そうなんだ~💦
やっぱり、私の弾き方って、ピアノチックになってるんだ~💦
先生:「あなたは指を上げて、下ろす、のタッチで弾いているね。マイケルはそういう指導をしているの?」
私が今、身に付けている弾き方は、マイケル先生から教わったものです。
マイケル先生は、ピアノの弾き方も取り入れなさい、と言われます。
最初は「え?オルガンは、鍵盤から指を離したらいけないんじゃないの?」と思ったけど、先生の一つ一つの音には芯があるように感じます。その音が連なることで、存在感のある音楽をつくることができるんだ、と思いました。そのためには、打鍵もある程度必要だと思いました。
先生:「オルガンを弾くときは、指を鍵盤から離さないの。そのために手首を少し上げて弾いてごらん。そうすると指は鍵盤から離れません。」
と、ベンジャミン式の弾き方を練習しました。
同時に2人の先生に習うと、異なる考えの狭間に立たされるということもあります。
でもこの5日間は、ベンジャミン先生の考えを受け入れて、身に付けないといけません。でも、奏法を瞬時に変えるのは難しいです><
あと、この歌についても教えてもらいました。
エピファニーでよく歌われる賛美歌です。
私:「この歌のここ部分にフェルマータをつける人もいます。ここはフェルマータをつけるべきですか?それとも、書かれている音符どおりに弾くべきですか?」
(◯で囲んだところです)
先生:「え?ここを伸ばして弾く人がいるの?もしかして、あなたの教会のオルガニストの人?」
私:「はい、もう1人のオルガニストの人はここを長く伸ばして、次の音を弾かれます。あと、神学校のオルガニスト講習会でも、そのように弾いていた人がいました。」
先生:「僕は、楽譜通りに弾くべきだと思います。オルガニストは自分の考えで賛美歌に変更を加えてはいけないと、僕は思うよ。あなたは、書かれている通りに弾くべき。でも、会衆が歌いやすいようにブレスを作ってあげたり、和音を変えたりするのは良いと思います。でも、音楽の流れを変えたり、止めたりするようなことはしないほうがいいと思うよ。
短調の歌があるでしょう?
歌い終わりの和音をピカルディ(和音の第3音を半音上げる)終止にする人も多くいます。でも、僕はなんでもかんでもピカルディにするべきではないと思う。」
先生:「僕とブレンダさんがメンバーとなっている教会には、5人のオルガニストがいることはあなたも知っているでしょう?」
私:「はい、知っています。すごいなあ、と思います。いいことだと思います。」
先生:「本当にそう思う?いいことだと思う?僕はそう思わない。オルガニストの数が多ければいいってことではないんだよ。
いろいろな奏楽者がいると、今のあなたのような問題が起きるんです。
あの教会でもそう。
あなたは僕と一緒に、典礼の歌に前奏をつくる勉強もしましたね。
でもね、中には前奏を弾かずに、いきなり歌から弾き始める奏楽者もいる。
さらに、この人はゆっくり弾くけど、この人は速く弾く。
などなどと、弾き方がそれぞれの奏楽者によって違うと、その教会の礼拝に統一がなくなってしまいます。
そうなると、牧師や会衆がオルガニストに合わせてしまう礼拝になってしまう。
本来はオルガニストが牧師と会衆を支えなくてはいけないのに。
だから、オルガニストの人数が多い教会は、オルガニスト全員が一致した奏楽ができるよう、ミーティングをしないといけません。奏楽者は礼拝の流れを作ってしまう大切な奉仕だからね。あなたの教会では、そういう打ち合わせ会なんかしているの?」
私:「いいえ、していません。」
先生:「じゃあ、一人一人が思い思いの奏楽をしているってことだね。一度、牧師と話し合わなくてはいけないことだよ。」
と、言われました。
私の教会では、トッツアン、シンディさん、そして私で奏楽をしています。
でも、この3人でどのように奏楽をするか、の話し合いをしたことはありません。
三人三様の奏楽になっています。
私は典礼歌に前奏をつけます。
でも、トッツアンとシンディさんは、歌い初めの音を単音で弾くだけだったり、いきなり伴奏から弾き始めたり、などなど、いろいろです。
でも、私から「統一のある奏楽をしませんか?」だなんて、この2人に言えないです・・・。そもそも、私が奏楽者の統一を壊しているのかも・・・。
他の教会はこのような話し合いをしているのかな?(´・ω・`)
神学校の講習会では、先生方はこのような話をされませんでした。
ベンジャミン先生は礼拝が何のためにあるのか、
オルガニストは誰のために、何をしないといけないのか、
をいつも考えているオルガニストなんだなって、思いました。
この話が終わったら、レッスンの終わりの時間にもなりました。
先生:「じゃあ、あなたは今からいつもの教会に練習に行く。今日の午後のレッスンは、僕の勤務先の教会だよ。住所は大丈夫ね。」
私:「はい、カーナビにもう入れていますっ。」
先生:「よろしい。レッスンは15:30からを予定しているけど、14:30までに必ず来なさい。この教会にも学校があります。学校の下校時間は14:45。その頃には、子供を迎えに来る親の車で大渋滞になります。その前に教会に来なさいね。」
そして、先生は教会の写真を見せながら、礼拝堂に入れる入り口を教えてくれました。先生のお仕事教会もデッカイです。
先生:「じゃ、あとでね。」
と、いうことで先生の家を出て、練習教会に向かいました。
今日のお昼は、スーパーマーケットのベーグルです。
(時間がなかった&節約💦)
練習教会に行って、まず教会の事務所を探しました。
この教会の牧師先生にお会いして、ご挨拶とお礼をお伝えしたいのです。
ここの牧師先生が、私のホームスティ先を探してくれて、
いつでもここで練習をさせてくださるからです。
兎にも角にも、お礼を言わねばならぬっ、です!
(昨日のタレントショーには来ていらっしゃいませんでした)
なんとか事務所にたどりつけ、牧師先生にご挨拶とお礼を伝えることができました。
牧師先生は、農業もやっていらっしゃるそうです。
兼業牧師なんだそうです。
この牧師先生のお名前はワルマー先生です。
この教会は大きいので、ワルマー先生の他にも、2人のアシスタントの牧師先生がいらっしゃるそうです。
ワルマー先生は、温かい言葉と笑顔で握手をしてくれました。
私から頼んで、一緒に写真も撮ってもらいました。
その写真と一緒に、私の教会の牧師先生に報告しました。
(挨拶とお礼をきちんと済ませました、の報告です(^^ゞ)
お土産のムーンパイもお渡ししました。これは、私が住んでいる州の名産品です。
アメリカには「お土産」の文化がないから、え?もらっていいの?なんで?
と驚かれました💦
挨拶が終わると、礼拝堂に行って練習を始めました。
今日の練習は、先生から言われた3つ目の課題「2声で即興曲」を作ります。
先生がお手本で弾いてくれたこの賛美歌をテーマにすることにしました。
先生が弾いてくれたこの歌の即興演奏がとっても美しくて、聴き惚れてしまいました。感動する映画を見ているようでした。
それを思い出すと、この歌を2声だけではなく、Reharmonizationでも弾いてみたい、と思いました。
先生が作った和声を思い出しながら、いろいろな和音を作っては、つなげてみる、を繰り返しました。
ブツブツ独り言を言いながら、音程を外しながら歌いつつオルガンに向かう姿は、まさにヲタクでした。危険人物だったと思います
ふと時計を見ると13:30です。
あ~💦
もうこんな時間~💦@@
と、いうことで、先生の教会目指して車を運転しました。
先生の仕事教会は大きな大きな街『ダラス』にあります。
大都会の高速道路はドキドキでしたが、なんとか無事に教会にたどり着くことができました
続きはその7に書きます!(^^)/