いつもお読みくださりありがとうございます。
中学受験に関しての指導をしていますと、「漢字」に関する比重も侮れないと痛感することが多いです。
漢字に関して書きたいことはいろいろあって、普段思うこととかを整理するのが大変なのですが、今回はもうすぐ娘が漢字検定8級(小3相当)を受けるということで、タイミングも合うので書いてみようと思いました。
まず、漢検というのは「民間団体」が行っているものですので別に本来大した資格でもなかったのですが営業と宣伝がうまかったのでしょうね、英検(これも民間だけど)並みの認知度となり、全国の小学校や中学校で学校受験も増えるようになりました。
レベルとしては
10級が小1となっていて、以降9,8,7,6,5級までが小6までとリンクしています。
この漢検の勉強をすれば、一応該当学年の漢字をマスターすることが出来たという目安になっています。しかし。。。
「中学受験において必要な漢字」というフィルターで問題を見ると、たいして役に立たないと私は考えています。いや、言い方が間違っているかな、「そんなものは基礎、基本で、中学受験においてはもっと高度な熟語や単語が出る」という実感があるというともう少し正確に私の考えを伝えられるかな。
漢検の熟語センスと単語センス、一言でいうと「ビミョー」。。。
ちょっと古いんですよね。改訂も甘いから。
それに比べて、サピの漢字の要はもちろん、四谷のテキストに出ている漢字も、はっきり中学受験にターゲットを絞ったものになっています。
低学年でいうと、たとえ漢検で10級満点だとしても、早稲アカや四谷、サピの模試では満点取れないでしょう。
たとえば、「竹馬の友」を読ませたり。「たけうま」って読んじゃいますよねえ、1年生なら。竹馬の友の意味から教えなくてはいけませんね。
「足早」これも読めない子が多いです。漢字は簡単なのに。
中受対策の模試、テキストですと低学年からこういう「簡単だけど、読めない。意味がよくわかならい」という熟語を突いてきます。
私も毎回のように「なるほどねえ、うまいとこ突いてくるな」と早稲アカのチャレンジテストなどを見ると思います。
「山川」さんせん、とかね。そりゃ、やまかわって読んじゃうでしょうよ!
漢検は書き順や画数も大切ですが、基本的に中学受験では書き順が出ることはないですし。熟語も同音異義語も漢検のものだけだと簡単すぎるのです。
漢検対策としては、同じ協会が出している『ステップ』という問題集をやったうえで、『過去問』をやるというのが王道ですが、他社からもっと可愛い問題集などが出ています。ただ、一番過去問に沿っていて実践的なのが『ステップ』といえると思います。
つまらないつくりなんですけどね。
可愛い問題集を横目にみつつ、我が家は『ステップ』を使って漢検協会にお金を納めています。
8級のステップですごい変な例題があったので、紹介します。
「運」という漢字を勉強するための問題文で
「げいのう界では運(うん)も必要だ。」という文があって。ナニコレって思いました。誰が考えたんだろう、こんな例題と思いながら娘と漢検対策をしています。
さて、さんざん漢検なんて、という文を書いていてなんでじゃあ、自分は受けさせてるのよ、となると思いますが、私の中で漢検は漢字を学習するための「進度目安」みたいなものです。なんというか、基礎、基本、ワーク替わりというか。
漢検で当該学年の漢字をマスターしたうえで、Z会や大手塾のワークで中学受験対策の漢字をやる、この二段階戦法(戦法ってほどでもないが)で漢字の取りこぼしを防ぎたいのです。
もちろん、他のテキストでもいいし、最初から大手塾の漢字学習(宿題で出てますよね)だけでもいいのです。が、それだけだと味気ないし、4年になってから毎週のように新出漢字を出されて覚えろと言われても、そんな時間ないじゃないですか。
なので、低学年のうちに先取りしておこうという魂胆です。
そうすると、学校でも習ったときに復習になるし、塾でも復習になるかつ、「知らない」ということはないので新しい読み方や熟語が塾で出てきても、一からその漢字を覚えるよりは楽に習得できる計算です。
漢検のいいところは、基本的につまらない学習である漢字学習に「ごほうび」が与えられていることです。
一定の成績を取れば「合格」という証がもらえて、さも自分がその学年の漢字は習得したかのような「錯覚」を与えてくれる。でも錯覚でいいと思うんです。
「先に合格してるし、2回目だからできる」という自信になれば。。。。
ということで、先取り学習の目安として我が家は兄のときから漢検を利用しています。
しかし何年も先取りできるほどの余裕はないので、小5で4級、というのが1つの目標です。6年生ではもう漢検の勉強をしている暇はないので。。。小5の秋か冬には4級を取れる状態に漢字をしておく、これを目安に少しずつ飛び級しています。
娘の場合は年長秋に10級、1年生の6月に9級、そして今月8級を目指しています。(←6/16間違えました、訂正しました)
毎回、準会場で受けています。だって本会場って会場が直前までわからないし、準会場で受けるより遠いのに高いので。
漢検の先取りですが、公文の国語を学習しているお子さんは大抵先取りで受験していますね。公文の教室が準会場になっていることも多いですし。
公文の教材も先へ先へと行くので、出てくる漢字も上の学年のものになっていきますし、公文の子は過去問だけで漢検合格できることも多いでしょう。
我が家は公文の国語はやっていないので、自宅学習で漢字も進めている次第です。
さて、では4級まで取っていると中学受験の範囲はカバーできるか、と言われるとそれも違います。漢字といえば、「社会」があるんですよね。。。。
社会科で漢字指定が多いのが一般的に偏差値50台の学校、あっても60前半くらいまでで、超難関校になるとかえって漢字指定が無かったりするのですが、それでも入試ではセーフでも模試でひっかかることがありますよね?
サピやグノの場合は漢字を異常なくらい使わせるし、採点も厳しいですし。
ちなみに、最近の中学入試、サピ、グノ、とくにグノほど採点厳しくありません。
日常生活において、読めればOKとして通用している書き方の揚げ足取りのようなことを子どもにするのはどうなんだろう、という考え方が私立中学の先生方に浸透してきています。とくに最難関の学校などは全然厳しくないです。グノとかサピとか、これがちょっと付いてないとか、「虫メガネでも使ったんか!」というような採点をしてきますが、あれはやりすぎ。子どものモチベーションも下がります。
実際の入試ではいまはそういう流れではないです。ただ、もちろん、「汚い字」というのは「入りたい学校の先生」に対して失礼だよね?という話は必ず子どもにしますし、きれい、ではなく「丁寧に速く」漢字を書けることは必要です。
ご自身のお子さんが受ける学校の漢字採点については、必ず確認しておいてください。説明会等でお話があるはずです。「うちはトメ、ハネまできっちり見ます」とおっしゃてくださる学校もあります。そういう学校の場合は、しっかり対策しましょう。(それでもグノ、サピのほうが厳しすぎる)
まったく触れない場合、それは重要視していないことの表れといえます。個別相談などでもぜひ、聞いてみてくださいね。
また、社会だと学習指導要領の範囲なんぞ大きく超えて、「墾田永年私財法」「雑徭」なんかは普通に書かせます。ですので、「漢検の範囲」と「中学受験に必要な漢字の範囲」は全然違います。
よく、低学年で多いのですが「おれ、漢検〇級!」とマウントを取っているお子さんを見かけますが、、、、、たいして意味ないですよ~と内心思っています。いや、それは基本ですよ~ってことですかね。もちろん、やらないよりやったほうがいいです。勉強するという点においてはいいことですから。
漢検に合格するのは簡単です。出るもの決まっていますし、1つ飛び級くらいは早くから始めればそこまで難しくありません。ただし、満点合格はけっこう大変です。余裕があるなら満点合格にこだわってもいいと思います。ただ満点合格も、漢検の飛び級合格も、決してその子の「中学受験における漢字の力」を担保してくれないところが悲しいところです。。。
逆を言えば。中受の漢字が余裕ですぐ覚えられるような子は、漢検なんて受けなくていいんです。時間の無駄。中学入る前に1度だけ4級か3級を受けたらそういう子は過去問1回2回やれば合格しますから。
あれは、普通の子が地道に努力する勲章として受けるもの、です。
うちは決して、2人とも「見たらすぐ漢字を覚える」とか「漢字に興味があってすぐ覚える」とかいう子ではないので、合格というごほうびをぶら下げながら、漢検で漢字の基礎を培っているつもりです。
と、偉そうに書いていてわが息子はどうかというと
小5で4級まで取りましたし、途中は飛び級で満点合格もしていましたけど、まー、漢字書けないですよー、現在も。
中学生になっても、日本史のテストで「菅原道真」が書けないってあり得ます??
彼の解答は「管 道」で止まっていて、私が解答欄をみて「もしかして、これ、答え菅原道真?」って聞いたら「すごいね!よくわかったね!」と笑っているバカ息子。
「わらいごとじゃなーい!!」ってキレました。「小5でみんな書けるわ!」
たしかに中学受験のころから、社会の漢字出来なかったけど、今でも卑弥呼がギリ、書けるか書けないかの中3。。。同級生たちはしっかり中受のときにマスターしてますよ、そりゃあ。
墾田永年私財法もまた間違えていました。塾の模試から数えたら、何度間違えるんだよ!永遠に書けないとしか思えない
自宅学習だったせいもあって、理社がうちは手薄でした。たぶんですがどの学校も国語と算数で受かっていると思います。。。。
話が飛びましたが、漢検は、本人が好きでどんどん進みたいのならいいのですが、とりあえず合格のごほうびで釣って、当該学年のものは一通り勉強し、「知らない」と言わせないようにする。そんな感じで使うのはいかがでしょうか。
うちも身についたとはいえませんが、「この漢字習ってない」というワードは教えていて出なかったことはラクでした。
ちなみに。。。数学検定。これは中受にはまったく意味ないと思っています。
数学検定で中学範囲まで合格していても、模試で散々なお子さんはたくさんいます。変に低学年で中途半端な数学の知識だけつけて、「数検〇級!」と自慢していても、算数の根本理解が乏しいお子さんを見ると、残念だなーとしか。
高校受験のための先取りなら、いいと思います。
数学検定の勉強するなら、何か別の算数のワークをやったほうがいいですね。
漢検に迷われている低学年の方がいたら、参考にしていただければ幸いです。
長くなりましたが、お読みくださりありがとうございました。
↓漢字の要。1と2だけでも十分、入試対応できます。