【お知らせ】
『桜井信一の最難関算数教室』が7月28日発売開始となりました。


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お名前:時間を買いたい
件名:国語の理由づけ
本文:こんにちは。桜井様のブログを熟読している6年生男子の母です。

夏休み後半に入り、かなり焦っています。

息子は、全体偏差値58から63ですが、65以上の最難関を諦めずに頑張っています。

算数はここ半年くらいは60以上をキープできるようになってきたものの、国語は55前後をウロウロしています。

国語で差をつけたい!

2年前から思考錯誤してきましたが、手立てがなく、焦るばかりです。

とにかく国語の模試の点が取れないのです。

特に、記述の理由づけ。

上手く説明できないのですが、

「あなたは何故車で来なかったのですか?」

「電車だからです!」と答える感じでしょうか。

「電車の方が時間が読めるから!とか送り迎えしてくれる人がいなかったから。」が書けないのです。

全くオシクナイのです。

いつも間違える度に「電車だからです!になっているよ。」と注意するのですが、本人は間違えている理由すら分かっていないのです。

先日の桜井様の国語講義が大変魅力的で、寝台特急に乗ってでも行きたかったのですが、とにかく時間がないのです。

大金を払ってでも(お金持ちではありませんが)その講座を聞きたい!そんな思いです。

攻略本も色々読みました。

でも、聞けなかった桜井様の講義が一番魅力なのです。

何とかなりませんでしょうか…。



どんなテキストかは、『桜井信一の最難関算数教室』予約開始をご覧ください。





時間を買いたい様、ん? ニックネームというよりも心境みたいな感じでしょうか。

兎にも角にも、はじめまして。

最難関狙いですか、ワクワクする響きですね~、当時を思い出します。

そう簡単にくぐらせてくれないのが最難関。

そりゃそうですよね、簡単なら「難関」と呼べなくなります。

秋の時点に考えていた第一志望校に進学する子はかなり少ないのですから、現実はかなり厳しいのでしょう。

と思っていたのです。ずっとそう思っていた。

ところが振り返ってみてタネ明かしを知ってしまうとそうでもない。

そこまで難しくないことに気付きます。

兄弟姉妹揃ってあっさりこの門をくぐってくるご家庭がいるからオカシイとは思っていたのです。

難関中学というのは勉強方法と解き方さえ間違わなければそこまで高度な能力を要求していないのです。

この勉強方法と解き方、殆どの受験生が大間違いのままガンガン勉強しているのが実情ですから余計に簡単になる。

兄弟姉妹揃って合格してくる家はここに既に気付いている。

ライバルは大間違いに気付かない、これは楽勝だと。


算数は解き方を教える指導法が一般的で、わざわざ初見をさばく能力を低下させている。

無意識のうちにあとにつながる思考になるように教えられているのではなく、その場、その問題を解けるようにさせられているだけ。

復習のカサが増し、ますます思考することを忘れてしまいます。

これでは能力の高い子しか伸びないのです。


国語は文章を深く読むことを重視した指導法ばかりで、設問に対応する勉強ができていない。

採点対象は設問に対する答えだけなのに、読むことに重点を置いているのです。

本文を読み終えたとき、どれくらい内容が理解できているかが重要だと教わっているのです。

それに納得しているのは、深く読めないと答えられないと思っているからだと思います。

そこまで真剣に読まないと読書感想文が書けないだろうか。

読書感想文は書く技術の方が重要ではないのか。

当時、私が持った疑問です。

国語対策講座でも話しましたが、文章を読み終えたときに読解できていなくても良いのです。

読み終えたときは少し曖昧な部分があっても良い。

設問に答えながら精度を高めていく。

すべての設問に答え終わったとき、読解できていれば良いのです。

本を読んだあと読書感想文に取りかかる。

一切本を読み返さないで感想文を書き終えることってできるでしょうか。

どうだったかなと読み返しながら書いていくはずなのです。

完成をどのタイミングと考えるかが重要なのだと思います。



算数も国語もそんなこんなで楽勝になる家がある。

悔しい話だと思います。

平均付近の子どもたちが間違った勉強方法で頑張っているために、優秀層をさらにラクにさせてしまっているのです。

社会の縮図そのものだと思います。




さてさて、ご相談者様は「国語で差をつけたい!」とのこと。

算数は射程圏内に来ても国語がこのままでは意味がない、いつも国語のことが気がかりでモチベーションが上がらない、そんなところでしょうか。


質問と回答が合ってない、つまりラインが合ってない。

私の場合、あまり時間がないときに慌ててブログを書いたり原稿を書いたりするとジグザグ文章を書いてしまいます。

まだまだ無意識に書くレベルに達していないようです。

娘と一緒に国語の記述練習をしていたころは明確な方針が立っていたので「意識して」書いていたことになります。

緊張感もずいぶん違いますが、ブログや原稿と違って国語の記述は元の文章がありますから、少し意識すればそこまで難しくないように思います。

でも、漠然と「意識する」ということなら、それはかなり難しいのです。

小学生にやってはいけないことの1つが、「抽象的な指示を出す」こと。

いま、まさにそうなっていないでしょうか。



間違える度に「電車だからです!になっているよ。」と注意するそうですが、お子さんは意識できているでしょうか。

合言葉みたいになっているだけで、具体的に何をどうすれば良いのかわかっていないのではないですか。

理由を書くとき、塾では「~だから。」で終わりましょうと習うと思いますが、それだけでは文がよれてしまう場合、追加策を講じます。

国語の記述は色々作戦があり、ブログでちょこっと書いて「はい解決!」というわけにいかないのですが、ラインを合わすために最初にやることと言えば、「なぜならをつけて書く」作戦でしょうか。

「なぜなら」は4字ありますから、例えば30字の記述のときは34字を字数制限にするのです。

やってみればわかりますが、あたまの中で「なぜなら」をつけて書くだけのとでは効果がかなり変わります。


「あなたは何故車で来なかったのですか?」

「電車だからです!」


これに「なぜなら」が強制されると、


「あなたは何故車で来なかったのですか?」

「なぜなら電車だからです!」


これでもまだ気付かない場合は、オウム返し。


「あなたは何故車で来なかったのですか?」

「なぜなら車で来なかった理由は電車だからです!」


こうして後半の理由を答えている部分が不自然だと気付かせるのです。

このとき、横から論理的に説教してはいけません。

その論理がわかるくらいならこういう答えはしないはず。

正しい答えを教えてもダメ。

「そんな理由だったの?」と聞き返すのです。

「たったそれだけの理由で…(絶句)」という風に問い質すのがコツです。



2年前から試行錯誤してきた。

試行錯誤ですからそれは必要な期間だったのでしょう。

しかし、2年間の試行錯誤では結果が出なかったのですから、もう今までの方法では国語の記述が出来るようにならないことははっきりしたはずで、勉強量や勉強時間を増やしても効果がないことに気付いたはずなのです。

そこに国語対策講座があった。

私の国語対策講座が良いか悪いかは別として、ご相談者様は魅力的だと感じた。

どうして迷わず行動に移さないのでしょうか。

この道では厳しいとわかっているとき、今までと同じ方法での勉強時間の確保を優先して何か変化はあるでしょうか。

昨年も何人もの下剋上受験を目の当たりにしましたが、その方たちの共通点はとにかく行動がはやいこと。

「この道はダメだ」と判断した時点で、それを捨てる判断がはやい。

そのはやさが、次の方法で取り組む勉強時間を長くします。

わが家の勉強方法も二転三転しましたが、それが1日でもはやく正解に辿り着く手段だと信じて、それまでコツコツやってきた方法をあっさり捨て続けました。

結果が出る受験というイベント、その勉強は人生の勉強でもありますから、娘に何度となく言いました。

本になった元原稿の中にあった一部分をご紹介します。



「もう少し様子をみよう」を口癖にする人間は、1つのことをやり遂げることの大事さを履き違えてしまったんだ。

様子をみることは時間を失うこと、相当な自信がないと出来ないことなんだ。

人生はある程度の勘が必要で、「何か違う」と感じたらすぐにそれまでの努力を捨てなさい。

努力は大事だと大雑把に考えてはいけない。

正しいフォームで努力することが大事なだけで、すべての努力が大事なわけじゃない。

人よりもはやくうまい方法を見つけることが勝負の分かれ目。

頑張れば頑張るほど効果が出る道なら、人間は面白いように変化する。

精一杯やるのはそこからなんだ。

ここで言う「はやい」は、国語では「早い」と書くけれど、おまえの気持ちのなかでは「速い」で捉えなさい。

父さんがこれまでの人生で「しくじった」と感じたことは無数にある。

女々しいから「何が正解だったのか」を考えてしまう。

次につなげるためにそう考えていたんじゃなくて、ただ女々しいだけだったんだ。

でもその使い道が出来たよ。

出来る限りおまえに教えることで父さんのしくじりは活きてくる。

オレとおまえの人生を足せば、おまえは好いとこ取りだ。




何度この話をしたことか。

娘はや捉え方を間違ったのか、今ではこう呟きます。


「はあ~、いい方法はないかなあ~、やる気出す準備はできているんだけどなあ~」


2017.8.13

桜井信一

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