KindleUnlimitedにて。
谷瑞恵「めぐり逢いサンドイッチ」
靭公園にある『ピクニック・バスケット』は、笹子と蕗子の姉妹が営むサンドイッチ専門店。
お店を訪れるのはちょっとした悩みを抱えた個性的なお客さんたち。
読むと心がほっこり温まる、腹ペコ必至の物語!
姉・笹子が開いたサンドイッチ専門店「ピクニック・バスケット」
職を失った妹・蕗子が手伝いに入り、コーヒーを淹れている。
姉妹には小さな秘密がある。
開店当初からの謎の常連客、小野寺さんにも
「ピクニック・バスケット」にパンを納品している、「一斤王子」ことパン職人川端さんにも
それぞれ事情がある。
そんな小さな事情や、わだかまりや、苦さを
ふんわりパンでくるんで、サンドイッチにして
幸せな気持ちへと変えるお話です。
5編の短編から成っています。
()は登場するサンドイッチの種類です。
- タマゴサンドが大きらい (タマゴサンド)
- ハムキャベツの隠し味 (ハムキャベツサンド)
- 待ち人来たりて (ローストチキンのサンド)
- はんぶんこ (コロッケサンド)
- おそろいの黄色いリボン (黄色いカレーのサンド)
面白かった…というか気に入りました。
最近読んだ「食べ物を題材にしたお話」の中で
一番よかったと思います。
サンドイッチが美味しそうなだけでなく、
文章が読みやすく、人物の描写もよく
でも押し付けすぎず気持ちよく読めるテンポでした。
そしてほんわかしたり、じんわりしたり。
こういう短編集にありがちな
「小さな謎を解く」ほどの謎ではなく
ちょっとこんがらがった思考をほどく、
ぐらいの展開ですが、
それが押しつけがましくなく感じがよかったです。
マーカーした箇所は下記。
でも人生には、想像もしなかった落とし穴がある。
ぬるく生きていると、考えてもいなかったことが起こったとき、どうしていいかわからない。
そういうときに強いのは、きっと、突拍子もない夢をみられる人なのだろう。
これは蕗子の言葉ですが、
蕗ちゃんが、私の想像したほどつらい人生を送って来ていなかったので
よかったです。
川端さんの父親が「僕が失敗するのを待っている。」というのは
辛いことだな、と思いました。
川端さんは潰されることなく頑張っていますが
自分が正しかったことを思い知らせるために
「子供の失敗を願う」なんて、完全に子離れできていない毒親ですね。
親の人生と、子供の人生は違うものだと自覚するべきです。
やっぱり続編もありましたね。
読みたいけど、まだまだ無料にならないだろうなぁ~