米粉パンと小麦パンの違い、

 

大きく2つあります。

 

① 【グルテンがない事】

 

グルテンのおかげで、小麦パンは「なんとかなっちゃう」パンなんです。

もちろん、技術的に高度なパンもありますが、

簡単なパンなら、こねて、寝かせて、焼く 

この工程で、だれでも食べられる範囲のパンはできます。

 

米粉パンは、グルテンがないので、

簡単に、こねて、寝かせて、焼く、と同じ工程をしても

「なんとかなっちゃわない」パンなんです。

大抵は、誰でも食べられない範囲のパンができます。

ネットリ重い代物が出来上がる事でしょう。

 

② 【技術の蓄積がない事】

 

小麦パンは、数千年の歴史があり、

その基本的技術は、人類共通の財産なんですね。

できあがっているんです。

 

多くの毎日の製造の繰り返しや、長年の間の技術の融合があり

今に至っています。

その間には、門外不出の技術もあったのではないかと思います。

今では、多くの技術的な専門書や、教科書的な本もあり、

できあがっている技術であります。

 

 

米粉パンは、その美味しい小麦パンを

なんとか米で真似できないか?という事で数十年前から作られてます。

 

やってみたら小麦の応用だけをしても

美味しいパンは作れない、ということが……

その技術は、今を生きている個人の試作研究によって更新されています。

 

 

 

そういう訳で、

試作研究を始める前、

私も

何で、小麦のパンみたいに教えてくれる教室がないのだろう?

勿体ぶってるのかな?

ハードルが高いな。

 

なんて思ってました。

 

でも実際作ってみると、全く違う。

教科書はない、正解もない。

個人で、焼いて、焼いて、焼いて……

失敗して、工夫して、失敗して……たまに何かを掴む、腑に落ちる。

 

料理という分野でありながらも、「開発」に近いのかな

というのは感じます。

 

まだまだ私は「米粉パンの事なら全て知ってます」なんて言えないし、

おそらくそんな人は誰もいないと思います。

 

「米粉パンは簡単!教えるよー」なんて事も私は言えません。

ネットや書籍の簡単パンを応用しつつ、

自分で作ったものは「なんでも美味しい、最高!」と思える

ハードルの低さがあれば、言えるかも知れないけど……。

 

 

粉自体も、日々研究され更新されていきますので、

それにあった作り方も、変わっていく事でしょう。

 

米粉ならなんでもいい、訳でもないのが、美味しい米粉パンですし。

かといって、

米粉さえ選べば出来上がる、わけでもなく

技術が必要なのも美味しい米粉パンなのです。

 

 

そんな訳で、

あるフェイスブックのグループで

米粉試作パンの写真を投稿すると、

 

「レシピ、くださいー」と当たり前に、簡単に言われる事が多く、

私自身、とてもケチな人みたいに自分が思えてきて、

悩んだので、そのグループからは退会しました。

 

小麦パンの感覚、認識だと「教えてー」となるんだと思います。

 

 

つまり、小麦パンの場合、出来上がった技術の上に

各自アレンジしたものになるので、

 

家庭レベルのちょっとした工夫のレシピもあれば、 

それは「こうやって作ったらできたよ!」という事にもなるでしょうし、

プロが解釈をして作ったレシピもあるし、

人気のパンの基本のコツを丁寧に教える教室もあります。

 

 

米粉パンには、米粉パンの

小麦パンとは違った背景があるわけです。

 

ちなみに、そのグループでは

「みんなで米粉パンの知恵を持ち寄って作っていったら

美味しい米粉パンに近づくと思うので、やってみましょう!」みたいに

言われてましたが……

それぞれが小麦パン認識で、しかも教えてもらう寄りの感覚では

難しいだろうなー、と私は感じました。

 

 

 

鼻息を荒くしているわけではないと思いますが

例えば新薬を開発した場合、簡単に「作り方教えてー」とは

ならないし、開発料も含んだ価格で購入しますよね。

 

いちごの苗や和牛の遺伝子をオリジナルとして大事にして

海外流出、流用を防ぐ気持ちも

よくわかります。

 

だから米粉パン教室によくある

「家庭利用としてお楽しみください」は、

皆さんに家庭で利用して喜んでもらいたい、

でも、個人が一生懸命試作して作ったものなので、

オリジナルは大事にしてくださいね。

 

そういう気持ちなんです。

それも私には理解できるようになりました。

 

 

米粉パンは、まだまだ更新されていきます。

教科書もないし、正解もないから、

自分なりのパンを作っていきたい場合は、

それは、自分で焼いて焼いて焼いて、

失敗して工夫して失敗して、わかるものだと思います。

 

 

「簡単に人から教えてもらう→教える資格ありますと言い切る」

「本やネット情報のレシピを集めて検証し、独学と言い切る」

「10回、数十回の焼きで、焼ける、わかると言い切る」

 

それは自由だし簡単な事だけど、

そこから、よりクオリティを求めたり、

新しいものを作ったり、などは難しくなるでしょう。 

 

(例えば、焼く環境が違うと仕上がりがかなり違ってきます。

そういう事への対応力や経験も必要ですよね。)

 

何か大事な過程が抜けているので、難しいかと。

 

 

 

 

全国に、  

人から習う、検索する、チェックするだけでなく

「焼いて、焼いて、焼いて

失敗して工夫して失敗して」、体得する方が

増えてくるといいなー、と思います。

 

(私は、それをするのに何年も続けてますし、

費用も労力もかかってます。

まだ続くでしょう。)

 

 

そうやっているうちに、

グルテンフリー がどうしていいのか?

小麦悪じゃない観点から、適切に米粉パンを活用していく方法が

納得してわかるでしょうし、

自分なりに、より良い米粉パンを伝えていけると思います。

 

 

 

 

 

 

 

そして、各自大事にしてきたものが、

いつかの時点で、融合されて

また技術が更新していくものなのかもしれません。

 

「なんとかなっちゃう」小麦でさえ、何千年もかかった事を、

「なんとかなっちゃわない」米粉パンに

時間をかけずに、同じようにを求めるのは難しいのだと。

 

 

立場が変わって、いろんな視点で見れるようになった今、

私はそのことに気づきました。

 

 

 

 

チカップには

「自分なりに販売をしているけど毎回仕上がりが違います。

なぜなのか(米粉パンの教科書的に)教えてほしい」とか

 

「今後、お店と教室を開きたいので、教えてほしい」

 

などのお問い合わせが

結構多く、個別にお答えしてしましたが、

今回、私なりの考えをまとめてみました。

 

 

 

 

 

 


 

 

でも、

そんな途上のチカップパンであっても、楽しみたい。

その個人の試作努力を思いはかり、小麦パンの認識で考えず、

大事にしてくださる、

 

そんな方に、お伝えしていきたいのです。