＜提供：マイナビ家庭教師＞
【お知らせ】
下剋上算数 攻略本 難関校受験編
桜井信一の最難関算数教室
下剋上受験 桜井信一の絶対合格カレンダー2018-2019
順次発売中です。よろしくお願いいたします。
「俺たちの子育て」の連載を始めました。
stage1とstage2が発売中です。
↓ ↓
006/俺たちの子育て/第二反抗期は子どものチャンスを台無しにする
幼稚園の卒園式はとても不可解なのです。
共感しようと努めてもまるで届かないのです。距離感が宇宙なのです。
普段はお仕事で忙しい父親も、この日ばかりは都合をつけます。私もそのひとり。１か月前から休む段取りをつけておきました。
当日はとても良い天気でした。振り返ると、幼稚園生活の行事ごとは天候に恵まれ続けました。これは佳織の日頃の行いの賜物でしょう。確かに他の子も好天に恵まれましたが、他の子の行いが悪い分までカバーし続けたのでしょう。
佳織にぴったりの朝、幼稚園の門に向かって親子が歩いてきます。女の子の髪はいつもより綺麗にまとめられています。三つ編みがとっても素敵。なかには三つ編みが大きすぎる子もいて、李氏朝鮮の尚宮（サングン）かと思ってしまいます。ママたちの胸にはコサージュが。ごく稀に、コサージュの位置が低すぎるママがいますが、あれはどういう仕掛けなのでしょうか。「置かれた場所で咲きなさい」という感じでしょうか。
お父さんたちもパリッとしたスーツをまとっています。ここはあえて「まとう」を使いたい。すぐにわかるのです。普段からスーツを着て仕事をしている人と、この日だけの晴れ着の人は着こなしが違う。不慣れな人はちょっぴりネクタイが短いのだ。どうしても教えてあげたい。「それは七五三の場合です」と。
厳かに式が始まる。先生方の表情にも緊張感があります。３年の間に何度か幼稚園に行きましたが、先生のお化粧がここまで白いのは初めて。「舞妓さんか？」と思ってしまいます。
年長さんを担当する先生方は、凛とした雰囲気を匂わせる訪問着袴姿で園児たちを迎えます。主役は園児たちだから控えめに訪問着という意味なのでしょうけれど、文句なしに一番目立っています。これは自腹だろうかと下世話ことを考えてしまう私。２年連続年長さんを担当した先生の昨年の訪問着袴を確認したい。
幼稚園の思い出、たくさんあります。学校行事の写真が走馬灯のようにスクリーンに映し出されました。高画質の写真を自分で撮れる時代に、売りつけることばかり必死だった写真館のカメラマンに今日ばかりは感謝したい。いや待てよ、油断している場合か？ 今日も売りつけるつもりだろうか。
周囲を見ると、多くのお父さんが泣き出しています。声を出さずに泣くものだから気付くのが遅れた。今から泣くのは明らかに出遅れ。ところで、あの涙はなんだ？ 成長に感動しているのだとすれば、よほど普段子どもを見ていないのだろう。私は泣く理由が浮かんでこない。もらい泣きするタイプでもない。
無試験で入園し、留年することなく卒園する幼稚園に頑張ったもくそもない。私なんてもっとメンタルが必要な保育園を見事卒園している。そんな容易いことにやりきった感を出されても困る。あえて言うなら無病息災くらいだろうが、それは近所の神社のお守りのおかげで、頑張りとは言い難い。
色々考えているうちに、泣くタイミングを逸した。
下剋上算数 攻略本 難関校受験編
stage1とstage2の発売がスタートしました。
絶対合格カレンダーも発売中
↓ ↓
式が終わると、各自の教室に集まります。
担任の先生は大泣きしている。今日でこの子たちとお別れだと思うと、溢れる想いを止められないのだろう。特にどの子に対して泣いているのか聞きたいが、それは野暮というものだ。
声を震わせながら先生の最後の話が始まる。園児たちはきょとんとしているが、子どもたちを囲むようにして並ぶ保護者たちは感謝の気持ちでいっぱいだ。思えばこの先生のおかげでずいぶんと強くなった。運動会のとき、すぐ諦める娘を抱きかかえて走ってくれたこともある。母親とはまた違った位置で娘を支え続けてくれた。――しまった！ さっきそれを考えれば泣くことができた。
最後のさよならのご挨拶。これで本当に幼稚園生活を終える。
先生と親子で記念撮影をしたい人たちが並ぶ。そういう段取りかと気付いて私たちも慌てて並んだ。なかなか順番が回ってこない。２回３回撮る人の気持ちはわかるが、次の人が待っているのに先生と長く握手している人の常識を疑う。
特に父親がいつまでも先生の手を握っている姿に私は違和感を持った――。
こうして佳織の幼稚園生活は幕を閉じた。
2017.10.10
桜井信一
少し下にある「いいね」をクリックしてほしいです！
【お知らせ】
下剋上算数 攻略本 難関校受験編
桜井信一の最難関算数教室
下剋上受験 桜井信一の絶対合格カレンダー2018-2019
順次発売中です。よろしくお願いいたします。
「俺たちの子育て」の連載を始めました。
stage1とstage2が発売中です。
↓ ↓
006/俺たちの子育て/第二反抗期は子どものチャンスを台無しにする
幼稚園の卒園式はとても不可解なのです。
共感しようと努めてもまるで届かないのです。距離感が宇宙なのです。
普段はお仕事で忙しい父親も、この日ばかりは都合をつけます。私もそのひとり。１か月前から休む段取りをつけておきました。
当日はとても良い天気でした。振り返ると、幼稚園生活の行事ごとは天候に恵まれ続けました。これは佳織の日頃の行いの賜物でしょう。確かに他の子も好天に恵まれましたが、他の子の行いが悪い分までカバーし続けたのでしょう。
佳織にぴったりの朝、幼稚園の門に向かって親子が歩いてきます。女の子の髪はいつもより綺麗にまとめられています。三つ編みがとっても素敵。なかには三つ編みが大きすぎる子もいて、李氏朝鮮の尚宮（サングン）かと思ってしまいます。ママたちの胸にはコサージュが。ごく稀に、コサージュの位置が低すぎるママがいますが、あれはどういう仕掛けなのでしょうか。「置かれた場所で咲きなさい」という感じでしょうか。
お父さんたちもパリッとしたスーツをまとっています。ここはあえて「まとう」を使いたい。すぐにわかるのです。普段からスーツを着て仕事をしている人と、この日だけの晴れ着の人は着こなしが違う。不慣れな人はちょっぴりネクタイが短いのだ。どうしても教えてあげたい。「それは七五三の場合です」と。
厳かに式が始まる。先生方の表情にも緊張感があります。３年の間に何度か幼稚園に行きましたが、先生のお化粧がここまで白いのは初めて。「舞妓さんか？」と思ってしまいます。
年長さんを担当する先生方は、凛とした雰囲気を匂わせる訪問着袴姿で園児たちを迎えます。主役は園児たちだから控えめに訪問着という意味なのでしょうけれど、文句なしに一番目立っています。これは自腹だろうかと下世話ことを考えてしまう私。２年連続年長さんを担当した先生の昨年の訪問着袴を確認したい。
幼稚園の思い出、たくさんあります。学校行事の写真が走馬灯のようにスクリーンに映し出されました。高画質の写真を自分で撮れる時代に、売りつけることばかり必死だった写真館のカメラマンに今日ばかりは感謝したい。いや待てよ、油断している場合か？ 今日も売りつけるつもりだろうか。
周囲を見ると、多くのお父さんが泣き出しています。声を出さずに泣くものだから気付くのが遅れた。今から泣くのは明らかに出遅れ。ところで、あの涙はなんだ？ 成長に感動しているのだとすれば、よほど普段子どもを見ていないのだろう。私は泣く理由が浮かんでこない。もらい泣きするタイプでもない。
無試験で入園し、留年することなく卒園する幼稚園に頑張ったもくそもない。私なんてもっとメンタルが必要な保育園を見事卒園している。そんな容易いことにやりきった感を出されても困る。あえて言うなら無病息災くらいだろうが、それは近所の神社のお守りのおかげで、頑張りとは言い難い。
色々考えているうちに、泣くタイミングを逸した。
下剋上算数 攻略本 難関校受験編
stage1とstage2の発売がスタートしました。
絶対合格カレンダーも発売中
↓ ↓
式が終わると、各自の教室に集まります。
担任の先生は大泣きしている。今日でこの子たちとお別れだと思うと、溢れる想いを止められないのだろう。特にどの子に対して泣いているのか聞きたいが、それは野暮というものだ。
声を震わせながら先生の最後の話が始まる。園児たちはきょとんとしているが、子どもたちを囲むようにして並ぶ保護者たちは感謝の気持ちでいっぱいだ。思えばこの先生のおかげでずいぶんと強くなった。運動会のとき、すぐ諦める娘を抱きかかえて走ってくれたこともある。母親とはまた違った位置で娘を支え続けてくれた。――しまった！ さっきそれを考えれば泣くことができた。
最後のさよならのご挨拶。これで本当に幼稚園生活を終える。
先生と親子で記念撮影をしたい人たちが並ぶ。そういう段取りかと気付いて私たちも慌てて並んだ。なかなか順番が回ってこない。２回３回撮る人の気持ちはわかるが、次の人が待っているのに先生と長く握手している人の常識を疑う。
特に父親がいつまでも先生の手を握っている姿に私は違和感を持った――。
こうして佳織の幼稚園生活は幕を閉じた。
2017.10.10
桜井信一
少し下にある「いいね」をクリックしてほしいです！