【お知らせ】
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この時期になりますと6年生の保護者の方からたくさんのメールが届きます。
とりあえずメールしておいたら何か回答があるだろう、使える回答ならラッキーだ、そんな思惑が透けている文面もありますが、心底困っているのが伝わるメールもあるのです。
なかでも、「いまこういう成績で」「ここが出来るようになってきて」「でも志望校まではこれくらい足りなくて」「ここからどうすればいいのかわからず」困っているというメールを送ってくださる皆様にお伝えしようと思います。
大学受験を迎える子どもを持つようになり、こんなことを思っています。
受験勉強のなかでも小学生が挑む中学受験というのは、勉強不足で伸び悩んでいるというようりも、勉強するそのやり方そのものが間違っているかもしれません。
全国に何万人もいる中学受験塾で頑張っている子どもたちの殆どが、大きな変化もなく時間が過ぎていったり、ある程度のところで伸び悩んだりする現状を考えたとき、その理由を「能力」で片づけられてしまいそうですが、私はそれ以外の部分が大きいのではないかなあと思っているのです。
ここまで伸びてきたのは勉強時間、つまり「量」で押し切ってきた限界なんだろうというケースが多いのではないでしょうか。
当初のわが家がそうでした。
「こんなに頑張っているのに成果が乏しい」「もっと根本的なことが原因なんじゃないか」と、それはもう悩み続けました。
本番までの期間が減っていくなかで、相当な焦りもあり、空回りするばかりでした。
根本的に違うのだろう、こうすれば良いのだろうと何かに気付いても、それをするには時間がなさすぎるために、目を背けようという逃げもありました。
残された期間がすり減るなかで、ここからできることって何だろうか。
いま何が問題なんだろうか。
そう思う方が多いのはとてもよくわかるのですが、このblogで回答するのは難しいのです。
それが文字ではなくお電話のような方法でも、保護者の方から経緯を聞いただけでは殆どよくわからない場合が多いのです。
この場面は、勉強している本人の状況を一番把握している塾の先生に相談するしかないと思います。
色々な方の話を聞いていますから、それがなかなか難しいこともよくわかります。
しかし、それは100%無理ではないと思うのです。
塾生でもない私が塾に相談するというと、誰もがそんなことをしても時間の無駄だというでしょう。
そのとき私は考えました。
漠然と「どうしたらいいですか」では先方も相手にはしないだろう。
下手に相手にして巻き込まれても困ると思うだろう。
こういうやつに限って落ちたら逆恨みするかもしれないと考えるだろう。
寧ろマニュアルみたいなものかもしれない。
慣れているかもしれない。
でも何かヒントを得ないと打開策を見つけられない。
いまやっていることはあまりにも素人すぎる気がする。
専門家の意見を聞きたい。
それを止めることはできませんでした。
動いてみることにしたのです。
どうしたらいいですかではなく、困っていることを具体的に聞いてみよう。
この方向であっているか聞いてみよう。
2つの塾に数回相談しましたが、それはもう親切に教えてくれました。
いま思うと塾生ならみんなが教えてもらっている程度のアドバイスでしたが、何も知らない私にはとても重要なヒントとなりました。
そうやって勉強するのかあ。
みんなそこで立ち止まっているのかあ。
そう思って目の前が明るくなったのを覚えています。
「理科が苦手です」というのと、「星座の覚え方がわからない」というのとでは対応も変わってくるはず。
勉強に対しての姿勢を知っている人に具体的に相談してほしいのです。
残念ながら、お子さんを見たこともない、勉強に対する姿勢も知らない私が、保護者の方からちょっと聞いただけでは何もよくわからないのです。
ただ、多くのお子さんに当てはまると思う事柄は、テキストのまえがきなどに書いています。
もし興味がわけば一読してほしいと思います。
いずれにしてもあと3か月か4か月。
同じ場所で立ち止まらない方法を探してあげてほしいと思います。
受験が終わってから、「あのとき、もっと早い段階でこの判断をしていれば結果はかなり違っただろう」「本人の負担もかなり軽減されていただろう」そう思うことがたくさんありました。
気付くのが一歩遅れ続けた受験勉強でした。
中学受験は、ゆったりと挑戦する方針の人もいれば、全力で上を目指す人もいます。
こういうと、後者が見苦しいというイメージがありますが、私はそんなことはないと思うのです。
小学生というこのタイミングで、精一杯やってみること、自分の限界までやったときにどこまでが天井かを知ること、必死に勉強して出来るようになり始める瞬間の爽快感を経験することは、その後の人生にきっとプラスになると信じています。
終わってみて思うことがもう1つ。
完璧を望まないことが、コツだったかなあ。
2017.9.18
桜井信一