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013/俺たちの子育て/第二反抗期は子どものチャンスを台無しにする

低学年のうちから先生の言うことをまるで聞かない子がいる。他人では絶対に手に負えない子がいるのだ。さて、親ならどうだろう。親ならそんな悪ガキでもうまく飼い慣らすことができるのだろうか。

公園にいるあの子、どう見ても近づかない方が無難だ。チャリを見た瞬間にわかる。そのデザインは普通選ばない。その錆び具合いからは放任主義を履き違えた親であることが明らかだ。それでも早合点するわけにいかないから、慎重な私はベルとライトを確認する。このどちらかが壊れている場合、親も壊れている。タイミングが悪い場合もあるだろうから、念のため次に見かけたときに再チェックする。一定期間を置いても修理されていない場合、私の勘が的中したことに満足する。チャリは親を映す鏡なのだ。

こっちが不思議な時間に公園にいるというのに、平日の昼間から公園で子どもと遊んでいる親を見ると首を傾げる。仕事もせずにどうやって生活しているのだろう。月曜日なら美容師という線もあるが、あの髪型はあり得ない。木曜日なら医者の可能性もあるが、別の意味であの髪型はない。もしや、資産家の息子か、それともヒモなのか。逆に、こっちを見て怪訝そうにしてきたら、資産家のふりをしてやろうと思う。


学校で教わった竹とんぼを飛ばしている男の子がいた。娘のクラスメートらしい。竹ひごを両手の手のひらでこすり合せ、プロペラを空へ向けて飛ばす。その瞬間、左足はつま先立ちになり右足は後方へ跳ねる。自分が飛ぶわけでもないのに、毎回自分まで飛び上がろうとする姿が可笑しい。正座して飛ばしても結果は同じだと教えてやりたい。

小学校は、こういう伝統的な遊びを教えてくれるありがたい場所だ。親だけではなかなか思いつかないことも多い。しかし、小学校はもっと大事な役割を果たしていることを多くの人は気付いていない。気付いていないというより、気付く必要もなく無関係といったところか。

竹とんぼ君は、土曜日の昼ごはんがない。公園で遊んでいる子たちがお昼にいったん消えていくのに自分だけはぶらぶらしている。夕方の5時頃になると、夕飯だ習い事だと帰る子が出てくるが、竹とんぼ君に門限はない。そんな時間に帰っても夕飯にはありつけないのだ。

そんな彼にとって最も恐怖なのが夏休みだという。体力を消耗するこの時期に昼飯抜きはなかなか厳しいものがある。プールが開放されることがあっても給食が出ることはない夏休みは地獄だというわけだ。

そんな事情を聞いたある日、いくら低学年だといってもまさか男の子を家に招くわけにもいかず、妻に多めのお弁当を作ってもらい、子どもといつもの公園に出かけた。レジャーシートを広げて一緒に食べようと竹とんぼ君に声をかけると、周りにいた友達の視線が気になるのか、要らないと言う。咄嗟に、「みんなで食べようという意味だよ」と言うと途端に嬉しそうな顔をしたので、慌てて妻にメールしてもっと作ってきてくれと頼んだ。季節外れのお花見のようなものだと言いながら飛ばしたギャグはすべってばかりだったが、それなりに楽しそうにしてくれた。

すると、家にまでお礼を言いにくる親もいれば、子どもにお手紙とお菓子を持って行かせる親もいる。ご丁寧な話だ。たかがおにぎりとソーセージの弁当ごときでこっちまで気を使う。しかも、あんたたちは外野だと教えてやりたい。

案の定、竹とんぼ君の親は何も言ってこない。



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父親はいない。母親は近くの外食チェーンでパートをしているらしい。母子手当を足すと昼飯くらいはいけるだろうと思うけれど、それこそ外野にはわからない事情があるのだろう。竹とんぼ君は明るい顔で言う。ママには彼氏がいるから休みの日はずっといないと――。

何もしてやれない者が同情するべきではないことを私はよく知っているつもりだ。そもそも他人の心配をする前に自分の子の心配をすべき立場だ。色んな事情、色んな状況で育っている子がいて、それが日常だから他人が思うほど辛そうでもないこともある。勝手にかわいそうだと決めつけるのは危険というわけだ。そして、そこから生まれるチャンスだってあるだろう。同情した側をあっさり追い越すことだってある。

しかし、空腹は子どもたちのイライラを引き起こす大きな原因だと思う。最低限の物を買い与えるのに最低限の食事を与えない理由なんて簡単に想像できてしまう。

子どもを産んだら「女性」をやめて「母親」になれと言うのも難しいことかもしれない。ひとり親になるリスクなんて誰にでもある。様々な事情のその一部分だけでもカバーするために、小学校は大事な役割をしていると思う。


竹とんぼ君、どうしているだろう。娘が知っているあいだは、彼が横道にそれることはなかった。先生の手に負えない子になることもなかった。やっぱりそうだった。悪ガキのにおいがしていたら、お弁当を一緒に食べるどころか関わらないようにしていただろう。やっぱり私の勘が的中した。こういう嗅覚は大卒には負けない。

――そこのキミ、なんかにおうぞ。

2017.11.21

桜井信一

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