今年の1月21日に大阪の北新地にオープンしたイノベーティブレストラン『NH (エナシュ) 』。こちらの空間は、建築やデザインで多くの賞を受賞しているLUSTYdesignに依頼されたとか。パープルを基本色とし全てがアールになった店舗で、ゲストのカウンターテーブルもキッチンのカウンターも曲線のアーキテクチャー。ここに苔の植栽の壁等が取り入れられたモダンなデザインの中にも安らぎのある空間になっています。
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エグゼクティブシェフに就任した⼟⾕真敬シェフ(写真中央)は、サンペレグリノヤングシェフのアジア大会にて日本代表として出場。ボキューズドール国際料理コンクール日本大会では2位という成績を残しています。京都ホテルオークラご出身。心の綺麗な金の卵的シェフだと思って、かわいがって、、、もとい応援しています。
新しいビルなんですが入り口がちょっと奥まっていてわかりにくいと思います。見逃
さないよう注意ね。インターフォンを押すと中からお出迎えしてくださいます。
迎えてくれたのは、エルメスのクッションが置かれた特注ソファのウエイティングルームです。クッション抱きしめたい💕
土谷シェフが選んだのは京都の和茶園の和紅茶。エルメスのカップで登場。なんとコースターまでエルメスでした。エルメス好きですね♪
ドアの先の階段を上り2階のメインダイニングへ。夢の世界への扉もエルメス製。
三日月型のプレートがメインダイニングへのチケット。なんかワクワク。
2階へ到着すると、うわぁ~と思わず店内を見渡してしまうパープルのラグジュアリーな内装。このスペースには、角がない。みんな曲げてあるんです。照明までぐっと曲げて仕込まれた贅沢な空間。パープルの空間に苔の植栽の癒しがありました。
ショープレートは、有田のカマチ陶舗。全部デザインが違うんですよー。圧巻!!
土谷シェフがさくらさんは桜色って言いながら渡してくれました。1階で渡された三日月型と同じ色のショープレートを目指します。こちらが今夜の私のための特等席。
ノンアルコールドリンクもしっかり用意してあって、ホワイトティースパークリングにしました。ディナーコース 35200円、ペアリング付きで40700円(各+サービス料10%)ですので、飲む方は確実にペアリングコースにした方がいいと思います。
ホテルオークラ仕込みの土谷シェフですが、大阪の人気フランス料理店のエグゼクティブシェフを経て就任。またさまざまな大会で優秀な成績を収めているだけあり実力もしっかり。性格が優しいのでちょっとか弱い…感じもしますが、料理を始めるとシェフのオーラが炸裂します。前のお店ではシェフズテーブルに座っても背中ばかり見ていましたが、今回のお店は調理台?もしっかり魅せるデザインになっていて、ステージのように料理をしている姿が見られます。こうでなくちゃ❤️
Cèpe
チョリソー/ナスタチウム
サブレの上にはポルチーニ茸を発酵させて作ったクリームにチョリソーを重ねています。ちょこんっと乗ったナスタチウムが可愛らしいですね。見た目のアクセントにもなっていますが、これで味がちょっぴりしまる。かわいいアミューズグールです。
Asperge blanche
アオリイカ/姫ネギ/花わさび
うわぁ〜。お姫様が食べそうなお料理ですね。わさびの花って可憐でいい。ホワイトアスパラガスを堪能できる一品です。
アスパラガスのジュの泡にスプーンを入れると、中からはホワイトアスパラガスとジュのゼリー。熟成させたアオリイカが入っています。姫ネギのアクセント。ホワイトアスパラガスの旨味にイカの軽い凝縮感ながらも優しく体に溶け込んでいきました。
Foer-gras
和紅茶/メープルコンブチャ/ あんぽ柿
「あんぽ柿好きでしょ」と土谷シェフに思わずつっこんじゃったんですが、フォアグラのデュエットです。美味しいに決まっている組み合わせですね。
フォアグラは柔らかなフランとなり、メープルコンブチャをを合わせています。メープルコンブチャってどんな味?って思ったのですが、この料理にしては軽い味わいで楽しめたので、恐らくメープルシロップを発酵させることで、甘いだけではない味わいがでてきたのかなと思います。仕上げはハーブオイルでニュアンスを出して。
フォアグラのタルト仕立て。ルージェのフォアグラのテリーヌは京都の和紅茶でマリネし、あんぽ柿と和紅茶で作ったジュレを被せています。カンボジアの生胡椒とオキザリスのシャキっとしたアクセント。甘いフォアグラが紅茶や柿の甘さと合間って、風味高く仕上がっています。フォアグラの甘さとジューシーで濃厚なあんぽ柿のハーモニー。タルトと一体化したフォアグラを楽しませていただきました。
今回土谷シェフが力を入れた食材のひとつが
キャビア
北新地にはドドーンと大きなキャビア缶を開けるお店もありましたが、長年オークラという格式高いホテルで育った土谷シェフはエレガント。キャビアクーラーの上に鎮座した「Kaviari(キャビアリ)」のDAURISKUS(ダウリスク)は、日本で唯一の直取引。安定的な供給が約束されています。3種の食べ方でいただくことができました。
▼リールでキャビア料理をご紹介しています▼
Kaviari"DAURISKUS"
まずは開けたてのキャビア。一粒ごとの輝きが美しい。ゴージャスな輝きです。
大きめのキャビアスプーンで開封直後のキャビアを手渡しで、本来の味わいを楽しませていただきました。塩分も控えめでそれぞれの粒感もあり食べると舌の上でキャビアの旨味が炸裂します。キャビアそれぞれが持つ力強い美味しさが立ち上る感じ。
サンルイのアンティークグラスグラスに盛り付けられたのは、シャトーブリアンのタルタルと雲丹。これを見ただけでうっとりでしょ〜。牛肉のタルタルは下に隠れていますが、コルニッションやケイパーなども入りタルタルだけ食べても美味しいのですが、お肉やキャビアの旨味を主軸にし雲丹の甘味そして穂紫蘇の爽やかさが残ります。
最後はサクサクのブリオッシュの上にこれまた黒牛のタルタルと雲丹とキャビアを合わせているのですが、ブリオッシュが口の中で溶けたと思ったら、これらの食材が順々に舌の上に溶け出す感じ。最後はキャビアの旨味でフィニッシュとは贅沢だ。
楽しいキャビアの演出がもっと続いたらいいのにと思っていたら、これまた美味しいパンの登場です。麹菌とイースト菌を発酵させた種で作っていました。周りはカリッと焼き上がり、火水率が高い。中はもちもちふわふわに仕上がっていました。
パンに合わせたのは、発酵カルピスバターと小豆島産オリーブオイル"せとのめぐみ"。数量限定のオリーブオイル。
若いっていい♪スーシェフの井本氏がブレザオラでポーズ♪カウンターの醍醐味です。
福島県「忠源」の花乃牛の生ハム"ブレザオラ"とルージェのフォアグラは、以前より使っていた土谷シェフのお気に入り食材です。前回は食べ比べでいただきましたが今回は、もちろんそれだけで&旨味の合体の妙を楽しませていただきました。
KINMEDAI
帆立ガルム/ベルガモット/卵巣/ブレザオラ/柚子
手巻き寿司でもやるの?という感じの大きな桶が登場しました。高知県産の金目鯛が5種並んでいましたが、実はこれ発酵の期間違い。手前が7日、次が6日と発酵の深いものから浅いもの。そしてそれらがアミューズからデセールまでのフルコースのようになっている演出です。切り立てのブレザオラを最後に盛り付けて完成。
アミューズから行きましょうか。ホタテと柚子とセロリで作ったガルム(魚醤)で7日間発酵させています。このガルムが金目鯛の旨味が際立ちまた柚子の香りが華やかさを演出し、いい仕事をしていました。
次はベルガモットのヴァヴァロワを合わせたもので6日間熟成。高知県産のからすみと3年間糠漬けにしたフグ卵巣を合わせたポワソンを模した5日間熟成の金目鯛は少し和テイスト。フィンガーライムとオキザリスで爽やかに。少し表面を炙った忠源のブレザオラは軽く香りを纏い4日間熟成の金目鯛と合わせた肉料理、最後は柚子のコンポートを合わせた3日間熟成の金目鯛といったスタイルでどんどん手前から食べ進めていくという、手の込んだ楽しいものでした。
これらが使用した、自家製調味料の数々。
Crabe
蘭王/ コライユ/ダローズ
ホテルで働いていた頃の土谷シェフはオムレツやスクランブルエッグなどの卵料理をたくさん作ったそうですが、ホテル出身を感じさせるひとつのアイデンティティー、そして初心忘れるべからずでしょうか。NHスタイルの卵料理を出してくれました。
北海道の毛蟹がた〜っぶり入っているそうです(笑)。オマール海老の味噌で作ったフォームなど、旨味も濃厚です。甲殻類も旨味もたっぷり。蘭王卵のコクとリッチなクリーム。超、超、超贅沢なスクランブルエッグでした。
次のお料理は目の前で力強くも甘味のあるスープを注いでいただき完成です。いい香りなんだ、これが。
Moeilles
筍/スッポン/雉/猪/木の芽/ヴァンジョーヌ
モリーユに雉・猪・スッポンのミンチを詰めて、濃厚な料理に。ここに合わせたのは山菜など春の味覚。ひこひこというオゼイユの新芽なども入っていました。スッポンのスープにはヴァンジョーヌを合わせて。豆などの山菜の風味ともよく合いますね。スープがとっても美味しくて、最後まで飲んでしまいました。
Homard breton
ソーテルヌ/パッションフルーツ/日向夏/ ピサンリ
オマール海老を2種の食べ方でガッツリいただきました。ひとつは甘味、苦味、酸味を纏い、ジューシーな味わいをリッチなバターソースでまとめています。かなりパッションフルーツの味わいがきいていて、ちょっとエキゾチックな顔も持った料理でした。
発酵新生姜/牡丹海老ガルム/ピマンデスペレット
もうひとつは、赤いオマール。ブランデーとオマールのジュでガストロバックし、発酵した生姜とピマン デ エスプレットをつけて焼いています。濃厚なエビの旨味がしっかりしているので、付け合わせには、生姜をコンブチャで煮て作ったピュレでバランスを。ちょっとお寿司のガリみたいです。しかし、味違いで半尾ずつ出てくるわけですから豪華ですよね。
そして土谷シェフが力を入れたもうひとつの食材は
七谷鴨
スペシャリテです。130日飼育の鴨は三週間熟成しています。何せ土谷シェフがエサまで作り食べさせているエナッシュスペシャル。エトフェし3週間ほど熟成しているので、お肉には旨味が凝縮しています。
Croise de "NH"
肉醤/麹菌付もち麦/発酵カブラ/ソースサルミ
鴨は腿と胸肉のコンビネーション。ソースは王道のサルミでした。私はワインを飲まないので、時々サルミは強すぎて苦手なんですが、滑らかなテクスチャーと内臓の旨味も綺麗に使っていて、また肉の旨味が濃いのでソースだけが先行することなく素晴らしいコンビネーションでいただけました。
とにかく肉の味が濃く肉質がしっかりしています。ベーコンのようなというとわかりやすいな。58度で24時間コンフィし、最後は炭で仕上げ香りを纏わせて。普段食べている七谷鴨のイメージとはだいぶ違いますね。力を入れているもわかります。
ガルニは発酵させた蕪と、バッタを粉末にして麹と合わせて発酵させた穀物をハニービネガーで合わせています。リゾットではなくしっかり存在感のある穀物。バッタの粉末なども使い(バッタの味はわかりませんが・・・)鴨が食べている循環を表現しています。ちなみに器も鴨が生息している土をイメージしたこの料理のためのデザイン。
ナイフは龍泉刃物のエナシュオリジナル。ロゴ入りボックスに入って登場しました。
好きなものを選んでくださいといわれ、私は1番右のメープルをチョイス。
お箸も龍泉オリジナル。
裏面はダマスカスです。
Nouilles
リングイネ/お好きなトリュフ
最後は鴨のジュを使ったリングイネで。トリュフもたっぷり使われています。豪華。
しかもトリュフはエルメス様の木彫のボックスに入って登場です。こういうの女性にはたまりませんね。デートで連れて行かれたら確実にテンション上がりますよね。
"SAKE"
蒼空/酒粕/もち米/ゲランドブリムネージュ
蒼空酒粕のアイスクリームです。オリーブオイルのパウダーとゲランドの塩。酒粕のもつちょっとほっこりした味わいのアヴァンデセールでした。
"Fraise"
完熟/ガトーナンテ/ルバーブ/クリームソワニエ
美しいヴェールを纏ったデセールがフィナーレを飾ります。クレームソワニエの上には、苺のシロップをたっぷり打ったタルトナンテを重ねています。苺は"完熟"を使い、ガストロバックし、ジューシーに仕上げていました。
断面はこんな感じ。カットすると苺がいかに立派かわかります。そしてジューシー!
こちらが"完熟"です。一番の特徴は甘味が強いことでしょうか。酸味はほどほど。ジューシーで味もしっかりしています。最後は使った食材をそのまま、そして水菓子のようにいただけたのも嬉しいな。
お友達のお誕生日でしたのでお祝いを。ガトーショコラの素敵なプレートありがとうございました。お花がいっぱいですね。
ブラジル産ベースの深煎り
コーヒーは京都のCoffee Base KANONDOの深煎りをいただきましたが、コクの深い味わい。紅茶は京都 和茶園の手摘み和紅茶2022プレミアムだとか。
カヌレボルドー/和紅茶/P125ショコラ
オープンが決まったのはコロナ禍真っ只中。いろいろ時間をかけて練られた空間、料理、器やカトラリーなどの設えなど、かなり工夫が見られました。また機材の充実ぶりも凄いから料理に厚みもでてきます。鴨などの独自のスペシャリテも構築し、飼育からこだわりさらに熟成をかけたり、また料理のところどころにガストロバックを使い、旨味を高次元で引き上げています。ここに自家製の調味料などが登場するのも良いですね。食材の発掘はまだまだこれからよくなっていくと思います。実力もお持ちの、そして料理を愛する土谷シェフですから、これからますます力を入れて料理を昇華させてくれると思います。量がかなり多いので、是非お腹を空かせてお店へ。そして、近い将来、土谷シェフがスターシェフへの仲間入りするのも期待したいと思っています。メンバーも楽しい感じでいいですね。
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NH(エナシュ)
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