『門松、しめ縄(しめ飾り)、鏡餅。

 これらの正月飾りは何のために飾るのか?』

 

正月飾りは、「年神様(としがみさま)」

をお迎えするためのもの。

 

年神様とは新年を司る神様で、

元旦に家々にやってきて、

一年の幸せや健康をもたらしてくれる

といわれています。

 

新年が幸多い年になるように、

大掃除で家中を清めたら、

正月飾りを飾って年神様を迎える。

 

 

 

『正月飾りは、いつ・どこに飾ればいい?』

 

正月飾りは大掃除を終えた後、

12月28日までを目安に、

遅くとも30日には飾りましょう。

 

29日は「二重苦」「苦餅(苦持ち)」「苦松(苦待つ)」

で縁起が悪いとされ、

31日も葬儀と同じ「一夜飾り」になるので

避ける習わしがあるからです。

 

ただし、29日を「ふく」と読み、

福を呼ぶとするところもあります。

 

 

 <<門松>>

門松は、年神様が迷わず家にやってくるための案内役。

常緑の「松」は神様が宿る木とされ、

年神様を「待つ」のにふさわしいとされました。

 

その後、まっすぐ節を伸ばす「竹」と、

新春に咲く「梅」が縁起物として

添えられるようになったそうです。

 

門松を飾る場所は門前か玄関先。

 

2つが対になっていて、

本来は外から玄関に向かって

左側に雄松(オマツ=クロマツのこと)、

右側に雌松(メマツ=アカマツのこと)を飾ります。 

 

門松を飾っておくのは年神様がいらっしゃる期間で、

その期間を「松の内」と呼びます。

 

一般的には1月7日までですが、

関西などは1月15日まで。

松の内を過ぎたら、門松をしまいます。

 

 

 <<しめ縄、しめ飾り>>

しめ縄やしめ飾りは、玄関や神棚、床の間に。

その場所が「年神様にふさわしい神聖な場所です」

ということを表します。

 

しめ縄は漢字で「注連縄」と書き、

「注連」には神様の占める場所

という意味があります。

 

しめ縄は、

神の領域と現世を隔てる結界の役割

をしているのです。

 

しめ縄に縁起のよい飾りをつけたものが

しめ飾りです。いずれも門松同様、

松の内を過ぎたら外しましょう。

 

 

 

 <<鏡餅>>

鏡餅は年神様の宿るところ。

家にお迎えした年神様の居場所になります。

 

鏡餅の名前の由来は、

神事の際に神様が宿るところとして

用いられる円形の鏡。

 

大小2段の丸餅は太陽と月を表し、

円満に年を重ねるという意味も込められています。

 

いくつお供えしてもよいものなので、

メインの大きな鏡餅は床の間やリビングに、

小さなものは神棚や仏壇、

キッチンや子ども部屋など、

年神様に来ていただきたい場所に。

 

鏡餅は1月11日の鏡開きに下ろして、

お雑煮などにしていただいてください。

 

 

 

『開運におすすめのお正月飾りはある?』

 

門松は年神様の案内役、

しめ飾りは結界、

鏡餅は宿る場です。

 

お正月は年神様から

新年の魂(生きる力)を授かる時で、

その象徴が鏡餅なので、

とくに鏡餅は重要といえます。

 

また、紙垂(しで)は神様の降臨、

ゆずり葉は子孫繁栄など、

添える飾りにも全て意味があります。

 

 

 

『正月飾りの処分方法は?』

 

門松、しめ縄、しめ飾りは、

松の内(一般的には1月7日までですが、

関西などは1月15日まで)が過ぎたら外し、

1月15日(あるいはその頃)に

地域や神社などで行われる左義長(どんど焼き)

で焼いて、正月行事に区切りをつけます。

 

鏡餅は、1月11日に鏡開きをして食べますが、

飾りものは左義長で焼いてもらいましょう。

 

地域によっては、

正月飾りを回収してくれるところがあります。

 

左義長や回収の詳細は、

地域の掲示板や回覧板などを通じて告知されるので、

チェックしてみてください。

 

左義長に持っていけない場合には、

神社に納めると焼いてくださるところもあります。

神社に問い合わせしてみましょう。

 

いずれも無理な場合には、

燃えるごみとして出すことになります。

 

正月飾りは単なるごみではなく神聖なものなので、

ほかのごみとは別にしたり、

ごみ袋にそのまま入れるのではなく、

半紙などの白い紙に包んだり、

清酒や塩を振りかけて清めてから入れたりすると、

気持ちがよいと思います。

 

 

 

『おせち料理』

 

おせち料理とは「節供料理」

 

「御節供(おせちく)」の略で、

本来は折々の節日に神様に供える

料理のことをいい、

正月だけのものではありませんでした。

 

やがて、節日の中でも最も重要な

正月の料理を指すようになり、

「おせち料理」「おせち」と呼ばれるように。

 

年神様にお供えして、

五穀豊穣、家族の安全と健康、

子孫繁栄をお祈りするため、

一品ごとにそれらの願いが込められています。

 

数の子は子孫繁栄、

黒豆は健康でまめに働けるように、

田作りは五穀豊穣など。

 

 

 

『お年玉』

 

もともとは年神様から

新年に新しい魂「年魂(としだま)」

を授かることをいいました。

 

年神様は鏡餅などの「お供え餅」に宿ります。

そのお供え餅を餅玉に分けたものが「年魂」で、

 

これを家長が「御年魂」「御年玉」

として家族に分け、

1年を元気に過ごす活力を与えました。

 

この餅玉を食べる料理が「お雑煮」です。

 

 

『初夢』

 

元日の夜から2日にかけて見る夢のこと。

 

昔は大晦日には眠らずに

年神様をお迎えしたので、

新年に初めて夢を見るのは

「元日の夜」だったのです。

 

初夢では新しい1年の運勢を占います。

もしも悪い夢を見てしまったら、

「昨夜の夢はバクにあげます」と3回唱えて。

 

夢を食べる幻の獣「バク」が、

悪い夢を食べてくれるとされているからです。

 

また、逆夢ととらえ

夢とは逆のことが起きると笑い飛ばす方法もあるとか。

 

縁起のいい夢として有名なのは、

「一富士、二鷹、三茄子(なすび)」。

 

富士は、高い目標や理想を表し「立身出世」、

鷹は、高い可能性や行動力を表し「開運や夢の実現」、

茄子は、事を成すに通じ「蓄財や子孫繁栄」を表しています。

 

よい夢を見るためには、宝船か獏の絵、

「長き世の 遠の眠りの みな目覚め 波乗り船の

 音のよきかな(ながきよの とおのねぶりの

 みなめざめ なみのりぶねの おとのよきかな)」

 

という回文を書いた紙をあらかじめ

枕の下に敷いておくとよいという言い伝えも。

 

 

 

『七草粥とは?』

 

七草粥は正月行事の一つと思われがちですが、

本来は1月7日の「人日(じんじつ)の節句」

の行事食です。

 

人日とは文字通り「人の日」という意味で、

古代中国では元日はトリ、2日はイヌ、

3日はイノシシ、4日はヒツジ、5日はウシ、

6日はウマ、7日は人の日として

それぞれの占いをし、

8日に穀を占って新年の運勢を見ていたそう。

 

人日の日には7種類の若菜を入れた汁物を食べて、

無病息災を願う習慣もありました。

 

これが奈良時代の日本に伝わり、

年初に若菜を摘んで食べて

生命力をいただく「若菜摘み」、

7種類の穀物でお粥を作る「七種粥」

の風習と結びつき、

現在の七草粥の形になっていったとされています。

 

 

 

『春の七草とは?』

 

七草粥に使うのは、

この季節に若菜が生える7種類の「春の七草」。

 

「せり なずな ごぎょう はこべら 

 ほとけのざ すずな すずしろ これぞ七草」

と五・七・五調で歌って覚えている方も

多いのではないでしょうか。

 

春の七草は、

お正月の暴飲暴食で疲れた胃腸を労ったり、

冬に不足しがちなビタミンを

補ったりしてくれるので、

この時期にぴったりなのです。

 

 

■せり:水辺の山菜で香りがよく、食欲増進に

 

■なずな:別称はペンペン草。江戸時代にはポピュラーな食材

 

■ごぎょう:別称は母子草。草餅の元祖。風邪予防に使われた

 

■はこべら:目によいビタミンAが豊富で、腹痛の薬にもなった

 

■ほとけのざ:別称はタビラコ。タンポポに似ていて、食物繊維が豊富

 

■すずな:カブのこと。ビタミンが豊富

 

■すずしろ:ダイコンのこと。消化を助け、風邪の予防にも

 

 

<出典元>

https://iemone.jp/article/lifestyle/hana_20680/