【お知らせ】
7月3日、新宿ミライナタワー内で講演会をいたします。5・6年生の保護者の方が対象です。ご興味のある方は下記のバナーをご覧ください。



本格的なインターネットの時代になってまだそんなに年数が経っていないような気もするのですが、もうしっかり浸透しています。


ここ数年では特に動画。

すっかり YouTube の時代ですね。

ピコ太郎の大ヒットなんて凄すぎです。


そんな誰でも気楽にYouTubeに投稿できる時代がやってまいりましたので、私も得る情報が多くなりました。

大人って塾に入れないですから、塾講師でもしない限りはどんな授業が行われているかわからない。

大手塾の見学はいくつかさせていただいたことがあるのですが、それ以外はない。

ところが、YouTubeにはたくさんの無料動画があるわけです。

まっ、「ちょい見せ」ってやつですね。


私自身がどこかと競合しているわけではないので敵を作る必要はないのですが、言わないと気が済まない部分もあるわけです。


中学受験って、伸びないと子どもが可哀そうでしょ。

勉強時間が増えた割に全然伸びなくてがっかりしてしまう。

最初は期待したと思うんです。

「よーし!心機一転。この先生に教えてもらったらもう無敵」なんて気がしたかもしれない。

ところが3カ月も経つと、それもどこへいったのやら。

お金を出しているお母さんのストレスがピークになり、とうとう叱られる毎日になる始末。

ほんと、子どもは可哀そうです。





悩みの多いところへ向けて発信するわけですから、無料で動画提供しているのは圧倒的に算数が多いようです。

国語は長ったらしい授業になるから「ちょい見せ」には向かないのかもしれません。


その算数の動画をいくつか見せていただきました。

いやあ、マジで愕然。


授業動画を見て愕然。

この先生に教えてもらおうと思う時点で子どもが出来ない原因がわかっていない親。

動画を聞いていると、何と塾の先生の繰り返し。

同じことを教えているのです。

違うのは「聞きやすさ」。

確かにわかりやすそうな気がする授業です。


「そっかー、線分図ってそういう風に書くのかあ」

「そんな風に解くのかあ」

なるほど鮮やかで自分でも出来そうと思う子が多いかもしれません。

しかし、算数は、先生が鮮やかに出来たことを自分が出来るとは限らないのです。

いや、多くの子が多分真似できない。


伸びた子もいるのでしょう。

きっかけとなっただけで、元からあたまが良かったのでしょう。

ところが大半はそうならないという現実を、毎年何万人もの中学受験生が証明しているのです。

伸びずに終わることを立派に証明しています。



例えば、6年生のこの時期のわが家のノートを見ると、算数だけで860問もの問題を準備しています。

この時期から過去問着手までに「この860問は最低でも解いておこう」と考えていたわけです。

もちろん数字を変えただけの類題は含んでいません。



すると、そのわかりやすい先生に教わって解決しようとしている子の場合、計算上はこうなります。

1時間に連続で3問教わるとして、287時間必要です。

毎日2時間ずつ習ったとして、5カ月間かかるのです。

塾に行きながらその時間を確保するのは現実的ではないですし、そこまでどんどん知識を入れても無駄なことくらいは想像つくでしょう。



私が悩んだのもこの点。

算数はやっておきたいことが多すぎるのです。

短期決戦には向かないと気付いた。

今のままでは間に合わないと判断して、作戦変更を余儀なくされたのです。


そこで、

・もっと広く共通して使える方法

・根本的な思考をくつがえす方法

これを必死に考えました。



子どもの小さなあたまにでも何とか入りそうな少ない知識で、それを広く活用すること。

「万能」がキーワードでした。

そこで思い付いたのが方程式です。

ところがそれも高い壁がありました。

ただ方程式を使えるだけでは解けるようにならないのです。


そこで、

立式をしたとき、=(イコール)の意味にトコトンこだわる練習をしました。

そこからわかってきました。

そもそも思考が間違ってた。

手ごたえが出始めたのは、それに気付いてからでした。



ところが「ちょい見せ」動画を見ると、塾と同じ方法で解説しています。

メリットは聞きやすいだけ。

解き方は塾と同じなんです。

コツを披露するだけ。


塾に行ってもわからない子を対象なんでしょ?

何やってんの?と言いたい。

またお母さんに叱られる子が増えるのを想像すると、胸が痛い。

2017.6.14

桜井信一