土曜日の仕事に追われて、追われて、気づけば9月の半ばになりました。
今、ようやく一段落してホッと安心しました!(^^)/
と、いうことで日記も書きたいと思います!
1週間前の事。
私たちの教会が創立された時に尽力なさった方のお葬式が行われました。
その方はシェーンさんというお名前で、97歳で天国に向かわれました。
私がこの教会に来たときには施設で生活を始められていたので、お会いすることはありませんでした。
お葬式で初めて会う、ということになります。
そして、お葬式の奏楽をさせてもらうことになりました。
牧師先生から3曲の賛美歌と、「The Lord's Prayer」という楽譜を渡されました。
どれもご遺族からのリクエストで、「The Lord's Prayer」の楽譜も遺族が用意してくれました。
「The Lord's Prayer」は日本語で表すと「主の祈り」です。
アメリカのMalotte (マロット)という作曲家が作った、とても有名な主の祈りの歌です。
シェーンさんの家族が用意してくれた楽譜は、ムチャクチャな音符の配置でした。
きっとインターネットで見つけた、アレンジ楽譜なんだと思います。
楽譜通りに弾くとすごく変だし、きっと出席者の人たちもこのメロディラインだと歌えないと思いました。
(だって、急な1オクターブのジャンプが入ってるし、途中から全く別の音楽になってるし)
もともとこの歌はソプラノ歌手の独唱のためにかかれたものです。
だからみんなで歌うこと自体、無謀なんじゃないかな?しかもお葬式で・・・(_ _;)
と、思いました。
そこで、家に転がっていた、どの教派も網羅している賛美歌集を広げてみると、その歌が会衆賛美用にアレンジされた楽譜が載っていました。
これなら、私もどうにかなりそう!(;^ω^)
と、思って牧師先生に楽譜の差し替えをお願いしてみました。
するとすぐに遺族の方と連絡をとってくださり、差し替えの許可もいただきました(^^)/
この歌をリクエストなさるぐらいです。
きっとシェーンさんのご家族にはプロの音楽家がいるのかもしれません。
さらにお葬式の後奏(棺が礼拝堂から出されるとき)はバグパイプで「アメージング・グレース」が演奏されるそうです。
バグパイプ???(゚A゚;)
シェーンさんはスコットランドの出身なのかな???
こんなに音楽にこだわるお葬式に出席するのは初めてです。
主の祈り、ちゃんと弾けるかなあ???
マロットの主の祈りはとても美しいです。
とてもドラマティックです。
オルガンとピアノ、どっちで弾くほうがいいのかな?と悩みましたが、独唱ではないので、会衆の歌声を引っ張りやすい(盛り上げやすい(^^ゞ)オルガンで弾くことにしました。
お手本を聞けば聞くほど、この歌の伴奏の難しさを実感しました。
大勢で歌うからこそ、前奏は必要です。
でもこの楽譜には、この歌を歌い慣れている人用の出だしの合図の音符しかかかれていません。
この歌をリクエストされるぐらいです。
この歌の豪華さや美しさに魅せられたからこそ、この歌でシェーンさんを見送りたいんだと思います。
ただ楽譜をなぞってひくだけだとがっかりされるだろうな・・・。
と、いうことでチョコット音を足したり、要所要所でレジストレーションを変えてみようと思いました。レジストレーションのお手本はオーケストラの伴奏ですっ。
119番(救助ダイヤル)のマイケル先生は夏休み中です。
だから質問できません(´;ω;`)
こんな貧素な知識&歌ったことも・弾いたこともない難曲の伴奏ができるのか。
ご家族に満足していただける伴奏ができるのか。
(´ε`;)
でも悩んでても仕方ありませんっ。
と、いうことで教会のオルガンで音を出しながらイメージをわかせて練習、練習です!
前奏、その他の賛美歌も大切な音楽です。
こちらも万全の準備をしておかないといけませんっ。
お葬式は急にやって来ます。
悲しいお別れですが、同時にその人が生きた証、最後の大切な時間です。
そんな大切な瞬間に立ち会わせてもらって、音楽を添えさせていただける。
牧師、和尚さん、葬儀屋さん、教会オルガニストという仕事は、その人の最後を見送る務めも担っているんだなあ、といつもお葬式に出席して思います。
だから大事故を起こしてはいかんのですっヽ(`Д´)ノ
(・・・と、思っているけど、やらかしてしまうんです(_ _;))
自分なりに精一杯練習をして、お葬式の日に臨みました。
お葬式の当日はとても気持ちの良い青空が広がっていました。
式が終わったあと、お墓に行って棺を埋葬します。
だから雨でなくて本当に良かったです。
お葬式に出席される方は家族、親戚の20人ぐらいでした。
そして、教会から役員の方2人。
こじんまりとしたお葬式でした。
お葬式が始まる前、多目的ルームから大きな音が鳴り響きました。
バグパイプです!!
気になって様子を覗きに行きましたが、バグパイプの演奏者の方がキルトの衣装を着て、音出しをされていました。
初めてバグパイプを見ました。
そして音を聞きました。
一言で言うと、なんちゅーデカイ音!!(゚A゚;)
これは室内用の楽器ではなく、野外用の楽器では?と思うぐらいの音量でした。
サイレンにもなりそうな音でした!
テレビを通して聞いていたバグパイプは「可愛らしい」というイメージでしたが、実物を聞いて&見ると、どれだけの肺活量が必要なんだろう?熟練の技術が必要な楽器なんだなあ、とびっくりしました。
お葬式が始まる10分前から前奏を弾きました。神さまの恵みをテーマにかかれた賛美歌のアレンジを数曲弾きました。
式が始まると、賛美歌を歌って、祈って、牧師先生のお話があって。
そして、式の後半にマロットの「主の祈り」を歌いました。
猛烈な練習の甲斐があったのか?なんとか、主の祈りの伴奏を務めることができました。
リクエストの曲だったのに、ご家族の方はほとんど歌われませんでした
牧師先生も「知らない歌」と言われてたし・・・。
オルガンのカラオケで終わってしまった主の祈りでした(;^ω^)
ガックリきましたが、この曲と出会えたこと、この曲の美しさを味わえたことに感謝です!
お葬式の最後はバグパイプによる「アメージング・グレイス」でした。
たった1人のバクパイパー(英語ではバグパイプを演奏する人をこう呼ぶそうです)なのに、教会中に鳴り渡りました。
アメージング・グレイスの音楽とともに、シェーンさんは教会を後にされました。
全てが終わったあと、バグパイパーの方に今日の演奏に感激したことを伝えに行きました。
私:「私は初めてバグパイプの音を生で耳にしました。とても感激しました!」
バクパイパーの人:「そう!喜んでもらえて嬉しいよ!」
バクパイパーの人は30代ぐらいの男性の方でした。
バクパイプを演奏する人は男の人、というのが伝統なのでしょうか?
間近で楽器も見せてもらいました。
名前の通り、バッグの中にカタツムリの角のようなパイプが入っていました。
だから「Bagpipe」なのか~!(^^)/
私:「あなたはスコットランドのご出身なんですか?」
バグパイパーの人:「ううん、僕はアメリカ生まれのアメリカ育ち。でも僕のおじいちゃんがスコットランドからの移民なんだよ。」
私:「どうやってバグパイプを習ったんですか?」
バグパイパーの人:「おじいちゃんやお父さんから習ったんだよ。(^^)」
と、笑顔で優しく教えてくださいました。
そして、このようなことも言われました。
バグパイパーの人:「この教会は大きな教会ではないね。どちらかというと小さな教会だね。でも、立派なオルガンがあるじゃない。これってとっても恵まれたことだと思うよ。楽器が与えられるということは当たり前のことじゃない。だからこれからも楽器に感謝してオルガンを弾いていってね。」
と言われました。
この言葉を聞いて、この方は本当の音楽家だと思いました。
バグパイプという楽器に出会えたことも幸運なことだったけど、このバグパイパーの方の言葉に出会えたことも嬉しく思いました。
これもシェーンさんのおかげですね(^-^)
このお葬式の数日後、マイケル先生とメールでやり取りすることがあったので、このお葬式のことを伝えました。マロットの主の祈りとバグパイプに出会えて感激したことを先生に伝えました。
すると先生はこんなことを教えてくれました。
先生:「僕たち音楽家はね、マロットの主の祈りのことを「Barn-Burner」と呼んでいるんですよ。意味合いは、人々を熱狂させる音楽、というものです。だからみんなこの歌がとっても大好きなんですよ(^^) (Barmは納屋、Burnerは燃やす。すごい合わせ言葉だな)
バグパイプも聞くチャンスがあってよかったですね。バグパイプもとーっても大きな音だったでしょう?!
素敵な出会いのお葬式でしたね!」
とのことです。
アメリカでは、マロットの「主の祈り」は教会音楽を超えて、人気のクラシック音楽の一つのようです。アンコールで歌うと大喜びされる演目なんだろうな!(*^^*)
みなさんもぜひマロットの主の祈りを聞いてみてください♪
アメリカにもキラキラ光る素敵な曲がまだまだあります。
これからもいろんなアメリカ産の曲と出会っていきたいです(*´ω`*)
<オマケ>
8月のはじめ、マイケル先生のお手伝いをしました。
お手伝い、というのは、先生が夏休みを取れるように、先生の教会のオンライン礼拝の前奏・後奏を代わりに弾く、というものでした。
今、先生の教会では、先生しか音楽家がいません。
だから先生の代役をする人がいない、ということもあって私に「やってみる?」とメールをくださいました。
ずっと憧れていたカテドラルの礼拝に、私の弾いたものを使ってもらえる。
夢のようなお話でした。
しかも謝礼まで出ると言うんですっ
すぐにやってみたいです!とお返事をしましたっ。
お手伝いの方法は、自分の教会のオルガンで弾いたものを録音して、先生にE-mail で送る、という流れです。
前奏は静かめな曲。
後奏は元気な曲。
が良いと言われました。
先生と一緒に曲を選んだ結果、前奏はジョン先生に教えてもらったメンデルスゾーンのト長調のフーガ。後奏はマイケル先生に教えてもらったBach先生の「これは聖なる十戒です」 BWV 679 になりました。
レジストレーションのつくり方も先生に教えてもらって(^^ゞ、録音に向かいました。
録音は簡単にはいきませんね><
どこかで間違ってしまったり、止まってしまったり・・・。
5分と2分の曲なのに、録音に3時間もかかってしまいました。
どちらも100点の出来ではないけど、これ以上、良い演奏はできない&録れないってことで、なんとかなりそうな録音を先生に送りました。
先生に提出して1か月後の9月6日の日曜日。
私の弾いた曲が先生教会の前奏&後奏 に使ってもらえました。
もしかしたら「これは使えないなっ」とボツにされたかも・・・、と思っていたので、夢のようでした。(´Д⊂ヽ
先生の教会では、オルガンの音楽も、聖歌隊の方による歌も、牧師先生たちの礼拝も、それぞれ事前撮影・録音をして、映像を編集する人が一つの動画にまとめているんだそうです。
す、すごいな~
教会の格差を感じるな~
Martin・500 はスーパーオルガンですが、電子オルガンの音でも大丈夫なのかな?という不安もありました。
先生の教会のオルガンと比べると、どうしても電子音は隠せません。
でも、礼拝の前奏と後奏です。
しかもYoutube上なので、そこはすっ飛ばして礼拝のスタートから見る人ばかりだと思います。
だから先生も全く気にしていないのでしょう。
オルガンの音っぽいものが流れていればそれで良しなんだろうな(;^ω^)
9月6日、緊張しながら&ドキドキしながら先生の教会のYoutube礼拝を聞きました、
恥ずかしくてまともに聞いてられませんでしたが、一生忘れられない思い出になりました(*´ω`*)
このことをシャーロンさんにもメールで伝えて、Youtubeのリンクも送りました。
シャーロンさんは今、闘病中で体調が優れないそうです。
だから気分が良いときに必ず聞きますね、と返事をくださいました。
数日後、シャーロンさんから返事がきました。
「かろやん、前奏も後奏も立派に弾けていましたよ。マイケルがあなたにこんな素敵な機会を与えてくれて本当に良かったわね。レッスンができない状況にあっても、あなたはマイケルから多くのことを学んでいますね。そして先生と生徒の絆もしっかりできていますね。あなたの演奏からそれが伝わってきましたよ。マイケルはとても素晴らしい音楽家です。あなたはこんな素敵な先生の生徒になれたことを幸運と思わないといけませんよ。
これからも頑張りなさいね。」
とのメッセージをもらいました。
シャーロンさんの言う通りです。
でも、この幸運はシャーロンさんが与えてくれたものです。
だからいつもシャーロンさんに感謝しています。
恩返しはできないけど、シャーロンさんを励ましていくことはできます。
これからもメールや手紙でシャーロンさんを応援していきたいと思います。
そして勉強も続けていくこともですね!
もし良かったら聞いてください(*´ω`*)
↓(前奏と後奏です。後奏は一番最後です。途中の賛美歌の奏楽は先生です)
前奏も後奏もほぼ音色が一緒だし、ヘンテコリンなアーティキュレーションにもなってるし、お耳汚しになると思います。
「よくがんばりました!」のスタンプを押すような気持ちで聞いてください