しっかり休んでいるはずなのに、
なんだか疲れが取れない…
そんな経験がある方も
いらっしゃるのではないでしょうか。
多くのアスリートから
絶大な支持を得ているスポーツトレーナー
中野ジェームズ修一さんは
「日々の行動をちょっと工夫するだけで、
不安やストレスが改善され、
疲れづらい体になる」
と語ります。
そこで今回は中野さんの著書
『大人気フィジカルトレーナーが本気で考えた
疲労回復の習慣』より一部を抜粋し、
「とっておきの疲労回復方法」をお届けします。
* * * * * * *
【図】脚は第二の心臓!血液とリンパ液を体内に巡らせる「ミルキング・アクション」の仕組み
体力の正体は筋肉
筋肉が疲労耐性を左右する
「体力が落ちると疲れやすくなる」
とよく見聞きします。それは事実です。
体力の正体は、
体を動かすエンジンにあたる筋肉。
もっと言うと、筋肉が発揮する筋力です。
エンジンの出力が小さなクルマが
パワー不足により上り坂などで苦戦するように、
筋肉が減ると
体力が低下して疲労耐性も落ちるため、
疲労と疲労感が生じやすくなります。
体力の低下を招かないためには、
筋肉が減らないようにキープすることが大切。
さらに1歩進み、
筋肉を増やせたら体力も上がり、
疲労耐性もアップグレードします。
筋肉を増やす習慣に切り替える
体力の源となる筋肉が減ったり、
増えたりするのは、
どのような仕組みなのでしょうか。
筋肉は水分を除くと、
ほとんどがたんぱく質からできています。
筋肉をつくっているたんぱく質は、
お肌などと同じように、
つねに分解と合成を繰り返す新陳代謝を行っています。
筋肉の分解が合成を上回ると、
筋肉が減って細くなります。
筋力も落ち、体力がダウン。
疲労耐性が下がって疲れやすくなります。
また、
筋肉は基礎代謝量の2割ほどを担っていますから、
筋肉が痩せ細ると
エネルギー消費が減り、太りやすくなり、
余計に疲れやすくなるという悪循環に陥ります。
筋肉の分解が合成を上回り、
筋肉が減少する引き金は大きく2つあります。
1つ目は、
筋肉を長い間使わないこと。
わかりやすい例は骨折。
片脚の骨を骨折し、ギプスで動かないように
しばらく固定してから外してみると、
骨折していない健康な脚と比べて
脚の筋肉は明らかに細くなります。
身体活動量が減ると、
消費カロリーが低下するだけではなく、
筋肉への刺激もダウン。
筋肉は減ってきます。
少し動いただけでも疲れやすくなり、
それを避けるために
動かなくなるという負のループに陥りかねません。
もう1つの理由は、
食生活の乱れ。
具体的には、
たんぱく質の摂取が足りなかったり、
過激なダイエットで食事量を制限したりすることです。
筋肉の原材料となる
たんぱく質が足りないと、
筋肉の分解が合成を上回りやすくなります。
さらに食事量を極端に減らすと、
エネルギー収支が赤字となり、
不足する摂取カロリーを補うため、
体脂肪だけではなく
筋肉のたんぱく質も分解されて
エネルギー代謝に回されるため、
筋肉は減少しやすいのです。
筋肉を向上させるには
疲労耐性を高めるために筋肉を保ち、
向上させるにはどうすればいいのでしょうか。
散歩や家事などで歩行を伴う身体活動量を増やし、
日常的に筋肉を刺激し続けること。
さらに
筋トレで適切な負荷を加えてやると、
筋肉は右肩上がりに増えてきます。
すると基礎代謝量が上がり、
消費カロリーを底上げしますから、
太りにくい体質になります。
「それはアスリートだけのお話でしょ」
などと誤解しないでください。
誰でも筋トレに励めば、
筋肉が増えて体力もアップします。
80代でも90代でも、
筋トレで筋肉は肥大するのです。
身体活動や筋トレなどで
日中盛んに体を動かして
ほどほどに疲れていると、
寝入りやすくなって睡眠の質も高まり、
疲労回復が促されます。
ヒトには、
「暗くなったら眠る」という仕組み以外にも、
「疲れたから眠る」という仕組みがあるのです。
同時に欠かせないのは、
筋肉の材料となるたんぱく質を十分摂り、
不必要なカロリー制限をしないこと。
TO DO
■身体活動や筋トレで筋肉を刺激して合成を促す
■たんぱく質を十分摂り、過激なダイエットを避ける
■身体活動や筋トレでほどほどに疲れると睡眠で疲労回復しやすい
長時間座ったままでいない
脚は第二の心臓。
ふくらはぎのミルキング・アクションを
疲労耐性が落ちる理由の1つに、
座りすぎがあります。
日本は、世界で最も座っている時間が
長い国の1つと言われています。
世界の主要20か国・地域の約5万人を対象に調べた
シドニー大学などの研究によると、
日本人が平日に座っている時間は、
およそ1日7時間(中央値)で
トップクラスだったそうです。
これは他の研究対象者と比べて
2時間長いという結果が出ました
(Bauman,A.et al,Am J Prev Med.2011 Aug;41(2):228-235)。
デスクワークやゲームなどで
さらに座りっ放しの時間が長くなると
疲れやすくなります。
座りっ放しは運動不足に拍車をかけ、
消費カロリーの低下による太りすぎや、
身体活動の減少による筋肉と体力の減退を招きます。
「老化は足腰から」
で筋肉も筋力も下半身から衰えやすく、
座りすぎはそれに追い討ちをかけるのです。
それに加えて見逃せないのは
「ミルキング・アクション」
が働かなくなることです。
ミルキング・アクションとは、
ふくらはぎなど下半身の筋肉の動きにより、
末梢に溜まっている血液(静脈血)と
リンパ液を心臓へ循環させる作用のこと。
心臓より下を巡っている静脈血とリンパ液は、
重力に逆らって心臓まで上ってこなくてはなりません。
それをサポートするのが、
ミルキング・アクション。
「脚は第二の心臓」と言われるゆえんです。
血液とリンパ液がスムーズに体内を巡ることは、
疲労因子と疲労回復因子のバランスを
整えるうえでも大切です。
座っている時間が長くなると、
このミルキング・アクションが不十分になるため、
疲労の回復が遅れてしまいます。
座っている姿勢だと、
脚の付け根の股関節が曲がったままになり、
そこで血液とリンパ液の循環は滞ってしまいます。
デスクワーク中でもゲーム中でも、
定期的に立ち上がって部屋を歩き回り、
ミルキング・アクションを促しましょう。
股関節を伸ばすだけでも、
疲労回復にプラスです。
TO DO
■デスクワークではこまめに立ち上がって歩き、
ミルキング・アクションを促そう
※本稿は、『大人気フィジカルトレーナーが本気で考えた 疲労回復の習慣』(日経BP 日本経済新聞出版)の一部を再編集したものです。
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