昔流行ったインベーダーゲーム。
いまの5年生、6年生の保護者の方は、ちょっと時代が違うかもしれませんが、私が子どもの頃はそりゃもう無茶苦茶流行ったのです。
今のように家でゲームする感覚ではなくて、ゲームセンターに置いてあるテーブルゲームでした。
喫茶店のテーブルもインベーダーゲームになっていました。大人もやってましたね。
ところが、ある日どこから流れてきたのか「名古屋打ち」という攻略法が知れ渡ったのです。正攻法とはまったく逆の発想でした。
娘と受験勉強に明け暮れたあの日、そんなことを思い出したのです。
私たち親子にはとにかく時間がありませんでした。受験までに残された日数を考えると、正攻法ではとても間に合わないという現実がありました。算数の名古屋打ちを見つける必要があったのです。
多くの子が中学受験塾に通いながら、算数が苦手だと言う。
つまり、今習っているところ以外に復習すべきところがたくさんあるということになります。そんな時間がどこにあるのでしょうか。
コツコツ社会・理科の暗記もやらなければいけない状況で、算数の苦手単元をつぶしていく時間なんて確保できない。
中学受験の算数を正攻法でいこうとすると、子どもに相当な無理を強いることになります。
子どもにも限界がありますから反射的に逃げ腰になる。そしてバトルに発展する。余計に時間だけが過ぎていく。
下剋上受験塾のオンライン講義では、「ここです。ここが重要です。」と強く伝えることがしばしばあります。まさに受験算数の攻略法の部分なんです。
私たちが受験勉強で見つけた近道の数々。1年5か月でたどり着いたその理由。
保護者の皆様にこう伝えたいのです。
「ここまで理解している子と、1年後2年後の受験で戦おうと思っていたのです。無茶だと思いませんか?」
賢い子が見えているものと、普通の子が見えているものとが違い過ぎるのです。
ライバルと呼べるレベルになろうとすれば何倍も勉強することになるのです。
近道とは、解き方のコツや速算法というような単純なものではないことを知ってほしいのです。
楽をすること、近道を通ることをどこか横着に感じて、真面目にやってしまう。
横着したらダメ。真面目にコツコツが一番。
真面目にやって届かなければ仕方ないと考えてしまう。
「結果よりも頑張ってほしいのよ」と言う保護者の方も多いのが現実。
それは、近道を探すことを横着したに他ならないと私は思うのです。
本当の横着は公式の丸暗記。
ひとりでも多くの中学受験生に、思考する算数を知ってほしいと思います。
実はそれが一番の近道だと思うからです。
2023年2月12日
桜井信一