実はこの管理部門が私の勤務年数の半分以上を占めることになる
のだが、ずっと「ここは私の場所ではない」感を抱え続けた時間にも
なっていった。
仕事は経理寄りで数字との格闘。
やり方はどんどん変わっていったものの、基本的には同じ。
担当の業務は基本ひとり作業なので自分がミスなくしっかりやれれば
黙々ともできるし、休みを計画的に取ることもできる。
しかし社員たちが嫌う「本社」独特の雰囲気があり、現場感はゼロ。
ほぼ同じフロアにいる経理や総務、システム職としか接しない環境。
そして次第にFさんと同年代の社員が増えていき、同年代ばかりが
会話するようなムードになっていく。
当時私は親会社からの委託業務として都内や千葉などの官公庁な
どに出向いて行う業務の管理取りまとめも担当しており、自らも
月2度ほど半日程度の出張があった。
実は私にはこれが大切な息抜きだった。
窒息しそうな雰囲気からもともと好きな都心やビジネス街に出かけ、
一時仕事のことを忘れられるので楽しみだった。
出張手当が出るので、それを外でのランチや事務所の女子たちへの
お土産としてのお菓子代に充てることもできた。
都内の場合は奈良のまほろば館の目と鼻の先に用事の場所があり
ついでに寄って奈良のものを購入するのも楽しみのひとつだった。
お気に入りは乗換駅の百貨店内にあるカフェ。
硝子張りで外が見えるカウンター席でお洒落なランチセットを頂くの
はちょっとした心の贅沢でもあった。
会社は地元で田舎なので、おしゃれなスイーツもお土産に買う。
しかしこれも「わあ、おいしそう」と喜んでくれる人もいれば、ほぼ
反応がない人もいて、お付き合いでもそういう態度が取れないのか?
と思うこともあった。