久しぶりに見た貴方は、私には、もう、知らない人・・・・・・・

例え、過去を共有していようが、今のカレは、遠い、遠い、存在・・・・・・・

もうしばらくは会わないと思っていたのに、何故・・・・・・・?



ange 【ボクだけのdiva】 vo.11 ~co-starⅠ~




ドラマの主題歌のタイトルは、『hands』に決まり、ドラマもクランクインしたようだった。

この前の顔会わせのときの感じからして、京子さんのことが、すこし心配だった。

・・・・・あんまり、恋したことないの、かなぁ?

年頃の女の子が、あれくらいの歌詞で真っ青になるなんて・・・・・、ホントに、大丈夫なのかしら???

まぁ、人のことなんて言えないんだけれど、ね・・・・?


「・・・・・・和奏?もうすぐ打ち合わせが始まるから、そうあんまり険しい顔、するなよ??」

「~~~~!!!!わ、わかってますっ!!!!!」

そう、新しいCMソングを私に歌って欲しい、というオファーがあったから、今から打ち合わせだったのだ。
しっかりしなくちゃっ!!!!!!




*




「・・・・・・夏らしい爽やかな曲で、青い空に、青い海、ねぇ・・・・・・・・?」

「曲のことよりも、和奏?さっきのは、あれでよかったのか???」

「・・・・・・何が???」

「CMの事だよっ!!!お前が出演をOKするなんて、どういう事だよっ!!!!!

・・・演技、していいのか!?・・・・・・・・あれほど嫌がってて、契約するときも、演技はしない、と言ってただろぅ??」

「(ハァ~。)あぁ、あれ、ね。・・・・・・CMだから、OKしたのよ?ドラマや、映画じゃないから、ね・・・・・・・」

「でも、向こうはちゃんとストーリー性のあるCMにしたいって言ってたじゃないかっ。」

「・・・・・・演技は、今もしてるから、大丈夫よっ??」

「?????」


「今も、関 和奏を演じてるでしょ???
・・・・・・演技をしない、というのは、メディアで一人の別の役を演じるのが、イヤなの・・・・・。

CMは放映されるのが短時間だし、演技力とか、あまり言われないでしょ???」

「・・・・短時間でも、見るものが見たら、わかるんじゃないのか??」

「まっ、いいじゃない♪何とかなるわよ~~~~~^^」

「・・・・・・余裕だな・・・・・・・」

「ん!?そんなこと、ないわよ????」


本当は、出たくなかったわよっ!!!!!
でも・・・・・・・、あんなこと言われたら、でるしかないじゃないっ!!!!!!!


「(・・・・・なぁ~んかまだ怒ってるんだよなぁ。もしかして・・・・・・・)

さっき、言われたこと、気にしてるのか????」

「!!」

「(ニヤッ)君でもいい、が気に食わないのぉ~~~~~~?????」

「!!!!!なっ!!!!!ち、違うわよっ!!!!!」

「(図星、か・・・・・)結構、プライド高いんだな・・・・・・」

「~~~~~わ、悪いっ!?」

「い~~~~やっ!!!!それくらいじゃないと、この業界、やってけないからな。

・・・・・・って、ベテランさんには言わなくても分かってる、かな??」

「・・・・ベテランは余計、です・・・・・・」

「向こうで、キッズモデル始めたの、3歳からだろ!?だったら・・・・・」

「12で辞めたから、9年じゃないんですかっ!!!!!!!!!」

「!!!!おいっ!!何をそんなに怒ってるんだぁ~~~~!?」

「知りませんっ!!!早く行きますよっ!!!!!!」

「・・・・・・そんなに、過去の話はイヤなのかねぇ・・・・・・」


確かに、過去の話をするのはイヤよ!?
でも、もっとイヤなのは、共演者よっ!!!!!

~~~~~どうすればいいのよぉ~~~~~~????




*




事務所に戻り、主任さん達と今後の打ち合わせをした後、帰る身支度をして事務所を歩いていたら、

かなり暗い顔をした人を見つけた。

(!!彼女だっ!!!!)


「ヒロ、私ちょっと用事思い出したから、先帰って?」

「えっ!?どうやって帰るつもりだ?」

「・・・・たまには電車で・・・・・・」

「却下っ!!!それ、事務所内での用事か!?」

「Yes」

「・・・・・・・・・・終わったら携帯鳴らせ。待ってるから・・・・。

後、英語なるべく使うなよ!?」

「~~~~ありがと~~~~!!!!さっすが、ヒロねっ!!!!^^」

「・・・・・あんまり遅くなるなよ?」

「OK!!!」

私は手を振り、急いで駆け出して行った。

残されたヒロの顔がどうなっているのかなんて、わからなかった・・・・・・・・・・




*




「・・・・・・京子、さん??」

「はいっ!?・・・・・って、天使ちゃん?????」


「おはようございます、京子さん。先日はきちんとした挨拶も出来ずに失礼致しました。」

「いえ、こちらこそ、挨拶が遅れてしまって、申し訳ありませんでした。

京子と申します。よろしくお願い致します(ペコリ)。」

「関 和奏です。よろしくお願いします(ペコリ)。」

「・・・・・・あの~~~~っ、唐突で申し訳ないのですが・・・・・・・・

天使って呼ばれるのって、イヤじゃない、ですか!?」

「えっ!?~~~~~う~~~~~~ん、そうですねぇ・・・・・・・・・・

あまりイヤではないんですが、イメージが先行してるので、

実際はイマイチって言われたら、つらい、かな??」

「全っ然大丈夫ですよ~~~~っ!?

見た目もかわいらしくて、話し方もかわいらしくて、天使そのものですよっ???????」

「・・・・・・そ、そうです、かぁ・・・・・・・(あまりうれしくない、かも)」

「実は、『天使の歌声』のようだって言い出したのは私でして、申し訳なく思っていたので、一度お会いして謝りたかったんですっ!!!」

「えっ!?そうだったんですか??気にしていないので、いいですよ???
京子さんが言わなくても、他の誰かが言っていたかも知れないし、

京子さんのそれのおかげで、曲を沢山の人に聞いてもらえたんですから・・・・・・。
・・・・・・むしろ、感謝しているんですよ!?
ありがとうございます^^」

「!!!!い、いえ、こちらこそ、ありがとうございます~~~~!!!!!(笑顔、カワイイかも・・・・・)」

「クスクス。京子さんって、とってもかわいらしい方なんですね!?」

「えっ!?そ、そんなことないですよぉ~~~~~~??????

関さんの方が、とっても天使のようにかわいらしくて、女の私でもみとれちゃいますよっ!!!!!」


(!!!!!か、カワイイッ!!!!!こ、これにやられたのかしら???)


「・・・・・・・ありがとうございますっ!!!!!!
・・・・・・ところで、京子さん。先ほど、とても暗い顔をされてたのですが、どうかしたのですか??」

「!!!!!・・・・・見られてたんですね???」

「はいっ。バッチリ、見ちゃいましたっ!!!!!

とても気になったので、声をかけさせていただいたのですが・・・・・・・」

「・・・・・・ですが?」

「今度のドラマのこと、かな、と思って・・・・・・・」

「!!!!!!(な、なんでわかったの~~~???)」

「よかったら、話聞きましょうか??・・・・・愛莉のハードルあげたの、私ですからね・・・・・・・」



この後、私達はもう少し話をした。

・・・・・・ドラマのこと。

・・・・・・・・・・・・・・・・彼女のことも、すべて・・・・・・・・聞いてしまったのだ・・・・・・・・







vo.12