いつもお読みくださりありがとうございます。
勤務している個別指導では、この夏休み前の時期が教務主任たちにとってはある意味「絶好のチャンス」のようです。。。
夏休みを前にして、落ちていく成績に不安になり問い合わせをしまくる家庭が増えるため、来た問い合わせからどう入塾につなげるか、これにかけているように見えます。。。。
勧誘は講師の仕事とは完全に切り離れているので、講師は社員が受け付けた生徒を割り振られて、相性を見たり体験授業などを経て入塾、となります。
一番多いのはやはり6年生なのですが、最近は5年生の保護者の危機感もすごく高いなと感じます。
ネットでも情報が多いため、成績が下がってきたことを敏感に察し、早めの対策を打とうとする家庭が増えているのだと思います。講師側からすると、6年生で無理やり駆け込まれるよりも、落ち着いてその子とも向き合う時間もあるので5年生からの入塾は大歓迎です。逆に塾側の腕が試される、責任が増すということでもありますが。
それでも、こんなに5年生に危機感を持たせる理由は、総じてサピックス、グノーブル、浜学園、希学園の5年生の月例テスト的なもの、実力テスト的なもの(各塾によって呼び方が違いますが、サピでいう「マンスリーテスト」や「組分け」などのクラス昇降に関わるようなテストの意味で書いています。)があまりにも難しいからではないかな、と思います。
もちろん、最難関を目指すには5年生のうちにこれくらい出来ていると安心ですし、これくらい骨のある問題にくらいついていく、知識の漏れもないようにしておく、ことが大切だと思います。
しかし。。。あまりにも高難度すぎやしませんか?と思うのですが。。。。
全員が全員、必要じゃないですよね、この問題、、、というものが出すぎているように思います。
この4つの中では、浜学園は昔から灘のための塾だし、希学園も浜からできた塾なので、そもそものターゲットが最難関志望向けですし、まだ首都圏では生徒の人数が少ないので、巻き込まれて溺れそうになっている子も割合として少ないのですが、サピはもう巨大塾ですし、グノーブルも生徒数がかなり増えています。
そちらの2つでは、明らかに「ついていけてない」「過剰なカリキュラムになっている」子が生まれていると感じます。。。
とくに、国語が難しいと思います。こんな文章5年生が読む?というのと同時に、模範解答を見ると「これ、誰がこの記述解答書けるの?たぶん私立中の国語の先生もこのレベルは求めてないよ。。。最高点の子の答案見たいわ」と心底思います。模範解答読んでいると、笑えてくるくらい完成された解答で。まあ「模範」だからレベル高いものを出してきているのでしょうが、それにしても。。。難関校の過去問の模範解答のほうがレベル低くない??っていうものばかりです。5年生で、ですよ?
数年前までは新6年になるまではそこまで難易度を急激に上げていなかったと思うのですが、ぐんぐんレベルを上げているなと感じます。
たしかに、御三家や渋渋、駒東、海城、早稲田、洗足、フェリス、鷗友、なんかを受けるには必要な内容ではありますが、それでも開成と聖光と、桜蔭以外の学校なら、こんなの出来なくても、6年からやっても間に合うはずです。これを5年で解ける必要ってあるのかな?と思ってしまいます。
へんに、5年生でこのレベルの国語でつまづいて、「ぼくは、私は、苦手なんだ。できないんだ」と思ってしまうともったいないと思います。5年生のときには主語述語も滅茶苦茶なレベルの記述を書いていても、最後NNや志望校特訓、個別指導で鍛えられて、書ける、読解できるようになる子はたくさんいます。精神年齢も大切なので。3月生まれの子とか、大丈夫かなと本当に心配になってしまいます。
ですが、こんな難しいテストでモチベーションが下がっていては、御三家にチャレンジしよう、難関にチャレンジしよう、という「なんとなく上位に行けそうな層」がどんどん脱落していくような。。。。
もしかしたら、それが狙いで「本当の優秀層」があぶり出せればそれでOKということなのかもしれませんが
しかしちょっと、もったいないなと思ってしまうのです。グノやサピで振り回されて、結局ふわっとしたまま6年生になってしまう「隠れ上位層」が。
いつもは、四谷偏差値50以下の子の話をしていますが、現在サピやグノで塾内偏差値がコンスタントに50は超えられている子なら、やり方によってはサピ偏差値55以上60以下くらいまでなら、受かるように伸びる可能性が高いと思います。ただ、現在のその子にはテキストもですが、テストがあまりに難しすぎて、「確認」の意図が薄れてしまっているように思います。この時期はきっちりとカリキュラムを理解し、ついていくことが大切ですが、アップアップしてませんか??正答率が高いものから低いものまでごっちゃになって間違えてませんか?それならば、いっそスッキリと応用はやらせなくても大丈夫です。
じゃあどうすればいいの!!と怒られそうですが、親としてはその子が本当にカリキュラムについていけているかどうか、基本まで曖昧なままなんとなくテスト対策だけしていないか、その点だけを見るようにしたらいいと思います。
正答率が低い問題は解けなくて構いません。
ただし、開成、聖光、桜蔭を狙っているのなら、そんな甘いことは言えません。すでにそれがマスターできて、点数も取れている子たちが1年後のライバルなわけですから、ここで後れを取るとかなり厳しいものがあると覚悟したほうがいいです。
私の場合で言わせてもらうと、わが子ならその時点で御三家は諦めます。。。。
息子の場合はまさにそれでした。ああ、この子は御三家やそれに近いレベルの学校に行くような子ではないな、奇跡が起こって受かったとしてもどう考えてもついていけないだろう、と思い、「余計な問題」「余計な勉強」はカットすることにしました。それでも、息子の実力よりは上、の偏差値帯を目指して勉強させ、少し余裕をもっていつかの学校の合格をもらえるように、計画したつもりです。大変でしたけど。。。。
いま、壁を感じている5年生は多いと思いますが、算数ではとにかく「割合」「速さ」「平面図形」これの基本問題が理解できているかはチェックしてください。国語なら、「設問の意味」を理解できているか、少なくとも理解しようとしているか、そういう視点で答案をみてあげるといいと思います。そうやって積み重ねれば、まだまだ難関校へは十分届きます。
以上、最近あまりにも5年生のこの時期からテストが難しすぎるぞ、と感じていたので記事にしてみました。。。
言い方が難しいのですが、この時期の壁はサピ、グノあたりでは大抵のお子さんが感じるものですし、四谷ではもう少しそれが先、日能研だと6年生で来るものです。つまりそこまで打ちのめされないで大丈夫!と言いたくて。
出来る子ばかりが目に付くとは思いますが、怖いのは目先の点数や偏差値が気になりすぎて、「点を取ることだけ」に親子で走り出していないか、です。我慢して、基礎問題、重要単元の基礎が理解不足にならないように気をつけてほしいと思います。そして、子どもが「塾で深海魚」にならないようにしてください。いろいろ投げやりになって、漫然と下位クラスで過ごすことがないよう。そうなり始めたら、私は「転塾」もありだと考えています。転塾の話などもまた今後していきたいと思います。
お読みくださりありがとうございました。