4月26日の日曜日はMatins(朝の祈り歌)で礼拝をすることになり、その奏楽をさせてもらいました。
とっても美しい祈り歌ですが、私にとっては難しい典礼曲なのでメールで先生に質問をしました。
神への感謝や喜びを表せるように、特に Veniet と Te Deum は 大きな音で弾きなさいね、などの音作りを中心にアドバイスをくださいました。
そしてこの歌の歌う順番も教えてもらいました。
最初の4小節の「繰り返し」は、1番、2番、3番・・・と、各節の後、毎回歌うのかな?それとも、最初と最後だけなのかなあ。
ということで、この歌についても質問しました。
Mains も賛美歌も楽譜の写真を撮って、添付して送りました。
先生はその数時間後にメールで答えてくれました。
先生:「VeniteとTe Deumはどちらも神を賛美する非常に大切な歌です。ですからどちらも大きな音、そして輝かしい音で弾くといいですね。また、どちらにも多くの節(Venite は5番まで、Te Deum は9番まであります。)があることを考えると、レジストレーションを頻繁に変えながら、すべてが同じように聞こえないよう弾きます。「賛美」「歌う」「喜び」の気持ちがあまりはっきりしていない節では、Mixture(輝かしい音)は取り除きなさい。そして、歌詞に応じてボリュームが必要なときは、基本のレジストレーションにリード管とMiuture を加えなさいね。
もう一つの質問の賛美歌ですが、もう、ずーっと前のことなんだけど、僕にはこの歌にはある思い出があるんですよ。
この歌も長い賛美歌でしょう?だから、「あれ?今、何番を弾いてるんだっけ???」と、僕自身が混乱してしまって、その結果、会衆の人も混乱させたことがあるんですよ
この歌の順番ですが、始めに「繰り返し」を弾く。そして1番~5番までを弾いて、最後にもう1度「繰り返し」を弾く、が正解です。
僕はストリーミングで流す礼拝のために、事前にそのための奏楽を録音しなくてはいけないので忙しいです。僕たちの教会では、日曜日に生放送をしているのではなく、説教も音楽も事前に撮って編集し、それを日曜日に流しているんです。
あなたも元気に過ごしてくださいね。
先生より。」
と、とっても丁寧に教えてくださいました。
先生は私たちが礼拝で歌う「Matins」は知りません。
先生にとっても初めて出会う歌だと思います。
でも先生の膨大な音楽経験で、楽譜を見ただけでどのような音楽作りをしていけばいいのかが分かるんですね。
先生っていう人は、生徒が想像する以上の経験や知識を持っているんだなあ~、と改めて思いました。教わる、というのは、その先生の経験、知識を分けていただく、ということにもなりますね。尊敬と感謝ですm(_ _)m
早速、先生にお礼のメールのを書きました。
そしてメールの最後に、
「私たちの教会もフェイスブックを通して在宅の方たちのためにライブ中継で礼拝を届けています。家で過ごしている人たちにも、賛美歌や典礼の奏楽が届くように頑張って弾きたいと思います。」
と、書きました。
すると、先生が、
「あなたが在宅の人たちにも届くよう頑張る!という気持ちを聞いてとてもうれしく思います。
あなたの教会の名前を教えてくれますか?僕も26日の日曜日、あなたの教会の礼拝をフェイスブックを通して見ますよ。」
と、お返事をくれました。
え?(´゚д゚`)
先生、私たちの教会の礼拝の様子を見てくれるの???
うひゃ~@@
嬉しいけど、これって絶対に(いつもですけど)失敗したらダメじゃないですか(_ _;)
急に緊張してきました!!
でも、それと、こんな不安も湧いてきました。
前の先生、グレッグ先生は、新しいオルガンのレジストレーションのセットアップをしてくださるために、私たちの教会に来てくださいました。
でも私たちの教会が小さく、また肝心のオルガンが電子オルガンであったことを知ったとたん、
断続的なレッスンのドタキャンが、そこから毎週のドタキャンになってしまいました。もう一人の生徒のおにぎりは、巨大な立派なオルガンを持つ巨大な教会につながっています。それもあってか、彼には十分なレッスンとサポートをしてあげました。
グレッグ先生も経歴が立派ですし、この州では有名なメソジスト教会のオルガニストです。
だから、きっと、少人数の教会、さらに電子オルガン(おもちゃ)で弾いている人になんで僕が教えないといけないんだ?、と思ったんだと思います。
マイケル先生はどうだろう。
マイケル先生のオルガン人生の中で、「電子オルガン」はなかったんじゃないかな。
きっとどんなに立派な電子オルガンでも、「おもちゃ」だと思うと思います。
マイケル先生も、私たちの教会やオルガンのことを知ったら、グレッグ先生のような気持ちになるかな?
そして、がっかりするのかな・・・。
私にオルガンを教えることを「無駄な時間」に思うかな・・・。
先生がFacebook で私たちの教会を見てしまうと、もう教えてくれなくなるかも、と心配になりました。
あー、余計なことを書かなきゃよかったな(´;ω;`)
自分の書いたメールにすごく、すごく後悔しました。
そして、なかなか返事ができませんでした。
でも、先生がこうして「あなたの奏楽を聞きますよ」と、言ってくださいました。
頑張った練習の成果も聞いてほしいし、私のありのままを知ってもらうことは大切です。
だから前日の土曜日の夜に返事をしました。
「先生へ
お返事が遅くなってごめんなさい。私たちの教会の名前は〇〇です。牧師先生が明日の礼拝の賛美歌と式次第を送ってくれたので、先生にもお送りします。礼拝は9時からです。先生が私たちの礼拝を見て、奏楽を聞いてくださること、とても嬉しいです。本当にありがとうございます。
突然ですが、変なことを聞いてもいいですか?先生は小さな教会を好ましく思いませんか?
私たちの教会は小さくて、オルガンも本物ではありません。電子オルガンです。
前の先生は、私たちの教会を訪れた後、急に教えてくれなくなりました。だから、マイケル先生も私たちの教会を見たら、私にもう教えてくれないかも、と心配になって、お返事がすぐにできませんでした。
私の教会は小さくて、オルガンは本物ではなく電子オルガンです。それでも、これからも先生に習ってもいいですか?」
勇気を出してメールしました。
はあ(´Д⊂ヽ
先生ともお別れになっちゃうのかなあ・・・。
今までを振り返ると、2年おきに先生がいなくなっています。
今年はマイケル先生との2周年です。
と、いうことはまた先生がいなくなってしまうのかなあ・・・。
と、一人で落ち込んでいると、先生がお返事をくれました。
「かろやんへ
メールをありがとうね。
明日の9時に、あなたの教会の礼拝を見ますからね。
それと、僕が小さな教会を好きか、どうか、についてあなたは心配する必要は全くありません。僕もね、イーストマン音楽大学(アメリカの超・有名なNYの音大)の院生だった頃、とっても小さな教会で奏楽をしていました。だから心配しないでいいんですよ。あなたの教会が小さいからといって、電子オルガンで奏楽をしているからといって、僕はあなたに教えるのを止めません。だから明日は安心して、楽しんで奏楽しなさいね
覚えておくんですよ、かろやんはボスです。
礼拝と会衆の人を力強く導くんですよ」
とのお返事が届きました。
先生は「大丈夫だよ」の優しい気持ちいっぱいに返事を書いてくれました。
絵文字もつけて、大丈夫、大丈夫、と言ってくれました。
先生の返事を読んで、今まで心につかえていたものが取れて、一気に胸が軽くなりました。
もう何も心配しなくてもいいんだ、と安心と嬉しさで胸がいっぱいにもなりました。
そして先生の温かさと優しさに触れて、ポロッと涙がこぼれてしまいました。
先生からのお返事をもらって、今までの不安が一気にどこかに行きました。
そして、深夜まで、また張り切って練習しました!(^^)
そして4月26日の日曜日。
ドキドキしながら朝を迎えて、教会に行き、オルガンに電源を入れました。
礼拝開始の9時前から前奏(開会の賛美歌のアレンジ曲を弾きました。パッヘルベルが作った「Werde munter mein Gemüte」です)を弾きました。これもフィーリングで弾いて、フィーリングで音作りをして弾いたので、先生が聞いてたら、「なんだこれ?」と思うだろうな(_ _;)
そして牧師先生が聖壇に立ったら礼拝開始の合図です。
牧師先生の先唱により、Matins が始まります。
(L が牧師、C が会衆 )
詩篇51:15 をメロディに乗せて唱えていきます。
「主よ、わたしのくちびるを開いてください。わたしの口はあなたの誉をあらわすでしょう」
そして、
その後、すぐにVeniteを歌います。(詩篇95:1-7)
先生が教えてくださったような音作りができているかな?
みなさんをリードできるように弾けているかな?
と、ドキドキしながら弾いていきました。
先生が聞いてる、と思うだけでいつもの何万倍も緊張します。
Venite が終わったら、すぐに開会の賛美歌です。
それを歌い終わったら、ようやくオルガンから指を離せます。
この後は聖書朗読があり、小さな祈り歌。
そして、説教を表す賛美歌を歌います。
この日の礼拝メッセージは「わたしは良い羊飼いである」(ヨハネ10:11)なので、詩篇23をもとに作られた賛美歌を歌いました。
この歌もとっても美しいです。
美しすぎて涙が出てきます(^^)
この賛美歌が終わったら、説教。
そして説教が終わったら、全員起立して、「Te Deum 」ですっ。
先生が教えてくださったように、Mitureとリード管を加えた大きな音で弾いていきました。
ここから短調なので、フルートの音を重ねた音量を抑えたレジストレーションで弾いていきました。
また長調にもどって、神を力強く賛美する歌詞となります。なので、トランペットも加えた大きな音で弾いていきました。
でも、最後の9番は「キリエ」(神よ、憐れみ給え)のように感じたので、フルートの音で優しく弾いて、Te Deum を終え、すぐにキリエに入りました。
そして最後の祈りが終わったら、閉会の賛美歌を歌いました。
先生に質問した賛美歌です。
先生が教えてくださったように、順番を間違わずに弾くことができました。
そして、「飼い主我が主よ」の小さなアレンジ曲を後奏で弾いて、礼拝を終えました。
弾き終わった途端、「フーーーっ」と力が抜け落ちました。(;´Д`)
Venite も Te Deum も、途中でみなさんの言葉の流れについていけずに、
「あれ?あれ??@@」とパニックになりました。
私の唱えるテンポとみなさんのテンポが違う、ということです。
だから不自然なところもいっぱいありました。
でも止まらずに弾き通せました。
これだけでも私にとっては大きなことを成し遂げた、という気持ちです。
先生、聞いてくれたかな?
先生、どんな風に思ったかな?
40分の礼拝でしたが、10:30からは次のグループの礼拝があります。
不安なところをもう一度練習しているとあっという間に10:30になりました。
また次の10人が礼拝堂に入りました。
10:30からの礼拝はFacebookに流しません。
さらに2回目、ということもあって、1回目よりもリラックスして弾くことができました(^^)
そして典礼曲も、1回目よりもみなさんの言葉に合わせてひくことができました。
でも、終盤の牧師先生の祈りに聞き入ってしまって、その後の『アーメン』を弾き忘れてしまいましたやっぱりやらかしてしまいました(_ _;)
それでも、全部の礼拝が終わったあと達成感に満たされました。
この1週間、Matins の歴史について調べ、歌詞にあたる詩篇もよく読み、先生から弾き方について教わり、そして自然な英語の流れで弾けるよう、歌詞である祈りをスラスラと読めるよう何度も練習しました。
典礼曲をここまで深く勉強したことはなかったと思います。
本当はどの典礼曲もここまでしないといけないんだろうな
教会を出る前に、牧師先生がこのような言葉をかけてくれました。
「今日のMatins は素晴らしかったですよ!特にVenite と Te Deum のレジストレーションが歌詞に相応しく作れましたね。弾いてくれてありがとう!」
と、ありがたいお言葉をくださいました。
家に帰ると、先生からメールが届いていました。
「かろやんへ
今、ちょうどあなたの教会の礼拝を見終わったところです。あなたはVenite、Te Deum そして、質問してきた賛美歌だけを弾いてたと思うんだけど、もっと弾いてましたか?(先生、送ったプログラムを見てくれてない(´;ω;`))
とても素晴らしかったですよ!
素晴らしいリーダーシップで礼拝を導けていました。
どの歌もリズムはバッチリでしたし、レジストレーションはそれぞれの歌詞に相応しいものになっていました。あなたの礼拝を見ることができてとても嬉しかったですよ。頑張りましたね!
何よりも、あなたは「ボス」になることができ、また奏楽者としての大切な役割を果たすことができました。それが何よりも嬉しかったです
今日の頑張りを自信にもちなさいね。
いつもの生活が戻ったら、すぐにレッスンしましょうね。
先生より。」
と、今日の礼拝の感想を送ってくださいました。
先生はあま~い言葉で褒めまくってくれましたが、そ、そうかな???
Facebookだから、音はあまり良く聞こえません。
しかもスマートフォンで撮っているので、オルガンの音も少し遠くに聞こえます。
それでも先生は何かコメントしてやらないと!と聞いて、感想を書いてくださいました。
きっと先生の心情としては、孫の運動会の送られてきたビデオを見て、コメントするおじいちゃん、おばあちゃんのようなものだったと思います。徒競走でドベになっても、「がんばったね!!最後まで走りきったね!」と、おじいちゃん・おばあちゃんは最大の言葉で褒めます。
先生もそんな気持ちでコメントしてくれたんだと思います。
それでも嬉しいです(´;ω;`)
先生が見てくれた、聞いてくれた。
そして、私たちの教会やオルガンを受け入れてくれた。
これからも変わらず教えてくれる。
最初は大後悔したけど、Facebook で礼拝を流すことを先生に伝えてよかったな(^-^)
なんだか、オンライン・レッスンをしてもらったような気がしました。
メールでアドバイスをいただいて、練習の成果をFacebook の動画で聞いてもらう。
そしてその感想をメールで聞かせていただく。
これは立派なレッスンです。
4月もレッスンをしてもらうことができました。
先生の言われるように、何の心配もしなくてもいいみたいです。
学びたい気持ちと、努力し続ける気持ちさえあれば、先生に習うことができる。
それを今回はっきりと知ることができました。
この曲の奏楽の機会を与えてくださった牧師先生にありがとう。
そしてMatinsにありがとう (^-^)
またいつか、この祈り歌を奏楽する機会に恵まれますように♪